SQW2009-2010フェスタ初日

晴海トリトンにある第一生命ホールで行われているSQW(クァルテット・ウィークエンド)、去年からフェスタとガレリアのシリーズ二本立てに変わりました。
その開幕、フェスタの初日が昨日行われ、出掛けてきました。
今年のキュレーター・クァルテットはカルミナ四重奏団。メンバーを改めて書き出すと、
第1ヴァイオリン/マティーアス・エンデルレ
第2ヴァイオリン/スザンヌ・フランク
ヴィオラ/ウェンディ・チヤンプニー
チェロ/シュテファン・ゲルナー
内声二人が女性、左から音の高い順に並び、両脇を男性が固めます。
スイスを代表する、世界トップクラスの団体。言うまでもありません。今年で結成25年。
日本の室内楽の中心がカザルスホールだった頃は度々来日していましたが、今回は久し振りの日本でしょう。第一生命ホールは初めてだと思います。
90年代は私自身まだまだ仕事優先の生活で、音楽会は月に一度オーケストラを聴く程度。とてもクアルテットを楽しむ余裕はありませんでした。
ですからカルミナをナマで聴くのは今回が初めて。
初日のプログラムは、
ハイドン/弦楽四重奏曲第77番ハ長調作品76-3「皇帝」
ドヴォルザーク/弦楽四重奏曲第12番へ長調作品96「アメリカ」
     ~休憩~
シューベルト/弦楽四重奏曲第14番二短調「死と乙女」
どうです、チョッと行くのが躊躇われるほどの名曲コンサートでしょ。実は今年のフェスタ、カルミナの4日間は夫々、「伝統を受け継ぐ者」 The Inheritors 、「新たな地平を拓く者」 The Innovators 、「世界をつなぐ者」 The Communicators 、「挑戦する者」 The Challengers という日毎のタイトルが付けられているのです。
従って初日は「伝統」がテーマ。
恥ずかしながら席に着いてしまえばこっちのもの。十二分に三大弦楽四重奏曲を楽しんできました。
カルミナはCDではいろいろ聴いていますが、それはあてになりません。初めて体験するホンモノのカルミナ。
そんなに大きな音を出す団体じゃありません。アーノンクールと出会って影響を受けたという古楽奏法も若干形跡を残していますが、決して金科玉条としているのではなく、完全に咀嚼されています。
ハイドンの冒頭、オヤッ、と感じたのは事実ですが、直ぐに耳に馴染みました。
1曲づつ感想を書くのは控えますが、カルミナはただ楽譜を正確に再現するのではなく、作品の構成を常に意識し、音楽の起伏に忠実に従います。それが極めて自然で、音楽する喜びに満ちている。
3曲に共通していたのが、緩徐楽章への大きな愛情、歌、集中力。ハイドンも、ドヴォルザークも、シューベルトも、皆その緩徐楽章に中心が置かれていることを明確に意識させてくれました。
アンコールもそれに沿ったもの。モーツァルトの「不協和音」から緩徐楽章(第2楽章)。
鳴り止まぬ拍手。興が乗ったのか、もう1曲アンコールがあり、今度はハイドンの「騎士」から第4楽章。
いつものガレリア・シリーズを大幅に上回る入りの客席から、大きな歓声と拍手が上がっていました。
フェスタは、カルミナが残り3日間と最終日にべネヴィッツ・クァルテットが控えています。
6月の週末は他にも聴きたいコンサートがあって見事にバッティング。私はこのシリーズ、あとカルミナの3日目とべネヴィッツを聴く予定。
カルミナは今日の二日目の後、アウトリーチで中央区の各所を駆け回るのだとか。彼らに接する機会は案外多いかもね。

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