シー･ザ･スターズ、二冠達成！

って、興奮しているのは私一人ですけど･･･。
世界最高の平場レース、ダービーが終わりました。朝から雨のあいにくの天気でしたが、エプサム競馬場に集まったファンの興奮を醒ますものにはならなかったようです。
当初の枠順発表からサウス・イースターが取り消して、１２頭立て。
パドックで一際目立ったのが、前日は１番人気だった２０００ギニー馬シー･ザ･スターズ Sea The Stars と、オブライエン６重奏のエース格フェイム・アンド・グローリー Fame And Glory 。
スタート直前になってフェイム・アンド・グローリーの人気が急上昇、大量の資金が流れ込んで最終的には９対４の１番人気。恐らく得意とする雨の馬場が影響したのでしょう。
シー･ザ･スターズは１１対４の２番人気に落ち着きます。
レースは予想通りゴールデン・ソード Golden Sword が引っ張ります。キネーン騎乗のシー･ザ･スターズは終始４番手内の絶好のポジション。フェイム・アンド･グローリーはこれをぴったりマークして進む展開。
超の字を付けて良いほど慎重なオックス師、シー･ザ･スターズのスタミナには一抹の不安があったようですが、キネーンは確信していました。
直線。待って、待って、待ってから追い出すと、伸び脚鋭く先頭に。そのまま２着以下を寄せ付けずに危な気ない優勝です。
シー･ザ･スターズに１馬身４分の３遅れて流れ込んだ４頭はいずれもオブライエン軍団の馬たち。
２着は１番人気のフェイム･アンド･グローリー、３着は首差でマスターオブザホース Masterofthehorse 、４着にハナ差でリップ･ヴァン・ウィンクル Rip Van Winkle 、５着が短頭差でゴールデン・ソード。
１着から５着までアイルランド勢が独占。
英国馬で最先着は６着のクラウディッド・ハウス Crowded House で、５着から６馬身差。
７着エイジ・オブ･アクエリアス、８着ドビュッシー、９着カイト・ウッド、１０着ブラック・ビアー・アイランド、１１着ガン・アームラス、１２着モンタフが全着順。
ジョン・オックス師は２０００年のシンダーに続いて二度目のダービー。騎乗したミック・キネーンは、１９９３年のコマンダー・イン・チーフ、２００１年のガリレオに続いて三度目のダービー制覇となります。
２０００ギニー／ダービーのダブル達成は、１９８９年のナシュワン以来２０年振りのこと。
当然ながら三冠の期待がかかりますが、慎重なオックスさん、“ダービーには距離不安がありました。セントレジャーには更に大きな不安がありますよね。”　と発言、シー･ザ･スターズはあくまでも１０ハロンがベストという姿勢を崩しませんでした。
三冠チャレンジの可能性はゼロではないものの、限りなく実現には遠いという印象です。次はエクリプス・ステークスが最有力。
オックス師、自分は｢三冠馬｣には積極的な考えだそうで、現在はステイヤー系種牡馬が優れているので、１０年以内には三冠馬が生まれるのでは、という期待も述べています。
木曜日に葬儀が行われた故ヴィンセント・オブライエン師が調教したニジンスキーが三冠を達成したのは１９７０年のこと。たとえ来年実現したとしても４０年の空白があることになります。
馬主は２０００ギニーでも紹介した香港のクリストファー･ツイ氏。前日にイギリス入りし、雰囲気に圧倒された様子。現在２７歳、香港でナイトクラブを経営していますが、それはあくまで楽しみからという富豪です。
シー･ザ･スターズの母アーバン・シーは、ツイ氏の母リン･ツイさんが生産し、凱旋門賞に勝った名牝。兄ガリレオに続く２頭目のダービー馬の母となりました。
アーバン・シーの配合、産駒の出走ローテーションなど、未だにリンさんが全てを決めている由。真のプロフェッショナルと言えるでしょうね。
ところでオブライエン軍団、パドックへの到着が遅れて、ダービーは７分遅れのスタートになりました。
当然ながら罰金の対象で、６頭全てに課金されます。これには流石のオブライエン師も平謝りでした。
長くなりましたが、この日行われたもう一つのパターン・レースを簡単に。
プリンセス・エリザベス・ステークス(ＧⅢ、３歳上牝、１マイル１１４ヤード)は８頭が出走し、シャノン厩舎のエヴァズ・リクエスト Eva’s Request が優勝、２着は１馬身差でフランスから遠征してきたアルナダナ Alnadana 、３着に４馬身半差で１番人気(１３対８)スペイシャス Spacious が入っています。
勝馬は４対１の人気、騎乗したのはエディー・クレイトン。
かくして世界最大の競馬の祭典は、素晴らしい結果を残して無事に終了、競馬史に新たな１ページを書き加えました。