クァルテット・エクセルシオ第18回東京定期

昨日はクァルテット・エクセルシオの定期を聴いてきました。毎年6月と11月、年2回のペースで行われている定期演奏会は、エクセルシオ(通称エク)のメイン・ディッシュと言うべき重要なコンサートです。

彼らを支えるエク・フレンズには毎回の特典として試演会が行われるのですが、今回は偶々古典四重奏団の演奏会とバッティング、私としてはぶっつけ本番の定期になってしまいました。

毎回自由席の公演のため、良い席で聴くためには会場時間の少し前から並ばなければなりません。昨日は都合良く彼らの都民芸術フェスティヴァルでの公演(2010年3月3日)チケットを入手する都合があったので、思い切り早めに上野に向かいました。

守備良く次回のチケットをゲット、様子を見ているとボチボチ人が並びだした様子。躊躇うことなく列についたのは4人目です。
これも偶然ながら3人目はエク・フレンズでもあるS先生。博識の先生と弦楽四重奏の歴史やら楽譜事情などの噂を伺っているうちに開場となりました。退屈を忘れた40分。

この時間ですから席取も余裕。今日は当日券に並ぶ人も多かったようですし、オーケストラの会では良く見かける顔もチラホラあって、愈々クァルテット・エクセルシオの知名度も上がってきた感があります。
私に言わせれば、彼らを聴かないクラシック・ファンは「もぐり」でしょうね。

今日のプログラム。

ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第5番イ長調作品18-5
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲変ロ長調作品133「大フーガ」
     ~休憩~
モーツァルト/弦楽四重奏曲第19番ハ長調K465「不協和音」
 クァルテット・エクセルシオ

プログラムによれば、冒頭の18-5は第1回定期で取り上げた曲目。前回でベートーヴェン全曲を達成したエクにとって、これは振り出しに戻った演目の由。第1回を聴いていない私にとっては、もちろん彼らの演奏では初めて聴く作品です。
最後のモーツァルトも、これまでは初期作品を中心にしてきたエクとしても「ハイドン・セット」の登場は始めてとのこと。どれも名作ながら聴き逃せない内容ですね。

前半にベートーヴェン、後半がモーツァルトというのも最初は不思議に感じましたが、実際に聴いてみると違和感は全くありません。
聴いている間は気が付きませんでしたが、帰りの電車の中で、これはクァルテットのABCだ、ということに思い当ります。
そう、イ長調→変ロ長調→ハ長調という並びは、アルファベットならA→B→Cでしょ。彼らにそういう意図があったか否かは不明ですがね。

クァルテット・エクセルシオの素晴らしさ、常設団体の凄みについては何度も紹介していますので、繰り返しは避けましょう。
それでも、この日は彼らがまた一段とグレード・アップしたような印象がありました。とにかく良かった。

それは常連ファンの皆様の感想も同様で、“今日は特に素晴らしかったですねぇ~” という言葉を多くの方から聴くことが出来ました。

アンコールとしてハイドンの作品77-2からメヌエット(第2楽章)が演奏され、鳴り止まぬ拍手に応えてもう一つ、ボッケリーニの作品2-6から第1楽章も演奏されました。
このハイドンとボッケリーニの素晴らしかったこと!! ハイドンの上質なユーモア、ボッケリーニの無条件の楽しさに触れることが出来た、何とも贅沢な一晩です。
感極まったS先生でさえ、“ハイドンの素晴らしさを初めて識りましたよ。” と発言するほど。

この日の充実振りをエクのNPO理事長に質したところ、新潟でハイドンを集中的に弾いた効果ではないか、とのこと。

また今回は今までと並びを変え、チェロが右端に出る配置で演奏していました。
そのことを終演後にチェロの大友氏に聞いたところ、やはりハイドン演奏を続けた結果、楽器間の対話をよりスムーズにするために取った配置の由。これも一つのチャレンジです、という話でした。

ハイドン恐るべし。

今のところエクのハイドンは新潟でしか聴けなかったレパートリーでしたが、近い将来に是非とも東京でも披露してもらいたいもの。
大友氏にも理事長にも実現を強くお願いして帰路に就きました。

おっと、3月3日には「雲雀」があるじゃないか。取り敢えずこれが皮切りでしょう。

 一つ書き落としがありました。

この日はNHKのテレビ収録があり、2010年1月18日(月)に「ハイビジョン・クラシック倶楽部」で放映されることが決まっているそうです。午前6時から6時55分まで、もちろんコンサートの一部だけに編集されますが、エクの映像としては初めてかもしれませんね。

 

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