ドクダミ

梅雨時の花といえばアジサイを挙げる人が多いでしょう。アヤメ、と言う人も多数派。
湿った空気の中に漂うのはクチナシの強い香り。春先のジンチョウゲ、秋口のキンモクセイと並んで、雨の季節に芳香を放つクチナシは都会では三大香木と言えるでしょう。
他にも黄色の大輪が鮮やかなビョウヤナギ、白い傘を差したようなナンテン、ホタルブクロやツユクサ、ユキノシタもこの季節ですね。
しかし私にとって横綱格に相当するのがドクダミです。
散歩コースは大まかに言って4本。それを花鳥風月の四曜に合わせて選択していますが、どのコースでも大量に見かけるのが白十字のドクダミです。
子供の頃、拙宅にもドクダミがたくさん咲いていました。
あるとき出来物で困っていた亡父が、ドクダミの葉を患部に貼り付けていたことがありました。何をしているのか問うと、
“おデキの毒を吸い出すのさ。ドクダミには薬効があって、「ダミ」というのは「矯める」の意味だよ。” と教えてもらったことを覚えています。
だから家の庭には、いつもドクダミとゲンノショウコがありましたね。
ドクダミには他に様々な効能があって、別名「十薬」(ジュウヤク)と言うほど。
植物には薬草になるものが多数あります。厚生省も西洋医学にばかり頼らず、日本古来の療法に着目、研究して奨励すれば随分と医療費の節減に繋がるでしょう。風邪や下痢などは自宅療法で充分、もっと頭を使わなくちゃ、と思います。
ドクダミは日陰を好みますから、都会のような住宅密集地では日の当たらない場所が多くあり、この薬草の繁殖には好都合なのでしょう。あちこちで雑草状態になっています。
葉に独特の臭気があって、昔、草刈を手伝った後で手にドクダミの悪臭が纏わりつき、咽ぶような心持ちがしたものです。
白い十字は花ではなく、総包片と呼ばれるもの。本当の花は白十字の中央に真っ直ぐ伸びる薄緑色の筒状のもの。
学名は Houttuynia cordata ホッタイニア・コルダタ。属名はオランダの植物学者ホッタイン (1720-1798) を記念したものだそうです。
種名コルダタは「ハート形の」という意味。葉を見ると、見事なハート形になっているでしょ。

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください