カラスノエンドウ
春の野原に普通の植物ですが、都内でも日当たりの良い公園や、側道の植え込みなどで見掛けるお馴染の野草。
私の記憶では青山通りの赤坂見附付近に多かったように思います。
3月頃から赤紫の小花を咲かせ、葉の形から直ぐにマメ科の植物であることが判るでしょう。
アリがよく集まっているのを見かけますが、花の蜜が目当てではなく、托葉の蜜腺を舐めているのだそうです。生態的な意味は未だ解明されていない由。
身近な生き物の営みでも、人間には未知なことがいくらでもあるという事例の一つでしょうか。
書物によってカラスノエンドウで載っているものと、ヤハズエンドウで紹介してあるものがあります。
葉の先が矢筈に似ているというのでヤハズエンドウと言うそうですが、現代では矢筈そのものを見ることがほとんど無いので、ピンとこない名前になってしまいました。(矢筈は矢の手元、蔓を受ける部分の名称です)
一方、カラスノエンドウという名前にはいろいろな説があるようです。
スズメノエンドウという種類もあるので形の大小に由来するのかと思いましたが、そうではないようです。スズメノエンドウは良く似たカラスノエンドウより小さいから付けられた名前。
カラスの由来は、この植物が群生している様子をカラスの巣に見立てたから、というのを聞いたことがあります。
でもね、私が納得したのは、鞘に入った豆が熟したのを見た時。この色が見事なくらいに真っ黒で、正にカラスそのものでした。
皆さんも実際にカラスノエンドウの熟した豆果を見れば、カラス=豆果の色という説に賛成すると思いますよ。
学名は Vicia angustifolia ウィキア・アングスティフォリア。属名のウィキアは、ラテン語の「巻き付く」という意味。この属の特徴である蔓で伸びていく生態を表したものですね。
種名は「葉が狭い」という意味。
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