ミズヒキ

ミズヒキは雑草というイメージではありませんが、地味なことでは横綱級でしょう。しかしこの地味さ加減が如何にも日本人向きで、わざわざ庭に植える人も多いそうです。
花期がとても長く、8月の未だ暑い頃から盛んに咲いていましたが、9月に入っても一向に花は衰えません。10月まで見られるそうですね。

「水引」という名の如く、上から見ると真っ赤な小花が、下から見ると白い。ここを紅白の水引に見立てて付けられた和名。
枝はムチのようで、これに小虫のような花が付きますから、見間違えることはありません。

日の当るような場所には生えず、藪陰や北側の空地などにヒッソリと咲いています。
私の散歩コースでは、某駐車場の西側。塀に遮られて陽が当らないスペースに、既に紹介したハゼランに混じって群生している場所があります。

文人に愛され、茶花にも用いられる由。西洋人にはほとんど理解できない美意識でしょう。

偶に花の両面共に白いものがあり、それは「銀水引」と呼ばれるそうです。私は未だ見たことがありません。
銀があるなら金もあるのは道理で、「金水引」という名の植物もあります。これはミズヒキとは全く別の植物で、山に普通なバラ科。今年は霧が峰で出会いました。

今朝、ミズヒキとキンミズヒキを並べて植えているお宅を発見。粋な人もいるものです。

ミズヒキはタデ科タデ属。学名は Polygonum filiforme ポリゴヌム・フィリフォルメ。
この属は既に取り上げたことがあります。帰化植物というか園芸用に輸入されたものが逃げ出したヒメツルソバと同じ。その時にも書いたと思いますが、属名は「節が多い」という意味。
種名フィリフォルメは「糸のような形の」という意味で、正にミズヒキの枝を表現した命名です。金線草(キンセンソウ)という別名もあって、この方が学名の感じに近いでしょうか。

 

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