日本フィル・第248回横浜定期演奏会
昨日は先月に続いて日本フィルの横浜定期に出掛けました。予告どおり劣悪なる3階席です。
ほとんど期待もせずに着席したのですが、いやぁ~、これは素晴らしいコンサートでしたね。出掛けて大正解。
5月定期であれこれ書いた不満は嘘のよう。物足りないと書いた弦はタップリと響くし、音のブレンドは万全。楽器の音がバラバラに聴こえるどころか、渾然一体となるドイツ音楽の重量感に酔い痴れました。
ナマのコンサートは水物。何が、何処がどう違うのかは判りませんが、こういう演奏をしてくれれば3階席でも十分に感動が得られるということ。やはり指揮者の力は偉大だ、と言わざるを得ません。
プログラムは、
ウェーバー/歌劇「オイリアンテ」序曲
シューマン/ピアノ協奏曲イ短調作品54
~休憩~
ブラームス/交響曲第1番ハ短調作品68
指揮/アレクサンドル・ラザレフ
ピアノ/伊藤恵
コンサートマスター/扇谷泰朋
ソロ・チェロ/菊地知也
前回フランスものを振ったラザレフ、この日はオール・ドイツものです。俺はロシア音楽の専門家じゃないぞ、という意思表示でしょう。実際、見事なドイツもの。ドイツ人指揮者とドイツのオーケストラ以上にドイツ的な演奏でしたよ。
冒頭のウェーバー、凄いテンポで始めます。先ず強烈なパンチのお見舞いと言った趣。
思えばウェーバーはロマン派と言ってもベートーヴェンとそう時代が違うわけじゃありません。オドロオドロしいコッテリ系よりどれだけ気が利いていることか。
続くシューマン、弦楽器のサイズを落とします。
この日はコントラバスが8本ズラリと並ぶ16型でした。記憶が薄れましたが、先月はシュトラウスにも拘わらずコントラバスが7本しかなかったように思います。
シューマンは12型に減らすのですが、コントラバスだけはチェロと同じ3プルト。これによって低音は更に充実するし、見た目でもドイツ音楽の重量感が感じられます。
ソロの伊藤、私はやや苦手なピアニストです。彼女は作品への想いが強すぎる所為か時にテンポが止まるような箇所があり、音楽が停滞してしまう傾向があるのです。私にはこれが不満。
しかし彼女のシューマンは定評あるもの。この協奏曲を弾かせるならやはり第一人者でしょう。
この日は最初こそ歩みを止めたがる動きがありましたが、ラザレフの牽引力にグイグイと牽き込まれ、実に推進力のあるシューマンになりました。
元々音楽性も音色もシューマンに適した人ですから、この作品、悪かろう筈はありません。
こういうタイプは指揮者の導きによってどうにでも変わるのだと思います。
後半のブラームス。ラザレフだからと言って特別に変わった解釈があるわけではありません。実にドイツ的で重厚な響きを構築していきます。
冒頭で言えばコントラバスをタップリと鳴らせる。
それにしても凄い集中力。指揮者もオーケストラも、この手垢に塗れた交響曲をまるで世界初演に臨んでいるかのような新鮮さで立ち向かっていきます。
最初の一音を聴いただけで、これは名演になるな、という予感。
圧巻は終楽章、特にアッチェレランドでコーダに入り、金管合奏によるコラールが高らかに鳴り渡るところ。ここ、鳥肌が立ちましたね。
ブラームスの1番は名曲であり過ぎ、面白く聴かせてやろうというあざとい演奏、変に醒めて批判的な演奏などに陥る傾向があるように思いますが、ラザレフは正に直球勝負で感動を引き出しました。
何度かカーテンコールが続くうち、ピッコロ奏者とトライアングル奏者が乱入。そう、お決まりのハンガリー舞曲第1番がアンコールされます。
これが又仰天ハンガリアン・ダンスで、テンポの速いこと速いこと。
中間部でテンポを落とし、せぇ~の、で主部に回帰というのが普通ですが、ナザレフはそんなことお構いなし、最初から最後まで強烈なテンポで突進します。最後はいつものように客席に向いて着地。どうだぁ~。
客席は興奮の坩堝。指しぶりに豪快なドイツ音楽を堪能しました。
その客席、さすがにこの日は入っていました。1階の様子は判りませんが、2階・3階は9割以上埋まっていたようです。特に3階は学生が多く、聞いてみると中学3年の音楽鑑賞教室なのだとか。
協奏曲では退屈してジッしていられない生徒もいましたが、ブラームスではほぼ全員が食い入るように舞台に見入っています。
むしろ行儀悪く扇子を使ったり、チラシを落としたりしているのは大人の方。
私が中学3年の時は既にクラシックオタクの仲間入りをしていましたが、それはレコードでのこと。学校でオーケストラのナマ演奏を聴かせてくれるなどという機会はありませんでしたね。
ということで、会場先行発売というラザレフ/日フィルのプロコフィエフ全集第1弾のCDをご祝儀に買ってしまいましたわ。
ほとんど期待もせずに着席したのですが、いやぁ~、これは素晴らしいコンサートでしたね。出掛けて大正解。
5月定期であれこれ書いた不満は嘘のよう。物足りないと書いた弦はタップリと響くし、音のブレンドは万全。楽器の音がバラバラに聴こえるどころか、渾然一体となるドイツ音楽の重量感に酔い痴れました。
ナマのコンサートは水物。何が、何処がどう違うのかは判りませんが、こういう演奏をしてくれれば3階席でも十分に感動が得られるということ。やはり指揮者の力は偉大だ、と言わざるを得ません。
プログラムは、
ウェーバー/歌劇「オイリアンテ」序曲
シューマン/ピアノ協奏曲イ短調作品54
~休憩~
ブラームス/交響曲第1番ハ短調作品68
指揮/アレクサンドル・ラザレフ
ピアノ/伊藤恵
コンサートマスター/扇谷泰朋
ソロ・チェロ/菊地知也
前回フランスものを振ったラザレフ、この日はオール・ドイツものです。俺はロシア音楽の専門家じゃないぞ、という意思表示でしょう。実際、見事なドイツもの。ドイツ人指揮者とドイツのオーケストラ以上にドイツ的な演奏でしたよ。
冒頭のウェーバー、凄いテンポで始めます。先ず強烈なパンチのお見舞いと言った趣。
思えばウェーバーはロマン派と言ってもベートーヴェンとそう時代が違うわけじゃありません。オドロオドロしいコッテリ系よりどれだけ気が利いていることか。
続くシューマン、弦楽器のサイズを落とします。
この日はコントラバスが8本ズラリと並ぶ16型でした。記憶が薄れましたが、先月はシュトラウスにも拘わらずコントラバスが7本しかなかったように思います。
シューマンは12型に減らすのですが、コントラバスだけはチェロと同じ3プルト。これによって低音は更に充実するし、見た目でもドイツ音楽の重量感が感じられます。
ソロの伊藤、私はやや苦手なピアニストです。彼女は作品への想いが強すぎる所為か時にテンポが止まるような箇所があり、音楽が停滞してしまう傾向があるのです。私にはこれが不満。
しかし彼女のシューマンは定評あるもの。この協奏曲を弾かせるならやはり第一人者でしょう。
この日は最初こそ歩みを止めたがる動きがありましたが、ラザレフの牽引力にグイグイと牽き込まれ、実に推進力のあるシューマンになりました。
元々音楽性も音色もシューマンに適した人ですから、この作品、悪かろう筈はありません。
こういうタイプは指揮者の導きによってどうにでも変わるのだと思います。
後半のブラームス。ラザレフだからと言って特別に変わった解釈があるわけではありません。実にドイツ的で重厚な響きを構築していきます。
冒頭で言えばコントラバスをタップリと鳴らせる。
それにしても凄い集中力。指揮者もオーケストラも、この手垢に塗れた交響曲をまるで世界初演に臨んでいるかのような新鮮さで立ち向かっていきます。
最初の一音を聴いただけで、これは名演になるな、という予感。
圧巻は終楽章、特にアッチェレランドでコーダに入り、金管合奏によるコラールが高らかに鳴り渡るところ。ここ、鳥肌が立ちましたね。
ブラームスの1番は名曲であり過ぎ、面白く聴かせてやろうというあざとい演奏、変に醒めて批判的な演奏などに陥る傾向があるように思いますが、ラザレフは正に直球勝負で感動を引き出しました。
何度かカーテンコールが続くうち、ピッコロ奏者とトライアングル奏者が乱入。そう、お決まりのハンガリー舞曲第1番がアンコールされます。
これが又仰天ハンガリアン・ダンスで、テンポの速いこと速いこと。
中間部でテンポを落とし、せぇ~の、で主部に回帰というのが普通ですが、ナザレフはそんなことお構いなし、最初から最後まで強烈なテンポで突進します。最後はいつものように客席に向いて着地。どうだぁ~。
客席は興奮の坩堝。指しぶりに豪快なドイツ音楽を堪能しました。
その客席、さすがにこの日は入っていました。1階の様子は判りませんが、2階・3階は9割以上埋まっていたようです。特に3階は学生が多く、聞いてみると中学3年の音楽鑑賞教室なのだとか。
協奏曲では退屈してジッしていられない生徒もいましたが、ブラームスではほぼ全員が食い入るように舞台に見入っています。
むしろ行儀悪く扇子を使ったり、チラシを落としたりしているのは大人の方。
私が中学3年の時は既にクラシックオタクの仲間入りをしていましたが、それはレコードでのこと。学校でオーケストラのナマ演奏を聴かせてくれるなどという機会はありませんでしたね。
ということで、会場先行発売というラザレフ/日フィルのプロコフィエフ全集第1弾のCDをご祝儀に買ってしまいましたわ。
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