NHK音楽祭2007/パリ管弦楽団

放送音楽

昨日の深夜放送を録画したもの。今日は通院で休暇、帰ってきてから視聴しました。
クリストフ・エッシェンバッハが率いてパリ管弦楽団が来日公演を行っています。先週の月曜日(11月5日)にNHKホールで行われたプログラムの放送。

曲目は、ベルリオーズの序曲「ローマの謝肉祭」、続いてストラヴィンスキーのバレエ組曲「火の鳥」1919年版。ここで休憩があったようで、後半は全てラヴェル。組曲「マ・メール・ロワ」とラ・ヴァルス、最後はボレロというプログラム。

チューニングが変わっていますね。オーボエが立ち上がって、まず管楽器に向けて音を出します。次にコントラバスの方を向いて、弦楽器のチューニング。オーボエが立つ、というのは初めて見たような気がします。

例によって放送ですから音量やホールの空気感は想像の域。
第1ヴァイオリンのフォアシュピーラーに座っているのは、確か千々岩さん、という日本人プレイヤーじゃないでしょうか。大分前に晴海でディオティマQのメンバーとして聴いたことがあります。他にも日本人と思われる東洋系の顔が何人か入っていますね。

さすがにフランスのオケですね。最初のベルリオーズからしてアンサンブルはバラバラ。8分の6が突如4分の2に替わるところ、ゴチャゴチャでした。
ストラヴィンスキーも同じで、2曲目の「火の鳥の踊り」の弦のアンサンブルの適当なこと。パリ管の面目躍如です。

しかしこれが欠点にならないのがフランス。そもそもオーケストラが縦線ガチガチに合いまくり、なんてのはドイツ人の生真面目の産物か、アメリカンのマッチョ・アンサンブル。それを規範にしている日本人には解せないでしょうね。

アンサンブル? 合う時もあれば合わない時もある。C’est la Vie 、それが人生さ。なんて言われちゃいそう。音楽にはもっと大切な「Vie」が必要なんだよ、解るぅ~。

ラヴェルは本場もの、純正フランス音楽が聴けましたね。とにかく管楽器の音色、これだけで聴かせちゃいます。そりゃ往年のクリュイタンス/パリ音楽院の色合いとは比較になりませんよ。
でもね、決して失われているわけじゃないです。薄まってるだけ。その分、アンサンブルは当時より向上、というか国際標準に近付いてるんでしょ。

マ・メール・ロワは、この間プレヴィンとN響を聴いたばかりですが、まるで味付けが違います。2曲目でヴァイオリン・ソロが鳥を模しますね。このとき、影でクラリネットがカッコウを吹きます。アッ、とカッコウを発見できたのは、ヤッパリ音色故。成りきってます、カッコウに。ここがNと違うところ。

エッシェンバッハという指揮者は、かなり思い切ったルバートをかけますね。これがやや音楽の流れを阻害する感じ。火の鳥の最後の「タメ」は鼻につきますし、ラ・ヴァルスも大袈裟にし過ぎ、と感じました。
ボレロはほとんど指揮しませんでした。指揮台に立って、目で指示。あとは時々首を縦に振るだけ。いつ指揮棒を振りかざすかと見ていたら、最後にト長調に転調する処でやっと動きました。
小太鼓はフルートの前で叩いてましたね。最後のフレーズで入る2人目の小太鼓は、打楽器の低位置で。

エッシェンバッハ、全部暗譜で振ってました。マ・メール・ロワだけは指揮棒なし。

ということで、マ・メール・ロワとボレロが良かったですね。特にボレロ、指揮しませんでしたからな。アンコールは無し。

そうそう、オケの編成はコントラバス8本でしたから16型でしょう。弦楽器の配置は、ヴァイオリンが全て左。ヴィオラを最右翼に据えて、チェロが中に入る標準的なものでした。

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