クァルテット・エクセルシオ第17回東京定期

今日の東京は朝から真に梅雨らしい天気で、雨脚が強くなったり弱まったり。シットリと落ち着いた雰囲気の中を上野に向かいます。
クァルテット・エクセルシオが8日の試演会で披露した演目の本番、東京定期です。
このプログラムは既に7日に京都、18日には札幌でも取り上げたもの。定期演奏会シリーズと銘打つまでに発展してきました。
モーツァルト/弦楽四重奏曲第4番ハ長調K.157
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第6番変ロ長調作品18-6
~休憩~
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第12番変ホ長調作品127
エクの定期は自由席。1時半開場なので少し前から並ばないと好みの席が取れません。
いつもの調子で1時20分頃に上野の小ホールに着くと、既に開場待ちの長い列が出来ています。目測を誤った感じ。
会を重ねる毎に聴衆が増えているようで慶賀の至りですが、気持ちはやや複雑ですね。
前回の定期、去年の秋から今回までの間、エクには様々な「事件」がありました。
毎回配布される「エク通信」にも書かれている通り、エク・プロジェクトのNPO法人が設立されたこと、新日鉄音楽賞を受賞したこと、イギリス・ルーマニアへの海外公演が実現したこと等々です。
今回のプログラムは定期演奏会で定着しているモーツァルト+ベートーヴェンのシリーズですが、今日改めて彼らの真剣勝負に接し、半年間で体験したいくつかの事件が「肥やし」になっていると感じられました。
それは演奏への責任感であり、自信であり、団体としての一体感であろうと思慮します。目には見えないものながら、明らかに演奏の上に痕跡を止めている。
要するに、エクは着実にレヴェルを上げてきている、ということ。
今日の3曲で感じたのは、緩徐楽章の素晴らしさです。歌い込みが深いけれど、決して情に溺れてはいない。アンサンブルの緻密さと4本の弦のバランスの美しさ。知と情のバランスと言えば良いのか。
偶々今日が梅雨らしい一日で、聴いている私の気持ちがシットリと落ち着いたものであったため、とばかりは言えないように思います。
特に完成度が高かったと感じたのは、ベートーヴェンの6番。これはどの楽章の何処をとっても文句の付けようがない出来でした。
モーツァルトも、これまでで最も共感できる演奏だったと思います。これは曲の所為かも知れません。
メインの作品127。これだけの作品になると様々な演奏が可能で、好き嫌いも生ずるでしょう。
正直なところ、私がベートーヴェンの全クァルテットで最も苦手なのがこれ。苦手というより、良く判らないのです。
四つの楽章のバランスが悪いようにも感ずるし、ベートーヴェンとしては書きたいことがあり過ぎ、整理し切れていないような印象。
ですから、どうしても全体を納得の行く形で聴き通すのが難しい作品ではあります。
今回のエクも大変見事な演奏だったとは思いますが、全体の見通しという点では完全に満足したものではありませんでした。
作品127。エクはこれからも取り上げ続けるでしょう。私もエクと共にベートーヴェンの深みに嵌っていかなければなりません。

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