日本フィル・第249回横浜定期演奏会
3ヶ月続けて日本フィルの横浜定期を聴いてきました。今回は広上淳一の棒ということで、奮発して1階15列。
《メンデルスゾーン生誕200年アニヴァーサリー・プログラム》
メンデルスゾーン/劇音楽「真夏の夜の夢」~序曲、間奏曲、結婚行進曲
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
~休憩~
メンデルスゾーン/交響曲第5番「宗教改革」
指揮/広上淳一
ヴァイオリン/チャールズ・ウェザビー
コンサートマスター/木野雅之
ソロ・チェロ/菊地知也
いろいろと面白い、好奇心を満足させてくれるプログラムでした。
オール・メンデルスゾーンというプロは在りそうで無いもの。生誕200年の今年だからこそ聴けるプログラムなのかも知れません。前半はまだしも、宗教改革は佳い作品ながらナマではほとんど演奏されませんからね。
選曲の渋さが手伝ってか、客席は結構空席がありました。少し地味なプログラムになると客足が遠のく。横浜ってそういう都会なのか、東京でも似たり寄ったりか・・・。
それでも結婚行進曲が鳴り響くと、同じ列で聴いていた女の子が身を乗り出して聴いていました。あ、これ聴いたことがある!
シンバルが実に格調高く、通俗に堕さないのは流石に広上/日本フィル。
次も誰でも知っているヴァイオリン協奏曲。いわゆる「メンコン」という言い方は私が子供の頃から使われていますから、「チャイ5」などという略称より遥かに年季が入っています。
ソロを務めたウェザビー、実は広上マエストロが音楽監督だったコロンバス響のコンサートマスターを務めている人。一昨年の8月には京都市響にも客演して(もちろん広上指揮)日本デビューは経験済みです。
このヴァイオリン、典型的なコンサートマスターのソロで、錚々たる名人の演奏するヴィルトゥオーソ・タイプとは全く違うもの。音は大きくなく、ソロの華やかさを目立たせることとは無縁で、あくまでも室内楽に徹するヴァイオリン。
しかしこのことが、私には目から鱗のメンデルスゾーンを体験させてくれたのです。
例えば第2楽章の第2主題。明らかに第1主題とは性格を変え、テンポを落として微妙なニュアンスを丁寧にかつ楽譜の指示通りに謳い上げていく。カデンツァも然り。
広上の指揮もソリストに寄り添うが如く、同じ息遣いでメンデルスゾーンを語り合う。
全編この呼吸で貫かれたのが第2楽章。その素晴らしいこと。改めてメンデルスゾーンの才能に耳が洗われる思いでした。
ウンザリするほど聴いてきたメンコン。私はこの曲を初めて聴いたような感動を覚えましたし、これは全く予想もしない大収穫でしたね。
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲って、本当はこういう室内楽だったんだ。
アンコールを一つ披露してくれました。全く知らない曲。どうやらポピュラー曲をソロ用にアレンジしたもののようです。後で事務局に聞いたら、ウェザビー自身のアレンジではなく友人が編曲してくれたものの由。
帰りの掲示板で確認したら、ハーマン・ハプフェルト Herman Hupfeld (1894-1951) の“as time goes by”(時の過ぎゆくままに) というものだそうです。知らないのは私だけかも。
因みにハプフェルトはアメリカのソング・ライターで、これが代表作。本来は Everybody’s Welcome というミュージカルのために書いた曲ですが、映画「カサブランカ」で使われて世界的にヒットした由。こんなんですわ↓
http:// www.you tube.co m/watch ?v=eIiA dHGi3AI
さて後半はメインの宗教改革。こちらは実にシンフォニックな名演で、久し振りに大作の充実した響を堪能しました。
第2ヴァイオリンの一番後ろのプルト。なんと協奏曲でソロを弾いたウェザビー君も合奏に加わっているではありませんか。ソロの後で客席で聴く、という姿は時々見かけますが、一緒にオケで弾くのを見たのは初めて。
広上を巨匠と仰ぐウェザビーの気持ち、もっと長くコロンバスで共演したかったという気持ちの表れでしょう。
オーケストラもアンコール。
“荘厳な曲を聴いた後は、チョッと悲しい音楽を。彼もいることですし・・・” と指差したのはチェロの菊地知也。
静かに始まったのは、そのチェロ・ソロで始まる美しいリャードフ。「八つのロシア民謡」から第3曲。英語で Complaint と題された作品です。
多分初めて体験する曲で、その場では何だか判らず、帰りに掲示板で確認した次第。
この日はシーズン最終日で、演奏終了後にホワイエでファイナル・パーティが行われました。トランペットの星野首席の司会、最近入団したばかりの金管のホープ二人が浴衣に着替えての演奏、トロンボーンの藤原功次郎とチューバの柳生和大の楽しいデュオが華を添えます。
(後で個人的に話を聞くと、藤原君は“ふじわら”ではなく“ふじはら”と読むのだとか)
最後はウェザビー、広上両氏のスピーチ。ウェザビーくんの通訳も兼ねた広上マエストロ、
“thank you very much”
“今のは、ありがとうございます”
で、会場は大爆笑。
この日のプログラムにも理事長交替のお知らせがあり、急速に変貌していく日本フィルを象徴するようなパーティでした。
ガンバレ、藤原、柳生、そして日本フィル。
《メンデルスゾーン生誕200年アニヴァーサリー・プログラム》
メンデルスゾーン/劇音楽「真夏の夜の夢」~序曲、間奏曲、結婚行進曲
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
~休憩~
メンデルスゾーン/交響曲第5番「宗教改革」
指揮/広上淳一
ヴァイオリン/チャールズ・ウェザビー
コンサートマスター/木野雅之
ソロ・チェロ/菊地知也
いろいろと面白い、好奇心を満足させてくれるプログラムでした。
オール・メンデルスゾーンというプロは在りそうで無いもの。生誕200年の今年だからこそ聴けるプログラムなのかも知れません。前半はまだしも、宗教改革は佳い作品ながらナマではほとんど演奏されませんからね。
選曲の渋さが手伝ってか、客席は結構空席がありました。少し地味なプログラムになると客足が遠のく。横浜ってそういう都会なのか、東京でも似たり寄ったりか・・・。
それでも結婚行進曲が鳴り響くと、同じ列で聴いていた女の子が身を乗り出して聴いていました。あ、これ聴いたことがある!
シンバルが実に格調高く、通俗に堕さないのは流石に広上/日本フィル。
次も誰でも知っているヴァイオリン協奏曲。いわゆる「メンコン」という言い方は私が子供の頃から使われていますから、「チャイ5」などという略称より遥かに年季が入っています。
ソロを務めたウェザビー、実は広上マエストロが音楽監督だったコロンバス響のコンサートマスターを務めている人。一昨年の8月には京都市響にも客演して(もちろん広上指揮)日本デビューは経験済みです。
このヴァイオリン、典型的なコンサートマスターのソロで、錚々たる名人の演奏するヴィルトゥオーソ・タイプとは全く違うもの。音は大きくなく、ソロの華やかさを目立たせることとは無縁で、あくまでも室内楽に徹するヴァイオリン。
しかしこのことが、私には目から鱗のメンデルスゾーンを体験させてくれたのです。
例えば第2楽章の第2主題。明らかに第1主題とは性格を変え、テンポを落として微妙なニュアンスを丁寧にかつ楽譜の指示通りに謳い上げていく。カデンツァも然り。
広上の指揮もソリストに寄り添うが如く、同じ息遣いでメンデルスゾーンを語り合う。
全編この呼吸で貫かれたのが第2楽章。その素晴らしいこと。改めてメンデルスゾーンの才能に耳が洗われる思いでした。
ウンザリするほど聴いてきたメンコン。私はこの曲を初めて聴いたような感動を覚えましたし、これは全く予想もしない大収穫でしたね。
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲って、本当はこういう室内楽だったんだ。
アンコールを一つ披露してくれました。全く知らない曲。どうやらポピュラー曲をソロ用にアレンジしたもののようです。後で事務局に聞いたら、ウェザビー自身のアレンジではなく友人が編曲してくれたものの由。
帰りの掲示板で確認したら、ハーマン・ハプフェルト Herman Hupfeld (1894-1951) の“as time goes by”(時の過ぎゆくままに) というものだそうです。知らないのは私だけかも。
因みにハプフェルトはアメリカのソング・ライターで、これが代表作。本来は Everybody’s Welcome というミュージカルのために書いた曲ですが、映画「カサブランカ」で使われて世界的にヒットした由。こんなんですわ↓
http://
さて後半はメインの宗教改革。こちらは実にシンフォニックな名演で、久し振りに大作の充実した響を堪能しました。
第2ヴァイオリンの一番後ろのプルト。なんと協奏曲でソロを弾いたウェザビー君も合奏に加わっているではありませんか。ソロの後で客席で聴く、という姿は時々見かけますが、一緒にオケで弾くのを見たのは初めて。
広上を巨匠と仰ぐウェザビーの気持ち、もっと長くコロンバスで共演したかったという気持ちの表れでしょう。
オーケストラもアンコール。
“荘厳な曲を聴いた後は、チョッと悲しい音楽を。彼もいることですし・・・” と指差したのはチェロの菊地知也。
静かに始まったのは、そのチェロ・ソロで始まる美しいリャードフ。「八つのロシア民謡」から第3曲。英語で Complaint と題された作品です。
多分初めて体験する曲で、その場では何だか判らず、帰りに掲示板で確認した次第。
この日はシーズン最終日で、演奏終了後にホワイエでファイナル・パーティが行われました。トランペットの星野首席の司会、最近入団したばかりの金管のホープ二人が浴衣に着替えての演奏、トロンボーンの藤原功次郎とチューバの柳生和大の楽しいデュオが華を添えます。
(後で個人的に話を聞くと、藤原君は“ふじわら”ではなく“ふじはら”と読むのだとか)
最後はウェザビー、広上両氏のスピーチ。ウェザビーくんの通訳も兼ねた広上マエストロ、
“thank you very much”
“今のは、ありがとうございます”
で、会場は大爆笑。
この日のプログラムにも理事長交替のお知らせがあり、急速に変貌していく日本フィルを象徴するようなパーティでした。
ガンバレ、藤原、柳生、そして日本フィル。
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