お見事! スタウト師の偉業

昨日のキング・ジョージ、「もしや」が現実になりましたね。そう、サー・マイケル・スタウト調教師の管理馬が1着から3着までを独占、ワン・ツー・スリーを達成したのです。この偉業に対する賭け率を出していたブックメーカーには痛手でしょうねぇ~。
スタウト師も過去にGⅠのワン・ツーは何度か経験していますが、3着まで独占は初めて。GⅠのワン・ツー・スリーは多分パターン史上初の快挙じゃないでしょうか。
改めてキング・ジョージ6世・アンド・クイーン・エリザベス・ステークス(GⅠ、3歳上、1マイル4ハロン)の結果は、1着コンデュイ Conduit 、2着は1馬身4分の3差でタータン・ベアラー Tartan Bearer 、頭差の3着にアスク Ask の順。
以下、4着に3歳馬アルワーリー Alwaary 、5着にオブライエン・トリオのエース格ゴールデン・ソード Golden Sword 、6着は去年のオークス馬ルック・ヒア Look Here 、去年の愛ダービー馬フローズン・ファイア Frozen Fire 7着、オブライエンのペースメーカーを務めたロックハンプトン Rockhampton 8着、シンティロ Scintillo がシンガリの9着というのが、全着順です。
レースはロックハンプトンの逃げで始まり、フローズン・ファイアとゴールデン・ソードが激しく追走。ペースは真のスタミナ・テストになるハイペースで流れました。
直線、待機していたスタウト・トリオが急襲。アスク、タータン・ベアラー、コンデュイの順に仕掛け、最後はムーア騎乗のコンデュイが力でねじ伏せた印象です。
最後は馬がぶつかる場面があり、直ぐに審議に。その結果は入線通り確定しましたが、ムーア騎手は不注意な騎乗の咎で3日間の騎乗停止処分に。
レース前の人気は、勝ったコンデュイが13対8の1番人気、タータン・ベアラーが7対2の2番人気でしたから、極めて順当な結果と言えましょう。
ムーア騎手はキング・ジョージ初制覇。オーナーであるバリマコール・スタッドは、基礎を築いたワインストック家から数えて4勝目に当ります(トロイ Troy 、エラ=マナ=ムー Ela-Mana-Mou 、ゴラン Golan)。
伝統である薄水色の勝負服、今回は馬主としてもワン・ツー・フィニッシュでした。
スタウト師にとってもキング・ジョージは4勝目。1981年のシャーガー Shergar 、1993年のオペラ・ハウス Opera House 、そして2002年のゴラン Golan に続く栄冠。
またセントレジャー馬がキング・ジョージを制したのは1959年のアルサイド Alcide 以来のこと、実に半世紀を距てた出来事なのです。
確か1952年のタルヤー Tulyar 、1958年のバリモス Ballymoss に続く4頭目のセントレジャー/キングジョージ・ダブルでしょう。
この勝利により、コンデュイは古馬の主役に・・・。厩舎もオーナーも凱旋門賞に強い意欲を示し、オッズも7対1と現実味を帯びてきました。ヴィジョン・デタと並んで古馬の意地を見せるでしょうか。
さて折角の機会ですから、ここでサー・マイケル・スタウトのプロフィールを簡単に紹介しておきましょうか。
師は南アフリカのバルバドス出身で、父君はバルバドスの警察長官。イギリスに来たのは1965年のこと。
2005年、2006年と2年連続でリーディング・トレーナーになっていますが、既にこのタイトルは9回も獲得しています。
今年も現時点でオブライエン厩舎を大きく引き離していますから、10度目のタイトル獲得も視野に入ってきましたね。
クラシックも最後の砦であったセントレジャーを去年コンデュイで制覇し、5冠調教師に。5年連続でクラシック制覇を達成するという快挙も達成していますが、これは20世紀ではスタウトさんだけでしょう。
その意味でも、今回のコンデュイは師にとって忘れられない名馬になるはずです。
古馬(4歳より上)の調教にも定評のある方で、古馬はあまり上がり目がないものですが、スタウトさんが大化けさせた馬は枚挙に暇がありません。
日本にもシッカリ足跡を残していて、ジャパン・カップをジングシュピールとピルサドスキで2度も制しています。
スタウト師の叙勲は調教師という本業に拠るものではなく、祖国バルバドスの観光関係の功績に対するもの。師の意外な一面ですね。
さて、この日のアスコットではもう一鞍パターン・レースが行われています。
プリンセス・マーガレット・ステークス(GⅢ、2歳牝、6ハロン)は9頭立て。5対2の1番人気に支持されたレディー・オブ・ザ・デザート Lady Of the Desert が順当に勝っています。
2着は1馬身半でフル・マンデイト Full Mandate 、3着は1馬身でサンド・ヴィクセン Sand Vixen 。
レディー・オブ・ザ・デザートは、前走ロイヤル・アスコットのクイーン・メアリー・ステークスではアメリカの快速馬(ジェアラス・アゲイン)を深追いして失敗(6着)しましたが、ここでは実力通りのスピードを見せ付けました。
ブライアン・ミーハム厩舎、マーティン・ダイヤー騎乗。
これにより来年の1000ギニーに25対1のオッズが出されています。
もう一つヨーク競馬場のヨーク・ステークス(GⅡ、3歳上、1マイル2ハロン88ヤード)。
これは、かつてあったエア競馬場のスコティッシュ・ダービーに替わるレースとして2006年に導入されたもの。8月中旬の(ヨーク)イボア開催のメインであるインターナショナル・ステークスと同じ距離・コースであることから、インターナショナル・トライアルの性格も併せ持つことになりました。
今年は9頭立て。タジーズ Tazeez の逃げをマークした1番人気のカークリーズ Kirklees が順当に勝っています。
2着は1馬身4分の3でアライド・パワーズ Allied Powers 、3着に半馬身でキングズ・ギャンビット Kings Gambit の順。
勝ったカークリーズはゴドルフィンの馬。スオール厩舎、デットーリ騎乗で、当然ながら来月のインターナショナルを狙います。
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