ハービンジャー、ぶっちぎり!!

キングジョージの映像、見ましたか? 2着に11馬身差というのは、キングジョージ史上初じゃないでしょうか。

昨日の土曜日、アスコット競馬場で行われたキング・ジョージ6世クィーン・エリザベス・ステークス(GⅠ、3歳上、1マイル4ハロン)は当初7頭が登録していましたが、ダー・レ・ミ Dar Re Mi が石を踏んで脚を痛めたため取り消し、6頭立てで行われました。出走馬の半数がスタウト厩舎です。

8対11の断然1番人気は、そのスタウト師が管理するダービー馬ワークフォース Workforce 、鞍上は当然ライアン・ムーアです。
実はダービー/キングジョージ連覇はかつてチャンピオンが歩む王道でしたが、ダービー馬はより距離が短いエクリプス・ステークスに向かうのが最近の傾向です。

ダービー/キングジョージは9年前(2001年)のガリレオ Galileo 以来無く、3歳馬の勝利も2003年のアラムシャー Alamshar が最後の記録なのです。そしてエプサム・ダービー馬が出走してきたのも2003年が最後(クリス・キン Kris Kin)。今年はその流れを断ち切ることに期待が高まっていました。

レースはスタウト厩舎のペースメーカー、コンフロント Confront が引っ張って直線へ。ここで2・3番手を進んだワークフォースと愛ダービー馬ケープ・ブランコ Cape Blanco の3歳勢が襲い掛かりますが、3歳馬の優位は一瞬。4番手に待機したハービンジャー Harbinger が馬なりのまま進出したところで、このチャンピオン決定戦は一方的なレースになってしまいました。

鞍上オリヴィエ・ペリエは、先頭に立った直後に気合いを入れるために左ムチを一発入れただけ。あとは馬を追うだけで11馬身の大差を付ける圧勝劇でした。
2着はワンペースで流れ込んだケープ・ブランコ。更に3馬身4分の1差3着に古豪ユームゼイン Youmzain が続き、フランスから遠征したダルヤカナ Daryakana が首差で4着の順。本命ワークフォースはペースメーカーを捉えただけの5着と期待を大きく裏切ってしまいました。ハービンジャーとの着差は17馬身くらいだったでしょうか。

勝ち時計の2分26秒78は、コースレコード・タイム。記録尽くしのキングジョージでした。

管理するサー・マイケル・スタウト師にとって5勝目のキングジョージ。ディック・ハーン、サイード・ビン・スロールと並んでリーディング・トレーナーに並んだことになります。
即ち、1981年のシャーガー Shergar 、1993年のオペラ・ハウス Opera House 、2002年ゴーラン Golan 、そして去年のコンデュイ Conduit と。

これまでハービンジャーは全てライアン・ムーアが手綱を取って来ましたが、今回はワークフォースに跨るため、初めてオリヴィエ・ペリエが騎乗していました。
ペリエ騎手にとってはラッキーなキングジョージ初制覇です。

ハービンジャーはGⅠ初挑戦で初勝利、一歩一歩確実にクラスを上げていくスタウト師の典型的な名馬育成術と申せましょう。
去年(3歳時)は3戦目にゴードン・ステークスに勝ってセントレジャーの1番人気に上がりましたが、続くヴォルティジュールで凡走。そのあとは無理をさせませんでしたね。

4歳になった今年はジョン・ポーター(GⅢ)、オーモンド(GⅢ)、ハードウィック(GⅡ)と連覇し、この日のキングジョージで4連勝して頂点に立ったのです。

この圧勝で目標は当然ながら凱旋門賞になるでしょう。スタウト師には未だ凱旋門賞のタイトルは無く、今年は絶好のチャンスかも知れません。
これまで1番人気だったワークフォースは本命から陥落し、替って同厩のハービンジャーが2対1の本命に躍り出ました。凱旋門賞では主戦騎手のライアン・ムーアが乗ってくるでしょう。

キングジョージ当日には、毎年のようにプリンセス・マーガレット・ステークス(GⅢ、2歳牝、6ハロン)が行われます。
今年は取り消しが1頭あり、11頭立て。

2対1の1番人気は、前走アルバニー・ステークスでメモリー Memory の2着したマーゴット・ディド Margot Did でしたが、最後の最後でソラーヤ Soraaya の末脚に半馬身屈して2着の惜敗。更に2馬身で3着はパーフェクト・トリビュート Perfect Tribute という結果でした。

勝ったソラーヤも前走のチェリー・ヒントン・ステークスでメモリーの2着だった馬。この結果、現在来年の1000ギニー本命に挙げられているメモリーの評価が益々高くなっています。

ソラーヤを管理するのはミック・シャノン師。騎乗していたライアン・ムーアは、距離が7ハロンに伸びた方が良さそう、というアドバイスを送っています。

本来ならこのレースの勝馬はラウザー・ステークスからチーヴリー・パーク・ステークスと6ハロン路線を歩むのが筋でしょうが、このアドバイスによって7ハロンのモイグレア・スタッド・ステークスに向かうプランも出てきたようです。
それはメモリーとの再対決を意味しますが、シャノン師は恐れずに立ち向かう決意を固めた様子でした。

土曜日はもう一つ、ヨーク競馬場でヨーク・ステークス(GⅡ、3歳上、1マイル2ハロン88ヤード)も行われています。

8頭立ての1番人気は、3対1でドビュッシー Debussy 。
レースはセントレジャー3着の実績あるモニター・クローズリー Monitor Closely の逃げで始まり、本命ドビュッシーは2番手追走。

直線ではどの馬にもチャンスがありそうな混戦となりましたが、最後方から追い込んだサミット・サージ Summit Surge の末脚が勝り、ブッシュマン Bushman に1馬身4分の1差を付けて優勝。更に1馬身半差の3着争いは激戦で、これも後方から進んだアリバー Allybar が食い込みました。ドビュッシーは頭差4着まで。

サミット・サージはルカ・クマニ厩舎所属、キーレン・ファロンの騎乗。同馬はここ6戦はファロンとコンビを組み、前走はイタリアでのGⅡ戦で2着したばかり。今回がこのコンビでの初勝利となります。

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