メゾン＝ラフィットのギニー・トライアル

昨日はメゾン＝ラフィット競馬場でクラシックに向けた二つのトライアルが行われました。牡馬によるジェベル賞と牝馬のためのアンプルーダンス賞。

去年の日記にも紹介した通り、アンプルーダンスは去年からＧⅢに、ジェベルは今年からＧⅢに格上げされたトライアルです。
どちらも創設は戦後間もない１９４９年。これまではリステッドに甘んじていましたが、クラシックのトライアルとしては昔から重要な位置付けだったレースですね。

馬場状態はこの時期特有の重馬場。これが明暗を分けたような結果になっています。

先ずジェベル賞(ＧⅢ、３歳牡騸、１４００メートル)。
去年このレースを制したル・アーヴル Le Havre は仏２０００ギニーで２着したあと仏ダービーを制し、ジェベル賞がフロックだという批判を見事に覆しました。

今年のフランス・クラシック牡馬はややレヴェルに疑問があるような気がしますが、今年のジェベルは８頭立て。これが今シーズン２戦目で連勝を狙うボルトシティ Boltcity が９対１０の１番人気に支持されていました。

レースはリッチ Ricci の逃げで始まりましたが、勝負所で本命ポルトシティは脚が止まり４着に敗退。馬場が敗因とのコメントが出されています。

好位から抜け出して快勝したのは、６３対１０で３番人気だったマクフィ Makfi 、２着に３馬身差を付ける圧勝でした。
その２着にはトゥー・ナイス・ネーム Too Nice Name 、３着には更に４分の３馬身差で騸馬のシルヴァー・ブラック Silver Black の順。

勝ったマクフィは２歳時にフォンテンブロー競馬場の新馬戦に勝っただけ、これが２戦目というキャリアでした。
調教師はマイケル・デルザングレス、騎手はクリストフ・ルメールです。
レース振りから見て１マイルは問題ないでしょうし、イギリスかフランス、どちらかの２０００ギニーを目標にする由。

一方のアンプルーダンス賞(ＧⅢ、３歳牝、１４００メートル)も番狂わせとなりました。

このトライアルはジェベル賞以上にクラシックに直結するトライアルで、去年の勝馬エルーシヴ・ウェイヴ Elusive Wave は仏１０００ギニーに勝ちましたし、２００８年のナタゴラ Natagora も英１０００ギニーを制しています。

７頭が出走した今年は、去年のチーヴリー・パーク・ステークスを制し、英１０００ギニーでも既に５対２の断然１番人気に支持されているスペシャル・デューティー Special Duty が始動。９対１０の圧倒的本命です。
彼女を調教するクリティック・ヘッド＝マーレク女史は、アンプルーダンス賞を既に１０回も制しており、このうちマ・ビッシュ Ma Biche とラヴィネラ Ravinella が共に英１０００ギニーを勝ってるのは承知の事実。ここは負けられない一戦。

ところがスペシャル・デューティーは、ステファン・パスキエ騎乗で快調に逃げたものの、直線で他馬に並ばれると余力が全く残っておらず、ズルズルと３着に敗退してしまいました。
休み明け、重馬場に適性が無い、距離不安(彼女にとって初めての１４００メートル戦でした)など様々な敗因が挙げられていますが、１０００ギニーに向かうか否かは未定の状況になってしまいました。それでも各ブックメーカーから現時点で５対１の本命に挙げられているのは変わらないのですが・・・。

同じくヘッド姉さんが調教したハトゥーフ Hatoof は、アンプルーダンスで負けながら英１０００ギニーに勝った先例もあります。この一戦だけで一概に捨てるわけにはいかないでしょう。

替って主役に躍り出たのは、１３対５の２番人気を集めていたジョアンナ Joanna 。逃げるスペシャル・デューティーを射程に捉えて抜け出しての勝利。２着は内ラチから追い込んだイヴェイディング・テンペート Evading Tempete が半馬身で続き、更に半馬身でスペシャル・デューティーという結果。

勝ったジョアンナはイタリアからの転厩馬。２歳時半ばまではブルーノ・グリゼッティ厩舎に所属していましたが、ドーヴィルでカルヴァドス賞(ＧⅢ)に勝ったのを契機にハムダン・アル・マクトゥーム氏が購入、現在のジャン＝クロード・ルジェ厩舎に移った経緯があります。転厩後は、マルセル・ブーサック賞(ＧⅠ)で３着の実績。
今回はクリストフ・スミオンの騎乗で、順調なら仏１０００ギニーに向かう予定だそうです。

ジョアンナの父はダービー馬のハイ・シャパラル High Chaparral ということもあり、距離が延びるのは好材料でしょう。スペシャル・デューティーの動向に拘わらず、仏１０００ギニーの有力候補に挙がったのは間違いない所。

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