京都市交響楽団・第527回定期演奏会
2年振りに京都市響を聴き、先ほど帰ってきたところです。
前回の京都は6月、梅雨時の雨に祟られて蒸し暑かったことを覚えていますが、今回も雨。噂に高い京都の暑さは幾分収まっていたようですが、蒸すこと蒸すこと。やはり8月の京都は鬼門ですな。
気持では日帰りにしたかったのですが、どうやら帰省シーズンに突入したとか。ワンデイ京都の割引券は出ない時期。
家内が色々探してみたところ、一泊すれば日帰りより廉いという妙な商品があるということで、経費節減の泊まり旅です。
日曜日に半日、月曜日にも半日の余裕がありましたが、どちらも雨。結局は観光無しの純粋コンサート・ツアーと相成りました。
二度目の京響定期ですから、いつもと比較しての感想じゃありません。最初にお断りしておきます。
それにしても8月に定期演奏会を開催しているのは京都だけじゃないでしょうかね。その定期は些か風変わりなプログラムです。
チャイコフスキー/スラヴ行進曲
プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲第2番
~休憩~
ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲
チャイコフスキー/イタリア奇想曲
指揮/広上淳一
ヴァイオリン/黒川侑(くろかわ・ゆう)
ピアノ/河村尚子
コンサートマスター/泉原隆志
ポイントは一晩の(と言っても午後2時半開演のマチネーです)コンサートに協奏曲が二つ配され、ソリストも二人登場するということ。
これを挟むのがチャイコフスキーのポピュラーな管弦楽作品。「通俗」という形容詞を付けても良いような名曲で、定期演奏会向きの作品とは言い難い面もあるでしょう。
しかし実際に聴いてみると、これが物凄い効果を挙げるのです。この辺が広上の只者でないところで、私が態々クソ暑い8月の京都に乗り込んだ理由でもあるのですがね。
同じ様なことを考えた人達も存外多く、東京から馳せ参じた顔も少なからず確認できました。やはり「ヒロカミ」という指揮者には独特の魔力がある、というのが正直な感想。案外に地元京都の聴き手には、その価値が見えてこないのかもしれません。チョッと口が滑ったかな。
2年前の京響は、如何にも京都を感じさせる大人しい印象でした。ホールの音響故か、オケの音がストレートに伝わってこないもどかしさを感じたのも事実。
しかし今回は明らかにグレードアップしていることが実感できます。
オーケストラはカラフルに変貌を遂げ、音色は輝きに満ち、何よりも演奏姿勢が積極的なものに豹変。
京都コンサートホールも比較にならないほど鳴り響いていました。
これを敢えて「広上効果」、と称えて良いと思います。
プロコフィエフを弾いた黒川は1990年京都生まれ。まだ19歳の若手。3年前の日本音楽コンクール第1位は、史上最年少だったそうです。
私は初めて聴きましたが、音量はシッカリしているし、叙情的な美しさを持った才能だと思いました。
ラフマニノフの河村は私も最も期待しているピアニスト。その登場の仕方もお辞儀の作法も彼女独特の個性があり、スターの素質を備えた逸材でしょう。
今回のラフマニノフも音色の多彩さ、テクニックの完璧さ、スリリングな音楽でズバ抜けた存在感をアピールしました。
広上/京響とのコラボレーションも完璧。
協奏曲を挟むチャイコフスキーは、いつもの広上スタイル。真っ向勝負の極めてシンフォニックな表現で唸らせます。
「通俗」とは一線を画する「格調」の高さ。
スラヴ行進曲は、やや遅めのテンポで堂々たる足取り。
イタリア奇想曲は、作品の性格を見事に描き分け、最後のクライマックスへ向けての盛り上げ方が圧巻。
(広上のイタリア奇想曲は神奈川フィルでも聴きましたが、“絶品”と言って憚りません。もし何処かで取り上げる機会を見つけたら、万難を排してでも聴かれることをお薦めします)
このプログラム、何気なくロシアの名曲を並べたようにも見えますが、聴き終わってみると、夫々が交響曲の一つの楽章の様にも聴き取れてくるのでした。
緩徐楽章としてのプロコフィエフ、壮大なスケルツォとしての色彩的なラフマニノフ、そして両端楽章をシンフォニックに隈取るチャイコフスキー。
定期演奏会にも拘わらず、最近の広上の特徴である意表を衝いたアンコールも用意されていました。
NHKのドラマ「天・地・人」のテーマは、この演奏会をテレビ収録した放送局へのサービスも兼ねていたんでしょうか。会場も意外なプレゼントに大喜び。
コンサート終了後、ロビーでレセプションが行われました。オーケストラのメンバー多数、指揮者、ソリスト二人も参加して聴衆との交流会です。
これも首席指揮者に就任した広上のアイディアの由。
この模様は、広上へのインタヴューを含めて8月30日にNHK「オーケストラの森」で紹介される予定。
日にちは未定ですが、9月にはBSでもオンエアされることが決まっているようです。是非是非ご覧下さい。
前回の京都は6月、梅雨時の雨に祟られて蒸し暑かったことを覚えていますが、今回も雨。噂に高い京都の暑さは幾分収まっていたようですが、蒸すこと蒸すこと。やはり8月の京都は鬼門ですな。
気持では日帰りにしたかったのですが、どうやら帰省シーズンに突入したとか。ワンデイ京都の割引券は出ない時期。
家内が色々探してみたところ、一泊すれば日帰りより廉いという妙な商品があるということで、経費節減の泊まり旅です。
日曜日に半日、月曜日にも半日の余裕がありましたが、どちらも雨。結局は観光無しの純粋コンサート・ツアーと相成りました。
二度目の京響定期ですから、いつもと比較しての感想じゃありません。最初にお断りしておきます。
それにしても8月に定期演奏会を開催しているのは京都だけじゃないでしょうかね。その定期は些か風変わりなプログラムです。
チャイコフスキー/スラヴ行進曲
プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲第2番
~休憩~
ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲
チャイコフスキー/イタリア奇想曲
指揮/広上淳一
ヴァイオリン/黒川侑(くろかわ・ゆう)
ピアノ/河村尚子
コンサートマスター/泉原隆志
ポイントは一晩の(と言っても午後2時半開演のマチネーです)コンサートに協奏曲が二つ配され、ソリストも二人登場するということ。
これを挟むのがチャイコフスキーのポピュラーな管弦楽作品。「通俗」という形容詞を付けても良いような名曲で、定期演奏会向きの作品とは言い難い面もあるでしょう。
しかし実際に聴いてみると、これが物凄い効果を挙げるのです。この辺が広上の只者でないところで、私が態々クソ暑い8月の京都に乗り込んだ理由でもあるのですがね。
同じ様なことを考えた人達も存外多く、東京から馳せ参じた顔も少なからず確認できました。やはり「ヒロカミ」という指揮者には独特の魔力がある、というのが正直な感想。案外に地元京都の聴き手には、その価値が見えてこないのかもしれません。チョッと口が滑ったかな。
2年前の京響は、如何にも京都を感じさせる大人しい印象でした。ホールの音響故か、オケの音がストレートに伝わってこないもどかしさを感じたのも事実。
しかし今回は明らかにグレードアップしていることが実感できます。
オーケストラはカラフルに変貌を遂げ、音色は輝きに満ち、何よりも演奏姿勢が積極的なものに豹変。
京都コンサートホールも比較にならないほど鳴り響いていました。
これを敢えて「広上効果」、と称えて良いと思います。
プロコフィエフを弾いた黒川は1990年京都生まれ。まだ19歳の若手。3年前の日本音楽コンクール第1位は、史上最年少だったそうです。
私は初めて聴きましたが、音量はシッカリしているし、叙情的な美しさを持った才能だと思いました。
ラフマニノフの河村は私も最も期待しているピアニスト。その登場の仕方もお辞儀の作法も彼女独特の個性があり、スターの素質を備えた逸材でしょう。
今回のラフマニノフも音色の多彩さ、テクニックの完璧さ、スリリングな音楽でズバ抜けた存在感をアピールしました。
広上/京響とのコラボレーションも完璧。
協奏曲を挟むチャイコフスキーは、いつもの広上スタイル。真っ向勝負の極めてシンフォニックな表現で唸らせます。
「通俗」とは一線を画する「格調」の高さ。
スラヴ行進曲は、やや遅めのテンポで堂々たる足取り。
イタリア奇想曲は、作品の性格を見事に描き分け、最後のクライマックスへ向けての盛り上げ方が圧巻。
(広上のイタリア奇想曲は神奈川フィルでも聴きましたが、“絶品”と言って憚りません。もし何処かで取り上げる機会を見つけたら、万難を排してでも聴かれることをお薦めします)
このプログラム、何気なくロシアの名曲を並べたようにも見えますが、聴き終わってみると、夫々が交響曲の一つの楽章の様にも聴き取れてくるのでした。
緩徐楽章としてのプロコフィエフ、壮大なスケルツォとしての色彩的なラフマニノフ、そして両端楽章をシンフォニックに隈取るチャイコフスキー。
定期演奏会にも拘わらず、最近の広上の特徴である意表を衝いたアンコールも用意されていました。
NHKのドラマ「天・地・人」のテーマは、この演奏会をテレビ収録した放送局へのサービスも兼ねていたんでしょうか。会場も意外なプレゼントに大喜び。
コンサート終了後、ロビーでレセプションが行われました。オーケストラのメンバー多数、指揮者、ソリスト二人も参加して聴衆との交流会です。
これも首席指揮者に就任した広上のアイディアの由。
この模様は、広上へのインタヴューを含めて8月30日にNHK「オーケストラの森」で紹介される予定。
日にちは未定ですが、9月にはBSでもオンエアされることが決まっているようです。是非是非ご覧下さい。
はじめまして、メリーウイロウさん。
広上淳一氏の「魔力」にすっかりかかってしまった
にゃお10といいます。
はるばる関東の方からいらっしゃったのですね。
素晴しい演奏会でしたから、その甲斐が十分にあった
のではないでしょうか。
なるほど、4つのプログラム構成は、全4楽章からなる
1つのシンフォニーを形作っているということですか。
なので、ボリューム感たっぷりで聴き応えがあったんだ。
きっと、広上氏もそのことを意図してプログラムを
組んだのかもしれませんね。まさに、目からうろこです。
ご都合よろしければ、ぜひまた、11月の京響定演にも
お出でください。