京都市交響楽団・第530回定期演奏会
また来てしまいました、京都。
最初はこの回はパスする積りだったのですが、8月の定期があまりにも良かったので、ついつい勢いで購入してしまったチケットです。勝手に名付けている広上フェスティヴァル第2弾は京都で決まり。
11月最後の週末は、誰が考えたってアノ季節。巡り合わせが良かったのか、紅葉がジャスト・マッチした土曜日でもありました。懐具合と時間を考えて、今回は50+のワンデイ京都。激安新幹線で出掛けます。余計なことだけど、水戸黄門寸劇付きの団体様ご一行。
10時少し過ぎに京都着。京都コンサートホールの開場までは3時間チョッとの時間があります。この間の行動は家内任せ、私は指示に従ってウロウロするだけです。
北山に近い紅葉スポットとして選択したのが、烏丸線の北大路に近い大徳寺。紫野にある広大な臨済宗の古刹。
私はもちろん初めて足を踏み入れたのですが、その広いこと。20以上の塔頭が並んでいて、自由に参拝できる所もあれば、一切の参拝お断りという所もあります。季節限定で今だけ参拝できる塔頭もありました。
脇目も振らずに向かったのは細川家の菩提寺である高桐院(こうとういん)。一々触れれば限がありませんが、ここの紅葉は見事です。落ち葉を掃かない主義なので、庭そのものの美しいこと。
利休が一部を自ら壊して秀吉への献上を断ったという由緒ある燈籠などを見学しましたが、物凄い人出です。それこそ足の踏み場もない。
次いで秋期特別公開という前田家菩提寺の芳春院(ほうしゅんいん)を訪ねます。ここは紅葉スポットというよりも、京都四閣の一つとして知られる呑湖閣(どんこかく)の趣が見モノ。訪れる人も高桐院ほどではありません。
庭は以前は桔梗が一面に植えられていたそうですが、手入れが大変ということで現在は枯山水に造り替えられていました。
それでも、ここに座して広々とした空を眺めていると、無粋な私にも様々な感慨が湧き起こってきます。
(ここは写真撮影禁止)
これだけで2時間はあっという間に過ぎてしまいました。食事も兼ねて北山へ。本来の目的であるコンサートホールに向かいます。
出発地の品川も、目的地京都も、立ち寄った大徳寺も人でゴッタ返していましたが、コンサートホールも善男善女で溢れ返っています。聞けばチケット完売なのだとか。
モーツァルト/歌劇「魔笛」序曲
ベートーヴェン/ヴァイオリン、チェロ、ピアノのための三重協奏曲
~休憩~
サン=サーンス/交響曲第3番
指揮/広上淳一
ヴァイオリン/堀米ゆず子
チェロ/宮田大
ピアノ/アブデラ・ラーマン・エル=バシャ
オルガン/桑山彩子
コンサートマスター/泉原隆志
開演前に指揮者によるプレトークがありますが、これは京響常任指揮者・広上の方針。最初は何のテーマも無いコンサートだと思っていましたが、最初のモーツァルトで、“この曲のキーワードは数字の「3」です” と言われてハッとしましたね。
プログラム(曲目解説・柴辻純子)にも書いてあるように、魔笛は「3」を象徴とするフリーメーソンの音楽。3人の侍女、3人の童子、3つの試練に加えて、フラット3つの調性、3回奏される3和音等々。
なるほど、それでベートーヴェンの「3」楽章からなる「3」重協奏曲が続き、「3=3ス」のフラット「3」つの調性による第「3」交響曲がメインなわけね。
少し洒落がキツイけれど、妙に納得です。
プレトークでは、マエストロ自身が堀米ゆず子と京都出身のオルガン奏者桑山彩子へのインタヴューも行っていました。
コンサートの感想は簡単に触れるだけにしましょう。
冒頭のモーツァルト、いつかは広上の指揮で歌劇全曲を聴いてみたいと思わせる序曲。これしかないと思えるような絶妙なテンポ、見事な管と弦のバランス、フレーズの切れ目をキッチリ纏める端正な指揮。この三点が広上の特質と言えるでしょう。
三重協奏曲は滅多に演奏されない「名曲」ですが、私は2年前に広上と神奈川フィルで聴いたことがあります(この日記にも感想あり)。
あの時は堀米/エル=バシャに山崎伸子のチェロによるトリオでしたが、今回は先月ロストロポーヴィチ・コンクールに優勝したばかりという宮田大(みやた・だい)を加えたトリオ。
ベートーヴェンは余程思い入れがあったのか、3つの楽章全てがチェロの朗々たるメロディーで開始されます。この独奏部分を聴いただけでも、宮田の才能が抜群であることは明らか。三人の呼吸もピタリと合い、バックのオーケストラも堂々たるベートーヴェン。
メインのサン=サーンスも広上得意の作品。作品の構成に大きな目配りを利かせたダイナミックなシンフォニーでホールを一杯に響かせます。
特に色彩面に卓越したものがあるとマエストロ大絶賛の桑山が奏でるオルガンも絶大な効果を上げていました。
客席も快演に大喝采。
コンサートはこれで終わりですが、このところスピーチづいている広上マエストロから一言。師匠である外山雄三のアドバイス、“王道を歩め” という教えを具現化している京都市交響楽団を改めて紹介し、アンコールにグリーグの「過ぎにし春」。
今回は今年3度目の満員御礼だった由。これで「3」繋がりのコンサートにも落ちが付いたようです。
コンサート終了後は、楽団員やソリストわ交えた懇親会。私共は新幹線の時間があるので、ソリストの3人が簡単なスピーチを終えた所でホールを辞しました。マエストロ広上が懇親の輪に加わったか否かは不明。
来シーズンのスケジュールについては12月18日発表とのこと。盛り沢山な企画が待っているそうです。来年は何度京都を訪れることになるのでしょうか?
最近のコメント