ドーヴィルはクライマックス

8月の第4週、ドーヴィル競馬場は最も賑やかな週末を迎えました。ホモ・サピエンスはベルリンで盛り上がりましたが、エキストリアンはこちらでしょう。
この日のパターン・レースは4鞍、どれも小頭数ながら中味の濃い内容が続いたようです。レース順に取り上げましょう。
ケルゴーレイ賞(GⅡ、3歳上、3000メートル)はブルー・ブラジルが取り消したために僅か3頭立て。いくら長距離戦の人気が無くなっているとは言え、3頭とは寂しい限りです。
人気もレースの流れも淡々とした結果になってしまいました。
勝ったのは1番人気(1対10)シアパレリル Schiaparelli 。長距離戦の常連ですが、デットーリ騎手の手綱で逃げ切り勝ちです。
2着は3馬身差でモハヴェ・ムーン Mojave Moon 、3着に2馬身遅れてキャンディー・ギフト Candy Gift 。
スタートからゴールまでこの順番で終始した見所のないレースでした。
ゴドルフィンの馬ですから、イギリスでサイード・ビン・スロール調教師が管理しています。ドイツ出身のステイヤーで、前走のグッドウッド・カップに続くパターン・レース2連勝。
シアパレルリはこのあと去年2着だったフォア賞を叩き、凱旋門賞(去年は13着惨敗)を目指すでしょう。
ノネット賞(GⅢ、3歳牝、2000メートル)はかつて秋のロンシャンで行われていたヴェルメイユ・トライアルですが、現在ではドーヴィルに定着しています。
今年は6頭が出走、9対1のチャリティー・ベル Charity Belle が2着アーティクル・レア Article Rare に半馬身差を付けて優勝しました。
3着には短首差でエクレール・ド・リュヌ Eclaire de Lune の順。
1番人気(4対5)のタマジルテ Tamazirte は6着敗退。去年の2歳牝馬チャンピオン、プロポーショナル Proportional も立て直しを図りましたが、4着に終りました。
勝馬に騎乗したデットーリは、ケルゴーレイに続くパターン・レース・ダブル達成です。シャパレルリ同様、逃げ切っての優勝。
こちらはヨルダンのハヤ王女の持馬で、英国のジョン・ゴスデン師の管理馬。
モルニー賞(GⅠ、2歳、1200メートル)は夏のドーヴィル開催の目玉、先週のジャック・ル・マロワと並ぶ注目の一戦です。
出走馬はわずか5頭ながら、全てパターン・レースに勝った実力馬で、どれが勝ってもおかしくないレヴェルの高い激戦が期待されます。
即ち、コヴェントリー・ステークスを圧勝したキャンフォード・クリフス Canford Cliffs が4対5で1番人気。
ヘッド姐御のスペシャル・デューティー Special Duty はロベール・パパン賞の勝馬、アルカノ Arcano はジュライ・ステークスの覇者。
このトリオにドーヴィル開催でカブール賞を制したザンジバリ Zanzibari と、ボア賞に勝ってロベール・パパン3着のドールド・アップ Dolled Up も加わる五重奏。今年の2歳戦では最も好メンバーが揃ったレースと言えましょう。
結果も期待通り、5頭がほぼ横一線でゴールを駆け抜け、着差は短首、首、首、頭。全馬が1馬身以内という激しいものになりました。
写真判定の結果、1着はアルカノ、2着スペシャル・デューティー、本命キャンフォード・クリフスはアスコットでの末脚が不発に終わり3着。
以下ドールド・アップ4着、ザンジバリ5着。
時計の早い決着で、これまでのタイムを0.5秒破るコース・レコードが出ました。
アルカノはジュライ・カップ制覇のあとマクトゥーム・ファミリーに移籍、今回からマクトゥームの主戦騎手であるリチャード・ヒルズが手綱を取っていました。(これまではマーティン・ダイヤー騎乗)
ブライアン・ミーハム厩舎は変わらず。
この結果、来年の2000ギニーは多くのブックメーカーがキャンフォード・クリフスに代ってアルカノを1番人気に挙げています。最も低いオッズは6対1。
陣営は当面デューハースト・ステークスを目標にする意向。
ジャン・ロマネ賞(GⅠ、4歳上牝、2000メートル)は2004年創設の新しいレースで、今年からGⅠに格上げされました。その第1回目。
ここも僅か6頭という小頭数ながら、1番人気(11対10)のアルパイン・ローズ Alpine Rose が見事に人気に応えて優勝。
2着は惜しくも短頭差でレディー・マリアン Lady Marian 、3着は3馬身差でラ・ブーム La Boum 。
2着惜敗のレディー・マリアンはデットーリの騎乗でしたから、タッチの差でハットトリックを逃したことになります。
勝ったアルパイン・ローズはロワイヤー=デュプレ厩舎、ジェラール・モッセ騎乗。今シーズンはコリダ賞に勝ったあとサン=クルー大賞典2着の実力馬です。
実はアルパイン・ローズ、二日前に「ふけ」を発症し、出走を危ぶむ声もあったのですが、不利を克服しての勝利でした。(先日のヨークではサリスカが同じ症状により敗退しました)
陣営ではこのあとのヴェルメイユ賞はパスし、別のトライアルを使って凱旋門賞を目指す予定であることを発表しています。
一方2着惜敗のレディー・マリアンは、去年も勝ったオペラ賞(GⅠ)連覇を目指す由。
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