今年のセレブレーション・マイル
昨日はグッドウッド競馬場でパターン・レースが二鞍行われました。その一つがセレブレーション・マイル(GⅡ、3歳上、1マイル)。
グッドウッドのマイル戦と言えばグローリアス開催のサセックス・ステークス(GⅠ)が有名ですが、これはほぼ一ヶ月後に同じコースで行われるGⅡ戦です。
去年はシーズン途中でゴドルフィンに移籍したデレゲイター Delegator がここで鮮やかに復活しました。
去年の日記でもその様子をレポートしましたが、実はこれには後日談があったのです。
同馬からレース後に禁止薬物(メチルプレドニソロン)が検出され、関係者からの事情聴取を経て12月にBHA(British Horseracing Authority)の懲戒委員会でクロの判定。デレゲイターの失格が決まり、2着のザシント Zacinto が繰り上がるというドラマがありました。スロール師には750ポンドの制裁金が課せられたはずです。
今年の出走馬は僅かに4頭。3・4・5・6歳を代表する馬が1頭づつというメンバー構成でした。
スタウト厩舎の5歳馬メイン・エイム Maim Aim が4対5で1番人気に支持されていましたが、これまでの実績は7ハロンでのもの。1マイルにはやや距離不安もある本命です。
レースはその不安が的中したのか、本命馬は2着敗退。優勝は最後方を進んだ2対1の3歳馬、ポエツ・ヴォイス Poet’s Voice でした。2着メイン・エイムに4馬身半差の圧勝。3着は、更に6馬身差で逃げたサマー・フィート Summer Fete の順。
勝ったポエツ・ヴォイスは、去年デレゲイターで失格したゴドルフィンの馬。去年の二の舞が無ければ、雪辱を果たした形でしょう。
調教師はもちろんサイード・ビン・スロール、鞍上はランフランコ・デットーリ。デットーリ騎手、ゴール前1ハロンで抜け出す時に馬が内にささり、メイン・エイムに多少の影響を与えました。この点が審議の対象になりましたが、騎乗停止処分にはならず確定。処分も警告で済んだようです。
ポエツ・ヴォイスは2歳時にシャンペン・ステークス(GⅡ)に勝った馬で、ほぼ1年振りのGⅡ2勝目。前半引っ掛かるタイプの馬でしたが、今日は後方でリラックスする競馬。馬がだいぶ大人になった感じがします。
このあとはGⅠを目指すでしょう。アスコットのクィーン・エリザベスⅡ世ステークス、ブリーダーズ・カップと、ゴドルフィンのマイル路線でのエースとなる日も近いようです。
グッドウッドのもう一鞍は、プレスティージ・ステークス(GⅢ、2歳牝、7ハロン)。来年の1000ギニーを占う一戦という性格もあるレースです。
7頭立て。ここは、11対10の熱い支持で1番人気を集めたセイスキンズ・セオリー Theyskens’ Theory が逃げ切り勝ちで期待に応えました。
1馬身4分の1差2着にコーチャバンバ Cochabamba が入り、半馬身差3着はケープ・ドラー Cape Dollar 。
セイスキンズ・セオリーは、ブライアン・ミーハン厩舎、マーティン・ダイヤー騎乗。前走2戦目でニューマーケットの新馬戦を5馬身差で圧勝していた馬です。
因みに、この新馬戦(7月31日)で三浦皇成騎手が、33対1の人気薄で4着に健闘していたことを付け加えておきましょう。
ミーハン師が1000ギニー・タイプと期待する同馬、来年のギニーには8対1のオッズが出されました。
さて、この日はウインザー競馬場でもパターン・レースが行われています。ウインター・ヒル・ステークス(GⅢ、3歳上、1マイル2ハロン7ヤード)。
夏場のウインザー競馬場は一連のイヴニング開催で賑わいますが、これはその大団円。この競馬場で行われる唯一のパターン・レースが、ウインター・ヒル・ステークスなのです。
出走馬は5頭。昼間はグッドウッドで騎乗していたキーレン・ファロンも、ランフランコ・デットーリもウインザーに転戦しての一戦で、夕方6時40分スタート。
5対4の1番人気はダービー(9着)にも出走した3歳馬ホット・プロスペクト Hot Prospect でしたが、優勝は6対1の伏兵ディスタント・メモリーズ Distant Memories 。半馬身差2着が本命ホット・プロスペクトで、更に半馬身差3着にデットーリ騎乗(ゴドルフィン)のフライング・クラウド Flying Cloud 。
ファロンが騎乗した2番人気クラス・イズ・クラス Class Is Class は4着でした。
逃げ切り勝ちを演じたディスタント・メモリーズは、トム・テイト厩舎、ジェイミー・スペンサー騎乗。主にハンデ戦で走っていた4歳せん馬で、これがパターン・レース初制覇となります。
最近のコメント