今年最後のアスコット

イギリス各地の競馬場は、そろそろ今年最後の開催を迎える季節に入ってきました。
アスコット競馬場も昨日の土曜日が最後の平場開催。1日だけの開催ですが、パターン・レースが3鞍組まれていました。
尤もアスコットは障害レースも盛んですから、競馬開催そのものは未だ年内にも行われます。

さて3つのパターン競走、最後ということもあってか多頭数が揃いました。

コーンウォリス・ステークス(GⅢ、2歳、5ハロン)は1946年創設の比較的新しいレースですが、パターン・システム導入(1971年)当初からGⅢに格付けされてきた2歳馬の一戦です。

10月の5ハロン戦ということで、来年のクラシック云々よりも将来のスプリンターが育っていくレースとして見た方が良いでしょう。過去にもシング・シング Sing Sing 、デリング=ドゥー Derring-Do 、ティン・キング Tin King 、ソー・ブレスド So Blessed 、ディープ・ダイヴァー Deep Diver などがここを踏み台にして名スプリンターに成長して行きました。

今年は17頭立て。1枠を引き、内で我慢したアワ・ジョナサン Our Jonathan が最後の1ハロンでラチ沿いに抜け出し、1番人気(11対4)のタージャブ Taajub の追い込みを首差凌いで優勝しました。賭け率は5対1。
3着はこれもハナ差惜敗のアイヴァー・ブリッジ・ラッド Iver Bridge Lad 。

勝ったアワ・ジョナサンはケヴィン・ライアン厩舎、ジェイミー・スペンサーの騎乗。前走フライング・チルダーズ・ステークスはスタートで出遅れて競馬にならず、8着に惨敗していました。
これがパターン・レース初勝利、来季はスプリンター路線を歩むことになるでしょう。

ベングー・メモリアル・ステークス(GⅢ、3歳上、6ハロン)は耳慣れない名前ですが、かつてはベンティック・ステークスとして知られていたレース。ニューマーケットで行われ、2003年からGⅢに格上げされていましたが、去年から開催場所をアスコットに移し、レース名も現在の名前(Bengough Memorial Stakes)に変更されました。
サー・ピアーズ・ペングーに因んだもの。

20頭立ての賑やかなレースとなり、11対1のロイヤル・ロック Royal Rock が1番人気(11対2)のトリプル・アスペクト Triple Aspect を頭差で凌いで優勝。更に1馬身4分の1差3着にブレイヴ・プロスペクター Brave Prospector が入りました。

クリス・ウォール厩舎、ジョージ・ベイカー騎乗の5歳せん馬で、パターン・レースには二度目の挑戦で初勝利。前走はアイルランドのカラー競馬場でルネサンス・ステークス(GⅢ)4着という実績でした。

最後はオータム・ステークス(GⅢ、2歳、1マイル)。2003年からGⅢに格上げされたレースで、まだリステッドに格付けされていた時代にナシュワン Nashwan が制したこともあるマイル戦です。去年は、今年のセントレジャーで1番人気に支持されたカイト・ウッド Kite Wood が勝っていました。
今年は8頭立て。

レースはシメノン Simenon とプロンプター Prompter の激しいハナ争いで始まり、競り勝ったプロンプターが逃げ切るかに思えた瞬間、9対1のモラーナ Morana が外から追い込み、頭差で差し切りました。
3着は4馬身半差でシメノンが粘りこみ、1番人気(6対4)のアジジ Azizi は4着凡走。

勝ったモラーナはピーター・チャップル=ハイアム厩舎、アラン・ムンロの騎乗。未勝利戦に2回連続で2着していた馬で、初勝利をパターン・レースで飾るという比較的珍しいケースです。
チャップル=ハイアム師によれば、同馬は距離が伸びないとダメなタイプで、この後はクリテリウム・ド・サン=クルーを狙うとのこと。

 

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