N響・第1654回定期の放送

N響9月定期、Cプロがハイビジョンで放送されました。9月はすべてクリストファー・ホグウッドの指揮で、曲目は、

プロコフィエフ/古典交響曲
ストラヴィンスキー/バレエ組曲「プルチネルラ」
モーツァルト/フリーメーソンのための葬送の音楽K477
ハイドン/交響曲第104番「ロンドン」
 指揮/クリストファー・ホグウッド

9月25日(金)、NHKホールでの収録です。

風変わりなプログラムですが、これで間違いありません。前半が新しい音楽で、後半が古典派の作品。

ホグウッドさん、フルネームではクリストファー・ジャーヴィス・ハーレイ・ホグウッド Christopher Jarvis Haley Hogwood ですね。
古楽器のスペシャリストで学者さんでもありますが、現代物も良く取り上げているようです。いわゆるクラシック・モダーンというジャンルで、この会のプロコフィエフやストラヴィンスキーが該当します。
確かバーゼル室内管とこのジャンルを何曲か録音もしていますし、東フィルに客演した時にマルティヌーを聴いた記憶もあります。

プロコフィエフでは、弦は12型。ストラヴィンスキーでは更に少なく、スコアの指示通り各パートのソロの他は4-4-4-3-3。
最後のハイドンで漸く14型ですから、NHKの馬鹿でかいホールで良くやるよ、という感じですね。
放送なら音は拾ってくれてますが、ライヴで、しかも3階自由席ではどんな風に聴こえるのでしょうか。

どだいホグウッドのような人をNHKホールで指揮させることに無理があるでしょ。事務局の神経が理解できません。

今回のコンマスはゲストで、ヤーノシュ・セルメチという人。ハンガリー系でしょうか、いかにもコンマスというタイプで、あまり巧くありませんね。音量も控えめだし(ストラヴィンスキーでのソロ)。

それでもプロコフィエフは面白く聴かせました。第2楽章の主題、第1ヴァイオリンにヴィオラの対旋律がノン・ビブラートで絡む所なんぞ、新しい発見ですね。

同じ意味でストラヴィンスキーも巧く纏めていましたが、こちらは全体にソロが弱いと思います。例えばガヴォットの頭のオーボエ、もう少しスムーズに行かないもんですかね。

前回のベートーヴェンでは指揮棒を使用しなかったホグウッド、前半の2曲では指揮棒を持っていました。使う曲と使わない曲の境目はどの辺りになるのでしょうか。

後半の曲目はホグウッドの得意な分野。例によって古楽器スタイルでの演奏ですが、ここではN響もアカデミー・オブ・エヌエイチケイみたいな音になっていました。先のベートーヴェンよりはホグウッド・スタイルにも慣れてきた感じです。

それでも私にはこのスタイルは馴染めません。頭では“良いぞ” と理解しても、耳が“ダメだ” と言って受け付けないんですよ。

例えば「ロンドン」交響曲の第3楽章。これ、メヌエットでしょ。当時はたとえ交響曲であろうとメヌエットは踊ったそうじゃありませんか。このテンポでは絶対に踊れませんよ。
古楽器スタイルの演奏は、“当時の演奏スタイルに忠実に” という信条だと理解していましたが、どうもこういう演奏を聴くと信用できません。単なる身勝手じゃないでしょうか。

プロコフィエフもストラヴィンスキーもハイドンも、繰り返しは全部実行していました。特にハイドンの第3楽章、メヌエットの再現部でも繰り返しを実行しているのが、ホグウッドの真骨頂でしょうね。

N響の定期会員にはよほど古楽スタイルの信奉者が多いようで、盛大に歓声が上がってました。
私には、よぉ~わからん。

 

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