残念凱旋門賞?

日曜日、ロンシャン競馬場で二つのパターン・レースが行われました。フランスの平場競走も残り少なくなりましたが、これから11月一杯は残されたスケジュールが淡々と進んでいきます。

先ず、コンデ賞(GⅢ、2歳、1800メートル)。イギリスの2歳戦は主体が6ハロンから7ハロンなのに対し、フランスはより長い距離に重点が置かれる伝統がありました。
このレースは1800メートルですが、イギリスにはこの距離のパターン・レースはありません。
従って、来期の長距離クラシックで活躍する馬を探す一戦と見てよいでしょう。

7頭の登録がありましたが、事前に1頭が取り消し。更にレース前に脚を引き摺る素振りを見せた1頭も取り消すことになり、最終的には5頭立ての寂しいレースになってしまいました。

レースも変化に乏しいものとなり、逃げたサーカムヴェント Circumvent を終始2番手で追走したザイトーパー Zeitoper が競り落として短首差で優勝。3着に4分の3馬身差でシャマルガン Shamalgan という着順。
ザイトーパーは13対10の1番人気に支持されていましたから、順当な結果でしょう。

ゴドルフィンの馬。イギリスでスロール師が調教していますが、この日はアラブの名騎手アームド・アジテビ君の騎乗でした。

そのアジテビ騎手、ザイトーパーにぞっこんの様子で、その気になれば6~7馬身で勝っていた由。これで3戦無敗となり、“来年はダービーだッ、” と興奮していましたね。
父がジングシュピール Singspiel 、母はオークス馬カッツィア Kazzia という血統は、確かにダービー向きの素質馬ではありそう。

コンセイユ・ド・パリ賞(GⅡ、3歳上、2400メートル)は、かつてコンセイユ・ミュニシパル賞として知られていたレース。現在でこそ知る人ぞ知るレースですが、凱旋門賞が創設される以前は、フランスの秋競馬の頂点に立つレースでもありました。実際、賞金面でもパリ大賞典に次ぐ第2位の格式を持っていたのです。

戦前、戦後のある時期まで、コンセイユ・ミュニシパルは凱旋門賞に惜敗した馬の雪辱戦としても機能していました。最近はアメリカ、日本、香港などでこれに代わるレースが作られましたから、マスコミの関心は薄れてしまっていますが・・・。
パターン・システム導入時からGⅡにランクされ、1974年から現在のレース名に変更されています。

今年は10頭立て。凱旋門賞に出走したメンバーでは唯1頭、14着のザ・ボグベリー The Bogberry が参戦してきましたが、勝ったのはシラス・デゼーグル Cirrus Des Aigles (76対10)。
2着は6馬身離されてマクト Makt 、3着に4分の3馬身差でシャーワルディ Shahwardi の順。
イギリスから遠征したシンティロ Scintillo とトラフィック・ガード Traffic Guard は後方のまま良い所なし。

シラス・デゼーグルは、凱旋門トライアルの一つであるプランス・ドランジュ賞(GⅡ)に勝ったせん馬で、これでパターン・レース2連勝となります。
コリーヌ・パランド=バルブ女史の調教、フランク・プロンデル騎乗。
ここでの6馬身差圧勝は、いよいよこの馬の本格化を証明するもの。次走は香港になりそうです。

これが未だ4戦目、これまで負けなしのシャーワルディも好走と言えましょう。パターン・レース初挑戦ながら13対10の1番人気に支持された3歳馬で、来年のアガ・カーンの秘密兵器に育ちそうな雰囲気です。

 

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