強者弱者(29)

七五三の祝日

 十五日 此日、七五三の祝日、神田明神、日枝神社など、若き妻の産子を抱いて詣づるもの、車輪相継いで忙はし。綾を断ち、錦を綴りてしつらへたる晴衣のきらびやかなる、さては貧しき家の女房の姑とおぼしきに伴はれて徒歩のまゝしのびやかに詣でたる、人のさだめ、世の態の異るは、犬張子の大きさのさまざまなるにも知られたり。
 麦萌す。

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ほとんど解説の必要がありません。

「徒歩」は「とほ」ではなく「かち」と読ませています。もちろん乗り物に乗らずに歩いて行くこと。徒の一文字でも「かち」と読みます。
100年前の貧富の差は、現在とは比較にならないほど大きかったと思われます。

「萌す」は「きざす」。

 

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