強者弱者(159)

銀座と日本橋

 アイスクリーム、曹達水を売る店の銀座に在りて萬事洋式を追ひて足らざるを恐るゝが如きものあるに引きかへ、日本橋に於いて赤き小田原提灯にアイスクリームと染め抜きたる店の多き、客種の相異といふこともあるべけれど、橋一つ距てたる風俗の懸隔味ふ可きなり。

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「曹達水」は、「ソーダすい」。

銀座と日本橋では風俗が異なるという話題です。私が子供の頃はまだこうした気風が残っていて、日本橋の旦那衆は銀座を俗悪だと貶していたことを良く覚えています。
銀座は妙にハイカラ被れしているという意見で、日本橋は江戸以来の日本趣味を大切にしていました。

「客種」。ここでは「きゃくだね」と読みます。

「懸隔」は「けんかく」。かけ離れている、という意味。

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