メット新演出のカルメン
3週連続でメットライブビューイングを観戦してきました。今シーズンの第6作、私は4本目でした。
出し物がカルメン、豪華キャストによる公演とあって、109シネマズ川崎は大入りでした。
映画は後方の席から売れて行きますが、この日は最前列であるA列にも人が入っていました。恐らくあと4~5席で完売だったのじゃないでしょうか。
平日、火曜日の11時開演ですらこれですからね、土日は売り切れだったに違いありません。
私共は2作目のアイーダで懲りましたから、事前にネットで予約して行きました。もしどうしても見たいという皆さんは、この手を使うことをお勧めします。
このカルメンはどうしても見たいものの一つでしょうし、実際に見て納得の行く舞台でしたね。お見逃し無きよう。
主なキャストなどは以下です。
カルメン/エリーナ・ガランチャ
ドン・ホセ/ロベルト・アラーニャ
ミカエラ/バルバラ・フリットリ
エスカミーリョ/テディ・タフ・ローズ
スニガ/キース・ミラー
指揮/ヤニック・ネゼ=セガン
演出/リチャード・エア
プログラムで事前に予告されていたエスカミーリョ役のマリウーシュ・クフィエチェンは急遽降番(理由はよく判りませんが)、代役でローズが歌います。
インタヴューで明かしていましたが、本番当日の朝10時に電話で呼び出されたとか。本番は午後3時ですから本人も驚いたことでしょう。スペルは Teddy Tahu Rhodes と表記する様です。
シーズン後半にこの役を歌う予定で、この舞台も見ていたとのこと。突然のピンチヒッターでも舞台には支障が無かったようです。
舞台裏インタヴューアーのルネ・フレミングも言っていましたが、ガランチャとアラーニャのカップルは現在最高のカルメン/ホセ・コンビでしょう。私がどうこう言っても仕様がありませんから、是非見て下さいな。
何しろ最後の幕はオペラの舞台を見ていることを忘れ、現実の事件を目撃しているような錯覚に襲われます。何とも凄い迫力。カメラ・アングルも見事。
この二人は既にロンドンで共演済みですが、ガランチャのカルメンはメット初登場です。
新演出というのはいつでも興味が沸くもので、これも中々の見物じゃないでしょうか。
エア演出は、リアリスティックなものと抽象的なものの中間より少しリアリスティックな方向に舵を切ったもの。
私にとって新しく感じられたのは、1幕冒頭と第3幕の冒頭にバレエが置かれていること。即ち最初の前奏曲の後の運命の音楽と、第3幕前の間奏曲にバレエが付きます。
最初のバレエは二人の運命を暗示する内容。第3幕の踊りは、かつて存在したであろう二人の愛を描いています。この二つのバレエに注目しましょう。
隊長スニガも演出上重要な役割が与えられていて、第4幕の群衆の場で登場する時には、第2幕で受けたであろう火傷の後が左頬にクックリと残されていのを見落とさないように。
スニガを歌うスキンヘッドのバリトンは、Keith Miller という人です。
後は一番最後でしょうかね。舞台がグルッと回転して闘牛場の内部を見せます。前回の「ばらの騎士」の幕間で紹介されていた牛の死体がここで使われるのかぁ~。
ここ、面白いですね。
但し、第1幕でタバコ工場の女たちが地下の穴倉のような所から出てくるのはチョッと?? でしたけどね。
今までいろいろなカルメン役を見、聴いてきましたが、私にはガランチャが最もピッタリきました。バレエも凄いし、容姿が素晴らしい。正に魔性の女、カルメン!!
あんな恰好で良く歌えるものだと感心もし、そのドスの効いたメッツォは迫力満点。シンデレラとは別のガランチャが堪能できまっせ。
(バレエの振り付け師によれば、ガランチャは筋が良いということ。天性のものでしょうか)
アラーニャも見事、これにフリットリのミカエラですからね。BSで放送されれば永久保存版。DVDが出れば買っちゃうでしょう。
尚、今回の上演は珍しくウィーン初演版。そう、レシタティーヴォで進められるバージョンで、台詞を多用するアルコア版じゃありません。
それにプログラムには休憩2回とありますが、実際には1回だけ。第2幕と第3幕の間ですから、トイレは必ずこの間に行っておくこと。
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