うたは時をこえ海をこえ

昨日はクァルテット・ウィークエンド・2009-2010シリーズの最終回、カントゥス・クァルテットの演奏会に出掛けました。
カントゥスQは2005年に結成され、東京と横浜を中心に活躍している常設クァルテットだそうですが、晴海のシリーズに登場するのは初めてだと思います。私は初めて接した団体。
メンバーはチェロだけ男性で、以下のとおり。

第1ヴァイオリン/物集女純子(もずめ じゅんこ)
第2ヴァイオリン/梅原真希子(うめはら まきこ)
ヴィオラ/大島路子(おおしま みちこ)
チェロ/森澤泰(もりざわ ゆたか)

ヴァイオリンの二人はいずれもジュリアード音楽院の卒業生、ヴィオラはイーストマン音楽院で、チェロもまたジュリアードで学んだ経歴があるそうです。チェロは新日本フィルのメンバーでもある由。

要するにアメリカで活躍して来た人達が結成した新しい団体ということでしょう。夫々に演奏だけでなく教育活動でもキャリアを積んできたヴェテランたち。

日記のタイトルに選んだのは、このコンサートのプログラムにテーマとして掲げられていた文言。ご丁寧に英語でも印刷されていました。
Songs that Transcend Time and Distance

で、演奏された作品は、

シューベルト/弦楽四重奏曲第13番イ短調「ロザムンデ」
アイヴス/弦楽四重奏曲第1番ハ長調「救世軍より」
     ~休憩~
チャイコフスキー/弦楽四重奏曲第2番へ長調
 カントゥス・クァルテット

団体の名前であるカントゥスとは、ラテン語で“うた” の意味。これと演奏会のテーマから推察されるように、彼らの演奏は何処までも“うた”に徹したものだったと思われます。

それを基本に置き、プログラムは時空を超えて舞い降りる。即ち、1820年代のウィーン、飛んで1890年代のアメリカ、戻って1870年代のロシアへと。

カントゥスは各曲の楽章一つ一つを丁寧に紡いでいきます。シューベルトでは、その脆く泡雪のような音楽をひっそりと歌い、アイヴスでは讃美歌や民謡を大らかに、そしてチャイコフスキーでは友人の死に寄せた歌を切々と。

初めて聴く団体、しかも普段あまり取り上げられることのない作品ということで、このコンサートだけで彼らの演奏を云々することは避けましょう。
ただ、SQWデビューとしてはかなりの変化球で勝負したな、という印象。特に耳に残ったのは、アイヴスの終楽章とチャイコフスキーの第3楽章でした。

彼らの座る位置は、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラの順。
アンコールとしてグラズノフの5つのノヴェレッテからワルツが演奏されました。特に挨拶も、曲名のアナウンスもありません。

 

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