レースホース2009

今年もレースホース Racehorses が届きました。折しもヨーロッパの平場競馬で最初のパターン・レースが行われた3月20日のこと。

英国競馬の年鑑書に相当するレースホースは、競馬ジャーナリズムの英知を結集して1948年にフィル・ブル Phil Bull によって創刊された世界に類の無い書物。イギリスで走った全ての競走馬(平場競走)を評価し、コメントを付けています。特に能力の優れた馬については、エッセイの形での論評。これが実に素晴らしいのです。
もちろんフランスやアイルランドなどの馬も数多く扱われます。

私は1969年から定期購読し、更に1952年版からのバックナンバーを揃えましたから、2009年版は58冊目になります。

2009年版で真っ先に開いたのは、去年のチャンピオン・ホースであるシー・ザ・スターズ Sea The Stars の項。その評価がいくつであるか、ということ。
タイムフォーム(レースホース誌の発刊機関)は「140」。久し振りに140を超える馬が出ました。

シー・ザ・スターズに関するエッセイは、この評価からスタートします。多くの競馬ジャーナリズムの“競馬史上最強馬” とか、“シーバードより上では” という意見も紹介し、レースホース誌の歴史も振り返りつつ、何と10段にも及ぶパラグラフを使って「レーティング」そのものの在り方について論究しています。
シー・ザ・スターズそのもののエッセイに費やしたパラグラフは32段!! とても一気に読み切れる内容ではありません。

60年以上に亘るレースホースの歴代の名馬の評価は、

145 シーバード Sea-Bird
144 ブリガディア・ジェラード Brigadier Ferard 、チューダー・ミンストレル Tudor Minstrel
142 アバーナント Abernant 、リボー Ribot
141 ミルリーフ Mill Reef
140 ダンシング・ブレーヴ Dancing Brave 、デュバイ・ミレニアム Dubai Millenium 、シー・ザ・スターズ Sea The Stars 、シャーガー Shergar 、ヴェイグリー・ノーブル Vaguely Noble

これがタイムフォームが140以上に評価した11頭の全てです。シー・ザ・スターズは5位タイ。
これに不服のある方は、是非レースホースを読んでください。

因みに最近では同誌にも日本馬の評価も載るようになり、2009年版に取り上げられたのはウォッカ Vodka 1頭。そのレートは125。かなり高いと思います。

本体とは別に各国のレヴューも短く掲載されていて、日本については、“2009年は日本馬は国際的には得るところがほとんどなかったが、重要な前進もあった。一つは2010年のパターン・レースがクラシックを含めて全て海外調教馬にも開放されること。ジャパン・カップが創立されて、ここまで来るのにほぼ30年を要した。もう一つは、日本の国内居住者以外にも馬主になる権利が認められたこと” と書かれています。

因みに日本馬の評価は、

128 カンパニー
127 オーケンブルースリー
126 ドリームジャーニー
125 ディープスカイ、ウォッカ
(以下省略)

の順。

3歳馬では

122 ブエナビスタ、ロジユニヴァース
121 レッドデザイア
(以下省略)

レースホースは世界の競馬関係者や競馬ファンにとってはバイブルにも等しい書物。これ無しに世界の競馬は語れません。
日本では何人の専門家がこれを座右の書にしているのでしょうか。

 

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