強者弱者(86)
甘茶
八日 釈迦降誕祭、涅槃会にくらべてものみな陽気に華やかなり。花にて釈尊の像を囲み、頂より、甘茶を灌ぐこと、鄙も都も同じならはしなり。釈迦の降誕祭に就いて、思い出づるは草餅の味、新菊の香なり。新菊はひたしによく、鯛、ふぐ、虎魚のチリなどに入れて味ふもよし。
土筆は近郊至る所に多し。胞子の発散せざるものは煮て蕨の味あり。芹、薺、嫁菜などすべて春草の中にありて其味最も美なり。
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4月8日はお釈迦様の誕生日、所謂「花まつり」ですね。正式には「灌仏会」(かんぶつえ)と言います。
お堂を花で飾り、中央に安置した仏像に甘茶を三回掛けて拝むのが慣わしです。
一方、お釈迦様の命日が「涅槃会」(ねはんえ)。これについては既に2月15日の日記で紹介しました(強者弱者65)。
「虎魚」は「おこぜ」。特に夏が美味とされていますが、最近は魚屋でも見掛けなくなってしまいました。
土筆(つくし)は何処にでもあると書かれていますが、確かに戦後間もなくまでは東京都内でもたくさん見掛けたものです。しかし最近は纏まって土筆が生えている場所は数えるほどしかありません。
私は土筆が好物で、毎春これを求めて彼方此方探し回るのが年中行事になっています。
今年(2010年)も既に三箇所で土筆を摘み、春の香りを美味しくいただきましたが、その場所を公表するわけにはいきませんね。都内某所、そのうちの一つは歩いて行ける所、としか申し上げられません。
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