強者弱者(87)
碎米菜の花
碎米菜の花咲く。其毛氈を敷きつめたるやうに咲き出でたるを、高きに登りて俯瞰したるはよし。菜の花の黄、麦の緑と相点綴して自然の配合最も妙なり。森の下蔭に菫、蛇苺、きんぽうげなどと交りてまだらに咲き出でたるもよし。碎米菜の葉は緑の色ことに鮮やかなり。雨の霽れたる日など、雑草の色を奪ひて目さむる心地す。
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「碎米菜」は「げんげ」。別名「れんげそう」ですね。漢字は「紫雲英」を充てることが多いようです。
「点綴」(てんせつ)とは、彼方此方に散らばって纏まっている様を言います。「てんてつ」とも「てんてい」とも読みますが、どれも間違いではありません。
「霽れる」は「はれる」と読みます。「晴れる」と同じ意味で、漢音は「せい」。
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