日本フィル・第256回横浜定期
土曜日は桜木町へ。
横浜みなとみらいホールの日フィル横浜定期ですが、これまでは交通機関に横須賀線とみなとみらい線を利用していました。しかし、みなとみらい線は便利なものの運賃が高いのが難点。身分相応の生活に切り替えるべく、京浜東北線を使ってゆるゆると出掛けることに方針転換です。歳をとれば何も急ぐことはありませんからな。
今回は一回券ですが、群馬交響楽団の音楽監督を退任した高関にとって久しぶりの日本フィルとの本格的なプログラム。二人のシンフォニストの大作を並べた直球勝負の選曲に惹かれて聴いてきました。
ハイドン/交響曲第100番「軍隊」
~休憩~
ショスタコーヴィチ/交響曲第10番
指揮/高関健
コンサートマスター/扇谷泰朋
ソロ・チェロ/菊地知也
ゲットした17列右端の座席に座って舞台を見ると、おぉ、対抗配置だ。それにハイドンもショスタコーヴィチも弦のサイズは同じ(多分14型+コントラバスは7人)ですね。大編成による堂々たるハイドン、か。
予想通りハイドンは実に豪快な演奏でした。特に対抗配置による効果は顕著には感じられませんでしたが、登場する打楽器が凄い。恰もウィーンに侵攻するトルコ軍の威勢のように、恐ろしさを強調して叩き続けるのでした。
特に大太鼓。このパートは普通、楽器の皮と木枠を交互に叩くのですが、この日は左手で皮、右手には木槌が握られているように見えました。舞台が遠く一階席なのでハッキリ見えないのですが、何か特別な打楽器を持ち込んで叩いている感じ。あれは何だったんでしょうね?
ということで超高速、度肝を抜くようなハイドン体験でした。
続いてショスタコーヴィチ。
これはこれまでも広上/日フィル、上岡/読響でも聴いたハードルの高い作品ですが、高関も負けていません。
私にはすっかりお馴染になった名曲を、一切の退屈無しで堪能できました。
これもテンポの速さが身上。ショスタコーヴィチがいろいろに仕掛けた謎解きなどにはあまり拘らず、ストレートに楽譜を音にしていくタイプの演奏です。
もちろん広上とも上岡とも異なるアプローチですが、これはこれで客席から大きな喝采が起きるほどに説得力に満ちていました。名曲の名曲たる所以でしょう。
第4楽章には長い序奏があり、木管楽器が次々とモノローグを聴かせますが、特にオーボエの音色が実に素晴しかったですね。
最近見るようになった女性奏者ですが、入団したばかりで未だ試用期間の新人。実はイングリッシュ・ホルンの女性奏者も新入団で試用期間中ということで、プログラムに記載された2名のどちらがどの方かは判りません(杉原由希子、坪池泉美の両氏)。
いずれにしてもこの二人は日本フィルの新しい顔として紹介されるでしょう。これからの日本フィルを背負う若手奏者に注目してください。
いやいやオーボエだけじゃありませんよ。ピッコロ、フルート、オーボエ、イングリッシュホルン、クラリネット、ファゴットと。ショスタコーヴィチ得意の木管ソロ群が素晴らしい妙技を聴かせてくれました。
アンコールがありました。チャイコフスキーのくるみ割り人形から「葦笛の踊り」。
何でチャイコフスキーなのかというと、マエストロによれば最近のテレビ・コマーシャルで皆が知っている曲だから、だそうな。これには楽員一同も唖然???
さて絶好調を維持する日本フィル。今回のプログラムにも来シーズンの予定が掲載されていましたが、横浜定期も興味津々の内容が並んでいます。
特に来年3月からの後期は面白く、3月は大友直人でイギリス作品。何とヴォーン=ウイリアムスの第2交響曲が前半、後半はエルガーの名曲というプロ。
4月の曲目は未発表ですが、インキネンの登場。
5月は中国の若手指揮者ペリー・ソーという人。事務局によると日本フィルは若手のアジア人指揮者をシリーズとして紹介していく計画とか。その一環です。西洋人有名指揮者に明け暮れる他のオケを尻目に、「アジアの時代」を先取りする日フィルに喝采を送りましょう。
そして6月はラザレフのツァラトゥストラ他。
7月は例年の通り広上の棒。来年はホルストの惑星がメインですが、前半はドビュッシー(小組曲)とカントルーブのオーヴェルニュの歌抜粋。泣かせるじやありませんか。歌手は調整中ですが、この素敵な歌をナマで聴けるチャンスを逃す手はありませんぞ。
来シーズンの後期は通し券を買うしかないネ。
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