チェスターのトライアルなど(2)

チェスター競馬場のメイ・フェスティヴァル三日目、クラシック・トライアルはディー・ステークス(GⅢ、3歳、1マイル2ハロン75ヤード)です。
当初8頭が登録していましたが、スタウト厩舎の新星デザート・ミス Desert Myth が取り消して7頭が出走しました。

本命になるはずだったデザート・ミスに替り、5対2で1番人気に支持されたのはダンシング・デーヴィッド Dancing David 。前走のクレイヴァン・ステークスがエルーシヴ・ピンパーネルの2着、そのエルーシヴ・ピンパーネルは2000ギニーで5着していますから、実績の比較からの人気でしょう。

レースはパーティー・ドクター Party Doctor の逃げで始まり、ダンシング・デーヴィッドは終始2番手に付けて進みます。
直線、早めに先頭に立ったダンシング・デーヴィッドを後続馬群が追い上げ、内に入ったラスミー Rasmy と最後方に待機していたアズメール Azmeel の3頭が抜け出します。

この叩き合いから3頭の真ん中を割るように抜け出したのは、デットーリ騎乗のアズメール(7対2)。2着ダンシング・デーヴィッドに半馬身差を付けての優勝です。
2着と3着に入ったラスミーとの差は僅かにハナ。内外分かれて微妙な態勢でした。

アズメールはジョン・ゴスデン師の管理馬。前走のサンダウン・クラシック・トライアルでシャバール Chabal の2着に入った馬。このときシャバールに騎乗していたのがデットーリですから、アズメールの能力もキッチリと測っていたのでしょう。アズメールは後方待機策が決めて、との談話。

ゴスデン師によれば、今春は天候不順で馬の調整は遅れ気味で、サンダウンは80%の出来だった由。今日は95%にまで仕上がっていたそうで、ダービーに向かわない手はないでしょ、とコメント。
エプサムには25対1のオッズが出されました。

しかしこれによって評価が上がったのは、サンダウンで同馬を2馬身4分の1突き放したシャバール。この結果を受けてオッズは10対1に上がっています。

一方2着に健闘したダンシング・デーヴィッドのブライアン・ミーハム陣営、クレイヴァン・ステークスのときと同様、スピードに優れた同馬はフランス・ダービーが目標と語っています。

チェスター最終日、もう一つのパターン・レースはオーモンド・ステークス(GⅢ、4歳上、1マイル5ハロン89ヤード)。ここは6頭が出走し、8対13の1番人気に支持されたのは、前走ニューバリー競馬場のジョン・ポーター・ステークスで圧勝したハービンジャー Harbinger 、ここでも人気に応える楽勝でした。

レースはヴィクトリア・モントヤ Victoria Montoya が引っ張りましたが、途中で何かに躓いたように後退、馬も尻尾を振ってギブアップを宣言します。

代わって先頭に立ったのがスペンサー騎乗のマンセフ Munsef 。しかし直線に入ると、後方から進んだハービンジャーが楽な手応えで抜け出し、同馬をマークして進んだエイジ・オブ・アクエリアス Age Of Aquarius の追走を1馬身半抑えての優勝。騎乗したライアン・ムーアはムチを使うこともなく、着差以上の楽勝に見えました。
3着は更に5馬身差が付いてマンセフの順。

ハービンジャーはこれで7戦4勝。管理するサー・マイケル・スタウト師は、極めてバランスの良い馬で1マイル半が適距離と解説、凱旋門賞への登録も済ませた由。
当面はロイヤル・アスコットのハードウィック・ステークスを目指しますが、シーズン後半はGⅠ路線を歩む計画です。

3歳時はスタウト厩舎のクラシック候補と目されたハービンジャー、ここに来ていよいよ本格化してきた感がありますね。

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