チェスターのトライアルなど(１)
今週はダービー・オークスを１ヶ月後に控え、各競馬場でクラシックに向けたトライアルが行われます。パターン・レースのレヴェルで見ても、５月６日から５日間連続という忙しさ。
ということで５月６日にチェスター競馬場で行われた二つのパターン・レースのレポート。チェスターは前日の５日から７日までの３日間開催です。
先ずは古馬によるハックスレー・ステークス(ＧⅢ、４歳上、１マイル２ハロン７５ヤード)。８頭立て、地味ながら好メンバーが揃いました。
３対１の１番人気に支持されたのは、去年のチェスターでディー・ステークスに勝ったサウス・イースター South Easter 。この小回りコースと距離が得意の上、今シーズンもケンプトンでデビュー勝していることが評価されていました。
レースはハナガン騎乗のレス・ファザーニ Les Fazzani が快調に飛ばして逃げ込みを図りましたが、内ラチ添いの好位を進んだドビュッシー Debussy が短い直線に向いた地点で先頭に立ち、そのまま他馬を寄せ付けずに快勝しています。
２着は２馬身差で逃げたレス・ファザーニが粘り込み、更に３馬身差で漸く３着に本命のサウス・イースターの順。
ドビュッシーは、去年のエプサムでダービー・トライアルを制した馬ですが、冬場のメイダンで凡走していたために人気を落としていました。今回は１１対１。
勝馬はジョン・ゴスデン厩舎、ウイリアム・ビューイック騎乗の４歳馬。本質的に先行するタイプですが、この日は逃げ馬をマークし、後ろに馬がいなかった展開も幸いしたようです。小回りコースが向いているとも言えるでしょう。
続いてダービーのトライアルであるチェスター・ヴァーズ(ＧⅢ、３歳、１マイル４ハロン６６ヤード)。
去年はオブライエン厩舎のゴールデン・ソード Golden Sword が勝ったレースで、今年もオブライエン厩舎が送り込んできたロケット・マン Rocket Man がムルタ騎乗で９対４の１番人気を集めていました。
７頭立て。しかし本命ロケット・マンは６着凡走に終わり、勝ったのは８対１のテッド・スプレッド Ted Spread という新顔。２着は頭差でアイコン・ドリーム Icon Dream 、３馬身４分の３差３着にチンク・オブ・ライト Chink Of Light と荒れています。
テッド・スプレッドは一旦アイコン・ドリームに交わされたものの、しぶとく差し返しての優勝。調教師はマーク・トムキンス、騎手はダリル・ホランドでした。
当然ながらダービーに向かう予定ですが、あまり固い馬場は上手くないので、馬場次第では回避するかも知れません。厩舎サイドでは、テッド・スプレッドはむしろセントレジャー・タイプの馬と考えているようで、長い目で見ながら調整していく意向のようです。
以上がチェスター開催の二日目のパターン・レースですが、初日(５月５日)にはリステッド戦ながらオークスのトライアルとなるチェシャー・オークス(Ｌ、３歳牝、１マイル３ハロン７９ヤード)が行われています。
７頭立てを制したのは、５対２の１番人気に支持されたガートゥルード・ベル Gertrude Bell という馬。これもハックスレー・ステークスに勝ったドビュッシーと同じゴスデン厩舎、ビューイック騎乗のコンビです。
ところでガートゥルード・ベルという馬名は、１９８８年にノーベル生理学・医学賞を受賞したガートゥルード・ベル・エリオン女史に因んだ命名。様々な病気に対する新薬を多数開発した女性で、同馬のオーナーサイドでは、２０世紀の偉大な女性のように強い存在に育って欲しいというコメントを出しています。
今年のオークス、ガートゥルード・ベルという名前を頭の片隅に置いて観戦して貰いたいと思いますね。
さて６日はフランスのロンシャン競馬場でもパターン・レースが一鞍組まれていました。デドゥーヴィル賞(ＧⅢ、４歳上、２４００メートル)。
６頭立てを制したのは、イギリスから遠征したアライド・パワーズ Allied Powers 。１２８対１０という人気でした。
２着は頭差で追い込んだモアーズ・ウェルズ Mores Wells 、３着が１番人気のアイザフォスキ Aizavoski の順。
イオリッツ・メンディザバルが騎乗したアライド・パワーズはスタートでやや出遅れましたが、無理せず最後方で待機し、直線で前が空いた内を突いて一気にスパート、鋭い末脚を爆発させての勝利です。
正直な話、メンディザバルは直線に向いた時には負けたと思っていた由。
アライド・パワーズはマイケル・ベル師の管理馬。チェスターをパスして渡仏した判断が見事に当たりました。同馬にとってパターン・レースは初勝利、オーナーにとってはこれがフランスで持ち馬を出走させた初めての機会だったのだそうです。
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