トライアルは北へ

昨日から3日間、イングランド北部のヨーク競馬場で伝統のメイ・ミーティングが始まりました。当然ながら、ここでも注目はクラシック・トライアルとなります。

先ずオークスに向けたトライアル、ミュジドラ・ステークス(GⅢ、3歳牝、1マイル2ハロン88ヤード)。去年の勝馬サリスカ Sariska がエプサムとカラーのオークスを連覇したのは記憶に新しいところでしょう。

今年は8頭が出走、2対1の1番人気に支持されたのはアイルランドから遠征してきたオブライエン厩舎のキャバレー Cabaret 。去年の7月にレパーズタウンでシルヴァー・フラッシュ・ステークス(GⅢ)を制して以来久々の実戦となります。

しかしキャバレーは積極的なレースをしたものの最後は精彩を欠き、7着と期待を裏切りました。
馬場の中央からスムースに先頭に立ったゴールド・バブルス Gold Bubbles が勝ったと思った瞬間、内ラチから鋭い脚で11対4のエイヴィエイト Aviate がゴール寸前で優勝をさらいます。着差は頭。
3着に4分の3馬身差でスタウト厩舎のエレノラ・デューズ Eleanora Duse 。

エイヴィエイトは終始中団の内を進み、最後の2ハロンでも内に包まれたままでしたが、一旦前が開くや、馬群をこじ開けるように一気の末脚を爆発。この勝ちっぷりの鮮やかさから、オークスへのオッズも跳ね上がっています。ブックメーカーによっては1番人気に推すところも出たほど。

調教師は9勝目のオークスを狙うヘンリー・セシル師。いつもはクィーリーが騎乗している同馬ですが、今回はクィーリーが騎乗停止中で(例の1000ギニーでの騎乗)、エディー・ヘイハーンが替って手綱を取っていました。
セシル厩舎としてはずっとタイムピース Timepiece でオークス制覇の意向を表明してきましたが、タイムピースの凡走続きによって主役はエイヴィエイトに移った印象。血統的に1マイル半には疑問があるのですが、これで3戦3勝と負け知らず、2000メートルを克服したことからオークスの可能性も出てきたと言えましょうか。

セシル師とオーナーであるカーレッド・アブダラ氏にとってタイムピースとエイヴィエイトの振り分けは難しい判断。一方が英オークス、他方を仏オークスと分担させることになるのではないでしょうかね。

メイ・ミーティング初日のパターン・レースはもう一鞍。スプリンターによるデューク・オブ・ヨーク・ステークス(GⅡ、3歳上、6ハロン)。3歳馬にも出走権利があり、唯一出走してきた3歳馬ショウケイシング Showcasing が4対1のジョイント・フェイヴァリットに。同じ4対1にオブライエン厩舎が最近トレードしたスタースパングルドバナー Starspangledbanner が選ばれましたが、こちらはこれがイギリスでのデビュー戦となります(オブライエン厩舎としても初出走)。

人気を集めた馬は夫々に好走しましたが、それらを纏めて破ったのは20対1の穴馬プライム・ディフェンダー Prime Defender でした。
2着に半馬身差で人気の一角ショウケイシング、頭差3着に入ったメイン・エイム Main Aim も5対1と人気がありましたし、デビューとなったスタースパングルドバナーも差の無い5着と将来に期待を繋いでいます。

勝ったプライム・ディフェンダーはバリー・ヒルズ厩舎、ロバート・ウインストン騎乗。実はヒルズ師はこのレースを得意にしており、これが7勝目に当たります。それでも同馬が人気薄だったのは、これまでパターン・レースに19回挑戦して一度も勝っていなかったためでしょうか。

(ヒルズ師は、1974、1980、1982、1987、1988、1997年に勝っており、今回は13年振りの優勝)

実はプライム・ディフェンダー、先週の土曜日にヘイドック競馬場で条件戦に勝ったばかり(日本風に言うと中4日)で、この日は状態の良さと1番枠スタートを上手く利用した結果でしょうか。

一方2着惜敗のショウケイシング、去年の同じヨーク競馬場でジムクラック・ステークスに勝っていますから、この競馬場の直線コースは相性が良いと言えそう。今後のスプリント路線での活躍が期待されます。

さて昨日はアイルランドのナース競馬場でもパターン・レースが行われています。ブルー・ウインド・ステークス(GⅢ、3歳上牝、1マイル2ハロン)。
もちろん古馬も出走しますが、このレースは3歳馬が活躍するケースが多く、今年もその例に漏れませんでした。

10頭の登録がありましたが、オブライエン厩舎のキャバレー Cabaret がヨークに回ったため9頭立て。4歳のグレース・オマリー Grace O’Malley が10対3の1番人気。

しかし2着に7馬身の大差を付けて圧勝したのは、7対2の3歳馬アクダレナ Akdarena 。2着は5歳馬のインディアナ・ギャル Indiana Gal が入り、本命グレース・オマリーは4分の3馬身差3着という結果。

アクダレナを管理するのはジム・ボルジャーさん、鞍上はケヴィン・マニング。
同馬は先月のナヴァン競馬場でもマニング騎乗で逃げ切っていました。この日もスタートから先手を奪ってそのまま圧勝。オークスへの意外な伏兵として目が離せない存在かも知れませんね。

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