2010クラシック馬のプロフィール(4)

今回は、アイルランド2000ギニーに勝ったキャンフォード・クリフス Canford Cliffs を取り上げます。
今年のギニー戦線、最も強い勝ち方で制したのがこの馬じゃないでしょうか。3つのギニーの出走馬との比較で見る限り、キャンフォード・クリフスの成長力が一番という印象を持ちました。

しかし血統という観点では早熟なスプリンターという評価が多く、実力で血を克服したタイプと言えるのかも知れません。その辺りを見ていきましょう。

キャンフォード・クリフスは、父タグラ Tagula 、母ミセス・マーシュ Mrs Marsh 、母の父マージュ Marju という血統。
いつものように母系の考察に入る前に、父馬についても少し紹介しておきます。

タグラは2歳時にモルニー賞とジュライ・ステークスに勝ちましたが、3歳時は仏2000ギニーで3着が精一杯だった馬。実はキャンフォード・クリフスの「早熟なスプリンター」という一般的な評価も、タグラの競走成績とダブらせさている感じがしないでもありません。
タグラが引退した時点では、決して人気のある種牡馬とは言えませんでした。

しかしタグラ、初年度産駒の早熟振りを遺憾無く発揮して、2000年度の初年度種牡馬ランキングの首位に立つという意外な活躍を見せます。
恐らくタグラは、ノーザン・ダンサー Northern Dancer もミスター・プロスペクター Mr. Prospector も持たない血統が有利に働いたとも考えられるのです。

さてキャンフォード・クリフスの母系に行きましょう。

母のミセス・マーシュ(2001年生まれ)は、タグラとは逆にノーザン・ダンサーを3代と4代に持つ、一時日本でも流行ったノーザン・ダンサーが18.75%という血統。
ノーザン・ダンサーの血が濃い牝馬に、その血を一切持たない父をアウトクロスさせた配合の妙というべきでしょうか。
このミセス・マーシュは未出走馬。

ミセス・マーシュの初仔はゼーラン Zeeran (2005年生まれ、父バラセア Barathea)といい、イギリスでは(クライヴ・ブリテン厩舎)未勝利でしたが、去年はスウェーデンに転出して1マイル戦に3勝したそうですね。
キャンフォード・クリフスは、ミセス・マーシュの2番仔に当たります。

2代母のドライ Drei (1991年生まれ、父リファード Lyphard)は一度だけ出走し、3歳時に1マイル戦で4着という記録が残っていますが、繁殖牝馬としては相当に活躍し、現在までの所その産駒の5頭が勝馬になっています。

中でも活躍が目立ったのは、リチャード・ハノン厩舎に所属して2歳時に好成績を残した2頭の牝馬、バルチック・ディップ Baltic Dip とピナ・コラーダ Pina Colada 。
特にピナ・コラーダは3歳時はアメリカに転じ、2つのグレード・レースで入着を果たしています。

更にドライのもう1頭の娘であるトリプル・シャープ Triple Sharp は障害レースにも勝った馬で、繁殖牝馬としても既に3頭の勝馬を出す活躍を見せています。
サパラティヴ・ステークス(GⅡ)で3着に入ったエルマウ Ellmau が代表産駒。

キャンフォード・クリフスの牝系で最も競走馬として成功したのは、3代母のトリプル・ティップル Triple Tipple (1979年生まれ、父レイズ・ア・カップ Raise A Cup)でしょう。

彼女は2~3歳時にイギリスでネル・グィン・ステークス(GⅢ)3着、ナッソー・ステークス(GⅡ)3着、プシケ賞(GⅢ)2着と健闘。その後アメリカに転厩し、4~5歳時はウィルシャー・ハンデ(GⅡ)とパロマー・ハンデ(GⅢ)に勝ってグレード・レース勝馬の勲章を獲得します。

トリプル・ティップルは繁殖牝馬としてもイタリアでパターン・レースに入着したトリオード Triode を出していますが、彼女から現在まで引き継がれている血脈で最も活躍しているのがキャンフォード・クリフスであることは間違いないでしょう。

ファミリー・ナンバーは9-f

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