サンダウンのイヴニング開催

季節はどんどん進み、イギリスでは各地の競馬場でイヴニング・ミーティングが始まっています。英国の夏は夜遅くなっても暗くなりません。イヴニングといっても大井競馬場のトゥウィンクルと違って日の光の下で行われる開催です。

そんな薄暮の中、昨日のサンダウンではパターン・レースが二鞍行われました。
まず19時10分にスタートしたヘンリーⅡ世ステークス(GⅡ、4歳上、2マイル78ヤード)。ローテーション的にアスコットのゴールド・カップに向けた絶好のトライアルになるレースですね。

当初10頭の登録から1頭取り消して9頭立て。1番人気は昨秋ニューマーケットでセザレウィッチ・ハンデ(長距離のハンデ戦としては最も伝統あるもの)に勝って以来のレースとなるダーリー・サン Darley Sun の2対1。
レース後、例によってゴドルフィンが購入し、その勝負服でのデビュー戦となります。鞍上もデットーリで万全の構え。

レースはリチャード・ヒルズ騎乗のアクマル Akmal がスタート良く先頭に立ち、本命のダーリー・サンは2番手で追走する展開。長距離戦ですから、そのまま淡々と流れます。

直線、デットーリがヒルズを交わしにかかりますが、アクマルは余力を残していて脚色は衰えません。
差が詰まらないまま終始6番手を進んだスタウト厩舎(ムーア騎乗)のサプタパーディ Saptapadi が外から懸命に追い込み、2番手に上がったところがゴール。

結果、優勝はアクマル、2着に1馬身半差でサプタパーディ、更に1馬身4分の3差でダーリー・サンの順。
アクマルは4対1、見事な逃げ切り勝ちでした。

アクマルは去年の秋に4連勝してパターン・レース(GⅢ、ジョッキー・クラブ・カップ)に勝ちましたが、今シーズンは2戦続けての敗戦。調教するジョン・ダンロップ師の話では、大柄な馬だけに本調子に戻るまでに時間がかかる由。
今年のステイヤー路線には抜けた馬が無く、アクマルもゴールド・カップの有力候補に上がってきました。

それは2着のサプタパーディも同じ。古馬の調教には定評あるスタウト師のことですから、本番向けてキッチリと仕上げてきたところは流石でしょう。
サプタパーディは、去年のゴールド・カップでイェーツ Yeats の2着したパトカイ Patkai の半弟という血統も魅力。ゴールド・カップは混戦の様相を呈してきました。

続いて19時45分スタートのブリガディア・ジェラード・ステークス(GⅢ、4歳上、1マイル2ハロン7ヤード)。GⅢながらレヴェルの高いメンバーが揃う一戦で、やはりロイヤル・アスコットの中距離路線への恰好なトライアルとなるローテーションが魅力なのでしょう。

ここも1頭が取り消して8頭立て。1番人気(13対8)は前走ゴードン・リチャーズ・ステークスを見事に差し切ったグラス・ハーモ二ウム Glass Farmonium でした。

レースは、前のレースでまんまと逃げ切ったヒルズ騎手が二匹目の泥鰌を狙ったか、タジーズ Tazeez が絶妙なペースで逃げ切りを狙います。

しかしここは後方2番手の内でレースを進め、直線で内から外に持ち出したストッツフォールド Stotsfold の末脚が勝り、粘るタジーズを首差で捉えました。リチャード・ヒルズ、惜しくもパターン・レースのダブルならず。
本命のグラス・ハーモ二ウムはスタートを失敗したのが響いたか、最後方から大外を回って追い上げたものの1馬身4分の3及ばず3着に終わりました。

勝ったストッツフォールドは7対1、アダム・カービーが騎乗していました。
同馬は去年のこのレースでも同じようなレース運びで3着していましが、今回は見事に雪辱を果たした形。
ストッツフォールドを調教するウォルター・スウィンバーン調教師は、去年同様アメリカに遠征してアーリントン・ミリオン(去年は3着)を狙う計画だそうです。

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