強者弱者(120)

金魚

 金魚売の声、苗売りの声ともに初夏の街頭にすずし。金魚の狭き器に不自由を忍べるはなほよしとするも、無残なるは亀と蟹とが宙に吊されてあがきたる態なり。田舎の子は己が知恵と力によりて殺生を行へど、都会の子は他の知恵と金の力とによりて之を行ふ。罪深しと謂ふべし。

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私が子供の頃でも金魚売りは良く来ましたが、苗売りの声は聞いた記憶がありません。ただ落語では、古今亭志ん生師匠が話の枕で使っていたことを思い出します。
“苗やァ~、苗” と売りに来たものだそうです。“朝顔の苗あるかい” と訊かれて、“今日は持って来ナエ” という奴ですね。

亀と蟹の話も記憶にはありませんが、実に尤もな言い分です。子供は殺生から自然の大切さを学ぶもの。それも自分の手と頭を使ってこそのことなのです。

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