2010ジュライ・ミーティング初日

今年もニューマーケット競馬場のジュライ・ミーティングがスタートしました。3日間の開催に組まれているパターン・レースは7鞍。一昨年までは6鞍でしたが、去年から1レース増加しています。

初日は牝馬によるパターン・レース2鞍で、最初にチェリー・ヒントン・ステークス(GⅡ、2歳牝、6ハロン)。
出走馬は7頭。先のロイヤル・アスコットで行われたアルバニー・ステークスに勝ったメモリー Memory が5対4の1番人気に支持されていました。
同じくアルバニー4着のラードナファリガ Radharcnafarraige 、8着のフーレイ Hooray と、クィーン・メアリー・ステークス4着馬セリーナズ・プライド Serena’s Pride も顔を揃えています。

レースはゴドルフィンのタンファー Tanfeer が逃げ、本命メモリーは後方待機策。勝負所で内に入ったフーレイを外からムーア騎乗のソレーヤ Soraaya が追い上げますが、メモリーは前が塞がり、大外に持ち出します。
そこからのメモリーの切れ味は抜群。瞬時の内に先行馬を交わし、ソレーヤに4分の3馬身差を付けて優勝。更に半馬身差でフーレイが3着の順。先行したラードナファリガは4着まで。

ヒューズ騎手が追ったのは僅かで、反応は一瞬。最後は抑えるほどの余裕がありましたから、着差以上に強いという印象を受けましたね。

メモリーはこれで3戦3勝と負け知らず。加速力はGⅠクラスの鋭さで、現時点で来年の1000ギニーの本命に上がっています(最も低いオッズで5対1)。
次走はモイグレア・スタッド・ステークスの予定、1マイルには問題無い血統でしょう。

調教師は今期絶好調のリチャード・ハノン、騎手はどこまでもクールなリチャード・ヒューズでした。

続いては混合戦のGⅠレース、フォルマス・ステークス(GⅠ、3歳上牝、1マイル)。去年はゴールディコヴァ Goldikova が勝ったレースですね。

今年は8頭立て。3歳馬5頭に対し古馬3頭は、いずれも精鋭揃い。質の高いメンバーが揃いました。
9対4の1番人気には、ロイヤル・アスコットでコロネーション・ステークスを制したリリー・ラングトリー Lillie Langtry が推され、オブライエン師はフォルマス・ステークス初制覇を狙います。

愛仏1000ギニーの2冠馬スペシャル・デューティー Special Duty はフランスから遠征。騎乗予定だったルメールが月曜日に落馬負傷したためトム・クィーリーに乗り替り、3対1の2番人気でした。

スタウト/ムーア・コンビのストロベリーダイキリ Strawberrydaiquiri (ウインザー・フォレスト・ステークス勝馬)が好スタート、これをファロン騎乗のスペイシャス Spacious (ウインザー・フォレスト2着で、去年のウインザー・フォレスト勝馬)が交わしてハナに立つ展開。かなりのハイペースで引っ張ります。

それぞれ3番手、4番手を追走したリリー・ラングトリーとスペシャル・デューティーは、共に勝負所で手応えが無くなります。一時は12馬身も後方に待機したミュージック・ショウ Music Show が馬なりのまま進出し、最後の末脚を爆発させると一気に突き抜けての快勝です。オッズは13対2の4番人気。

2着は2馬身差で逃げたスペイシャスが粘り切り、3着には4分の3馬身でこれも後方から追い込んだレインフォール Rainfall が食い込みました。
リリー・ラングトリーは5着、スペシャル・デューティーは7着と惨敗し、両陣営からは敗因不明のコメントが出されただけ。

ミュージック・ショウーは今シーズン初戦にネル・グィン・ステークスに勝った後、GⅠレースに6連続出走。1000ギニーはスタンドから遠いグループを走ったのが敗因で6着。愛1000ギニー3着とコロネーション・ステークス4着は、いずれもスローペースで追い込みが不発に終わっていたもの。
今回はハイペースの展開になったことで、同馬の差し脚が活きる流れになったと言えましょう。
(GⅠレースに4連続出走という記録は、1970年のファヴォレッタ Favoretta とアル・バハスリ Al Bahathri 以来のことなのだそうです)

騎乗したのは、チェリー・ヒントンと同じリチャード・ヒューズ。後方待機、内から外に出すクールな騎乗は、チェリー・ヒントンのフェイマスと全く同じスタイルでした。
ヒューズ騎手は、これでこの日ダブル達成。

ミュージック・ショウを管理するのは、ミック・シャノン調教師。これまでフラストレーションが貯まるレースが続いていましたが、この勝利で、“今年の3歳牝馬チャンピオンは決まった” と豪語。次走のロッシルド賞(ドーヴィル開催)でチャンピオンのゴールディコヴァと対決すると張り切っています。

ところでシャノン師はユームゼイン Youmzain で世界的に知られる調教師ですが、元フットボール(日本では何故かサッカーと表記)の名プレイヤー。筋金入りのフットボール・ファンなら懐かしく感じられるのでしょう。プロフィールはこちら。↓

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%8E%E3%83%B3

この日の最終レースのハンデ戦に勝ったスイーテッド・アンド・ブーテッド Suited And Booted という馬は、ハノン/ヒューズの大当たりコンビ。リチャード・ハノン師にとってダブル、リチャード・ヒューズ騎手にとってはハットトリック達成となります。

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