サマーミューザ、日フィルの巻

立秋を過ぎても猛烈な暑さが続いている首都圏、「残暑見舞い」というより「猛暑見舞い」申し上げます、と言いたいほど。
そんな中、川崎のサマーミューザで日フィルの公演が行われました。

ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
モーツァルト/ピアノ協奏曲第21番ハ長調K467
     ~休憩~
ベルリオーズ/幻想交響曲
 日本フィルハーモニー交響楽団
 指揮/ピエタリ・インキネン
 ピアノ/原田英代
 コンサートマスター/扇谷泰朋

今年のプロムスでも「ハ長調」プログラムがありましたが、これもハ長プロ、総合プログラムでも詳しく取り上げられています。
このところマスコミに取り上げられることも多くなった日本フィルとインキネン、期待が大きかったのでしょうか、これまで私が聴いた今年のサマーミューザでは最も客席が埋まっていました。通常の午後7時開演という時間的設定も利したと思います。
更に言えば、インキネンは今回のお祭りに態々新しいプログラムで臨んでいる、というのもファンの目を惹いたのではないでしょうか。オーケストラの取り組みに真剣さも窺えます。

その期待は最初から爆発、日本で披露するインキネンの初ワーグナーに、来月定期ワルキューレへの期待も高まります。
何よりも音圧の圧倒的、かつ快い壮大さ。改めてミューザ川崎シンフォニーホールの音響が卓越していることに感心しました。こういうのもナンですが、東響だけの独占にしておくのはもったいない。より広く開放するなら、ウィーン、ベルリン、アムステルダムより先に在京オケ、そして地方オケにも積極的に演奏してもらうべきではないか。
仮に日本フィルが現在行っている横浜定期を、神奈川定期と名称変更して横浜と川崎の2公演にしてくれるなら、ファンにとってもオケにとっても、そして音楽のまち川崎にとっても魅力倍増になるのではないでしょうか。そんなことも考えてしまうオープニングでした。

続いてモーツァルトのハ長調協奏曲、ドイツ在住の原田は初めて聴きましたが、流麗なテクニックと暖かい雰囲気のピアニスト、と聴きました。
それ以上に、単なる伴奏に堕さない管弦楽の雄弁さ。
アンコールとしてリストの愛の夢。

リストに続いてベルリオーズというのは極めて自然な流れ。
幻想は先頃ヴァスケス/東フィルの名演に接しましたが、余り時間を置かずにまた別のタイプの堂々たる幻想に触れた思い。もちろんインキネンのベルリオーズは初体験でしたが、冒頭から楽曲構造を明確にして行く正攻法の幻想。
それでいてスリリングな展開、オケの色彩豊かな響きに時間が経つのを忘れてしまいました。

日本フィルの「鐘」は有名ですが、今回は舞台裏での演奏。その音からだけでも、よくあるのど自慢の鐘とは異なる深みのある音色にその姿を思い浮かべることができました。
初めて日フィルを聴いた人も多かったと思いますが、この日の名演は「日本フィル」の名前を強く印象付けたでしょう。
今回の成功を見て思ったのは、来年の九州ツアーで、インキネン/日フィルは幻想を考えているのではないか、ということ。確かシベリウスの2番は決まっていたと承知していますが、もう1曲が幻想なら理想的じゃないか。私の予言が当たるかは神のみぞ知るですが、九州の皆さん、期待していても良いと思います、ね。

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1件の返信

  1. より:

    わたしも昨日の快演を聴いていて、九州ツアーに「幻想」を考えているんじゃないかと思いました。(そうなると追っかけツアー、二晩聴かなきゃならないですね・・・(^_^;))

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