圧巻、ゴールディコヴァ
8月最初のパターン・レースは、フランス(ドーヴィル競馬場)とアイルランド(コーク競馬場)から。
前日からスタートしたドーヴィル夏競馬のパターン・レース戦線、最初の日曜日の目玉はロッシルド賞(GⅠ、3歳上牝、1600メートル)です。以前はアスタルテ賞として知られていたレースですね。
出走馬は8頭。2対5(英国では1対3)という圧倒的な1番人気に支持されたのは、このレース3連覇がかかるゴールディコヴァ Goldikova です。
ヘッド厩舎が万全を期すために出走させたペースメーカー、オンリー・グリーン Only Green が予定通りレースを引っ張り、英国から挑戦したミュージック・ショウ Music Show が2番手、ゴールディコヴァはその後をピッタリとマークして進みます。
ゴール前2ハロン、オリヴィエ・ペリエ騎手のゴーサインに応えてゴールディコヴァのエンジンが掛かると、レースは一瞬で決着が付きました。
ヒューズ騎乗のミュージック・ショウが懸命に追走したものの、ゴールディコヴァは3馬身差を付ける楽勝。2着ミュージック・ショウと3着エルーシヴ・ウェイヴ Elusive Wave とは更に1馬身の差が付いていました。
ゴールディコヴァにとって、これは通算で10勝目のGⅠレース。1970年に現在のパターン・レース・システムが導入されてから、GⅠ10勝という記録はミエスク Miesque に続いて最多の2頭目となります。
2週間後には同じドーヴィルのジャック・ル・マロワ賞(8月15日)に挑戦、更に秋のラ・フォレ賞から3連覇をかけてブリーダーズ・カップ・マイルへという青写真が描かれています。前人未到のGⅠ最多勝に向けて秒読み段階に入ったと申せましょう。
この日は、ドーヴィル最初の2歳馬によるパターン・レースも行われました。カブール賞(GⅢ、2歳、1200メートル)。
出走馬は僅かに5頭。2戦2勝のカワティム Khawatim が2対5の圧倒的本命に支持されていました。GⅠのゴールディコヴァと同じオッズ。
しかしこちらは未だ経験の少ない2歳馬のこと、期待を裏切って3着に沈んでしまいました。
優勝は51対10のポンテヌオーヴォ Pontenuovo 、2馬身差2着に12対1のキャプテン・チョップ Captain Chop 、更に半馬身差3着にカワティムの順。
レースは、逃げたキャプテン・チョップ(2着)を4番手で追走したポンテヌオーヴォが抜け出して楽勝という内容。カワティムは3番手で進みましたが、最後は平均ペースを維持するのがやっとというレース振りでした。
勝ったポンテヌオーヴォはメゾン=ラフィットの新馬戦で2着したのが唯一の戦績。初勝利が重賞と言うのは、ヨーロッパでは珍しいケースではありません。元々厩舎の期待が高いのでしょう。
管理するのはイヴ・ド・ニコライ師、ステファン・パスキエが騎乗していました。
アイルランドはゴールウェイ・フェスティヴァルの最終日に沸いていましたが、パターン・レースが行われたのはコーク競馬場の方。
ギヴ・サンクス・ステークス(GⅢ、3歳上牝、1マイル4ハロン)は11頭立て、6対4の1番人気に支持されていたのは、未だこれが2戦目(1戦1勝)という3歳の新星でアガ・カーンの所有するザレビーヤ Zarebiya でした。
オックス厩舎の秘密兵器、ゴールウェイでは我がポップロックを勝利に導いたフラン・ベリーを鞍上に健闘したザレビーヤでしたが、惜しくも3着。
優勝は出走馬中最高齢の6歳牝馬シーズ・アワ・マーク She’s Our Mark 、1馬身半差2着にレオ・ガリ Leo Gali 、短頭差でザレビーヤという結果です。
優勝馬のオッズは4対1。
シーズ・アワ・マークはパトリック・フリン厩舎、ダニー・グラント騎乗。これが8勝目となりますが、勝鞍の全てがグラント騎手とのコンビで、馬と騎手の相性は抜群と言えましょう。
アガ・カーンのペースメーカーであるカラシーラ Karasiyra の逃げを大胆にも最後方で我慢、直線半ばではとても届きそうにない位置から、早めに先頭に立ったレオ・ガリを差し切っての快勝でした。
パターン・レースは、3歳時のデスモンド・ステークス(GⅢ)、5歳時のメルド・ステークス(GⅢ)に続く3勝目です。
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