エア、ニューバリー、ロンシャン

土曜日は英仏3場のパターン・レースです。

先ずはイギリス、スコットランドのエア競馬場から。9月のエアはスプリントのハンデ戦であるゴールド・カップが大人気なのですが、ヨーロッパではハンデ戦はパターン・レースには格付けされません。
そこでこの日はゴールド・カップの前座となるファース・オブ・クライド・ステークス(GⅢ、2歳牝、6ハロン)から。

1頭取り消しの10頭立て。8月にヨークのラウザー・ステークス(GⅡ)で3着したリムス Rimth が11対8の1番人気に支持されていましたが、勝ったのは、ショショーニ・ウインド Shoshoni Wind の逃げを2番手でマークしたマジェスティック・デュバーウィ Majestic Dubawi 。22対1という大穴。

後方を進んだデットーリ騎乗のラグザー Ragsah が強烈に追い込みましたが、エンジンがかかるのが少し遅く1馬身差の2着。頭差3着にベアフット・レディ Barefoot Lady の順。本命リムスは7着と期待を大きく裏切ってしまいました。

マジェスティック・デュバーウィはミック・シャノン厩舎、鞍上はクリス・キャトリン。バース競馬場の未勝利戦に続く連勝で、3戦2勝となります。

ところでメインのエア・ゴールド・カップ(3歳上、6ハロン)は26頭立て。馬群がスタンド側と外ラチの真っ二つに分かれる展開。数が少ないスタンド側の最後方から、レッドフォード Redford が信じられないような末脚を爆発させて快勝しています。
勝利調教師のデヴィッド・ニコルスはこのレース何と6勝目。前のレースで惜しくも追い込みが届かなかったデットーリ騎手は、去年に続いて連覇。にも拘らず14対1という相当な波乱になったのは、さすがにハンデ戦ということでしょうね。

ニューバリー競馬場のパターン・レースは2鞍。
最初のミル・リーフ・ステークス(GⅡ、2歳、6ハロン8ヤード)は7頭立て。ジュライ・ステークス(GⅡ)、リッチモンド・ステークス(GⅡ)を含め3戦無敗のリブランノ Libranno が当然ながら5対2の1番人気に支持されています。夏の2歳戦を総なめにしたハノン厩舎のエース格ですね。

しかし意外や、リブランノは先頭で飛ばしたもののゴール前でバッタリ。5着の大凡走で初黒星を喫してしまいました。
優勝はスタートで後手を踏み、最後方からの競馬となったテンプル・ミーズ Temple Meads 。1馬身4分の3差2着にフォーモシナ Formosina が入り、更に半馬身差3着にクラウン・プロゼキュター Crown Prosecutor が続きます。

テンプル・ミーズはエド・マクマホン厩舎、リチャード・マレン騎乗。同馬は前走ジムクラック・ステークス(GⅡ)では1番人気に支持されていましたが、リズムが合わず4着敗退していた馬。今回は4対1と人気を落としていましたが、前走の分も合わせて雪辱した形。ジムクラック2着だったクラウン・プロゼキュターにも逆転を果たしています。
次走はミドル・パーク・ステークスになる模様。

ニューバリーのもう1鞍はワールド・トロフィー(GⅢ、3歳上、5ハロン34ヤード)。15頭立ての多頭数ながら、3対1の1番人気に支持されたアストロフィジカル・ジェット Astrophysical Jet が見事期待に応えています。
半馬身差2着に逃げたゴールデン・デスティニー Golden Destiny 、更に半馬身差3着がプロヒビット Prohibit 。牝馬のワン・ツー・フィニッシュという結果に終わりました。

アストロフィジカル・ジェットは、ミル・リーフを制したエド・マクマホン師の管理馬。パターン・レース・ダブル達成です。こちらの騎手はグレアム・ギボンズ。

同馬は成長著しい3歳のスプリンターで、前走カラー競馬場のフライング・ファイヴ(GⅢ)に続くGⅢ2連勝。マクマホン師によれば、彼女は今シーズンはこれで終戦、4歳となる来期はGⅠ制覇を目指すことになります。

最後はフランス、ロンシャン競馬場で行われたパターン・レース2鞍。

シェーヌ賞(GⅢ、2歳、1600メートル)は僅か4頭立て。出走馬中3頭が無敗馬という興味深い一戦でしたが、優勝は期待通り、7対10の1番人気に支持されたフレンチ・ネイヴィー French Navy
4分の3馬身差2着にも2番人気のハヴァヌ・スモーカー Havane Smoker 、更に5馬身の大差が付いて3着にサーフライダー Surfrider と順当な結果。

勝ったフレンチ・ネイヴィーはドーヴィルで2連勝し、パターン・レース初挑戦で3連勝をマーク。着差は4分の3馬身ですが、騎乗したマキシム・グィヨンはムチを使わず、余裕のある楽勝でした。
ゴドルフィンの所有馬で、管理するのはアンドレ・ファーブル師。次走は、来月のクリテリウム・インターナショナルになる予定です。

続いて行われたプランス・ドランジュ賞(GⅢ、3歳、2000メートル)は、凱旋門賞トライアルの最終便。このトライアルから凱旋門賞馬になったのは過去に5頭いますが、最も新しい記録は1990年のソーマレズ Saumarez で、最近は比較的影の薄いトライアルです。
(他の勝馬は、1922年のクサール Ksar 、モトリコ Motrico は1930年と1932年の隔年制覇。1976年のイヴァンジカ Ivanjica 、1978年がアレッジド Alleged 。いずれもこのトライアルが古馬にも開放されていた時代の勝馬です。)

今年は10頭立て。パターン・レースで2着続きのウェルシー Wealthy が5対2の1番人気に支持されていましたが、優勝は同厩の伏兵、10対1のプリンス・ビショップ Prince Bishop でした。
4頭が半馬身差に犇めく大混戦で、短首差2着が本命のウェルシー、ハナ差3着はラジサマン Rajsaman 。

調教師アンドレ・ファーブル、騎手マキシム・グィヨン、馬主ゴドルフィンのコンビにとってはシェーヌ賞に続きパターン・ダブル。ファーブル厩舎はワン・ツー・フィニッシュの快挙です。

勝ったプリンス・ビショップはヴィシー、クレールフォンテーヌとプロヴァンス競馬で連勝してきた馬。パターン・レース初挑戦で初勝利となりますが、凱旋門賞に出走する予定はありません。断念凱旋門とも残念凱旋門とも呼ばれているコンセイユ・ド・パリ賞に向かう予定。

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