今日の1枚(120)

ナマの演奏会が続くと、どうしてもCDを聴く気にはなりません。いかに録音・演奏が良くても、CDはあくまでも缶詰。何度聴いても同じだし、演奏者が間違えないのも不自然でしょ。

ということで音盤シリーズはどうしても滞り勝ちになります。暫くは予定しているコンサートもありませんので、バイエルン放送交響楽団 Symphonienorchester des Bayerrischen Rundfunks の創立60周年記念セットに戻りましょう。5枚目は、第4代の首席指揮者ローリン・マゼール Lorin Maazel が指揮するストラヴィンスキー・アルバムです。

①ストラヴィンスキー/バレエ組曲「火の鳥」
②ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」

デーヴィスの後を受けて第4代首席指揮者に就任したマゼールは、1993年から2002年の9年間、その地位にありました。当盤は、当然ながらマゼールの首席指揮者時代の録音です。

BR Klassik レーベルの 900706。①はミュンヘンのヘラクレスザール Herkulessaal, Munchen 、1999年6月17・18日の定期演奏会のライヴ。
一方②は、珍しくミュンヘンのガスタイク・フィルハーモニー Philharmonie im Gasteig, Munchen での収録で、1998年4月2・3日の定期。
年代から見てディジタル録音と思われますが、ブックレット等にクレジットはありません。例によって演奏終了後の拍手はカットされています。

①のプロデューサーは Bernhard Albrecht 、エンジニアが Wolfgang Karreth 。②は、プロデューサーが  Wilhelm Meister 、エンジニアは ①と同じ Wolfgang Karreth という組み合わせ。

前任者デーヴィス同様、弦楽器の配置はアメリカ方式ですが、ヴィオラが右端に位置しているように聴こえます。録音だけでは断定できませんが。

この盤も収録レヴェルが低く、よほどヴォリュームを上げて聴かないとストラヴィンスキーらしさが出てきません。如何にも放送曲の録音らしく、ホールで聴く自然なバランスに力点が置かれているのでしょう。特定の楽器を拾い上げるような録音はされていません。曲が曲だけに、そこが少し物足りないかも。

演奏はいずれも恰幅の良いもので、若い頃のマゼールのスリルは感じられません。オーケストラの上手さも、特に②ではマイナスに働いているように感じてしまいます。

①は最も普通に演奏される1919年版(当盤にも明記されています)。第4曲「王女のロンド」、7小節目のあとでアポストロフの休止を加えているのは、同じ部分が再現する練習番号6の直前と整合させるためでしょう。

第6曲「子守歌」、練習番号6の2小節目のファゴット・ソロの2拍目を冒頭と同じ音に変更しているのも、第7曲「フィナーレ」、練習番号12の3小節目にハープの上昇音型を追加するのも、一般的に行われている改訂と同じ処理。

インデックスは各楽章毎、全部で7か所に振られています。

②も一般的に演奏される1947年版で間違いありません。
マゼールはウィーン・フィルとのセッション録音で、第2部・練習番号103の2小節目の11拍子を極端に遅いテンポで演奏して度肝を抜きましたが、ここでは遅いものの極端なテンポには落としていません。マゼールとしては大人しい演奏。

こちらのインデックスは第1部と第2部だけの2箇所。

ブックレットの解説は Thomas Schulz 。独英仏の3カ国語で読めます。

参照楽譜
①チェスター J.W.C.17
②ブージー アンド ホークス No.638

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