今日の1枚(121)

バイエルン放送交響楽団 Symphonienorchester des Bayerrischen Rundfunks の創立60周年記念セットの最後の1枚は、2003年から現在まで第5代の首席指揮者を務めているマリス・ヤンソンス Mariss Jansons が指揮するリヒャルト・シュトラウス作品集です。

①R.シュトラウス/「ばらの騎士」組曲
②R.シュトラウス/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」
③R.シュトラウス/四つの最後の歌

③でのソプラノ独唱はアーニャ・ハルテロス Anja Harteros と読むのでしょうか、最近の人には疎いもんで・・・。

BR Klassik レーベルの 900707。録音日付、収録場所はバラバラで、①はミュンヘンのヘラクレスザール Herkulessaal, Munchen 、2006年10月19・20日。②もヘラクレスザールでのライヴで、2009年3月5・6日の演奏会。
最後の③だけはミュンヘンのガスタイク・フィルハーモニー Philharmonie im Gasteig, Munchen での収録で、2009年3月25・27日の収録とクレジットされています。
当然ディジタル録音でしょうが、ブックレット等には一切表記がありません。

プロデューサーは全て Wilhelm Meister 。エンジニアは①と③が Klemens Kamp 、②のみ Christiane Voitz となっています。②のエンジニアは女性でしょうか。
弦楽器の配置はアメリカ方式。マゼール時代同様ヴィオラは右端のように聴こえますが、定かではありません。

この盤は、前の2枚に比べれば収録レヴェルが大きくなっていますが、全体にエネルギーは抑えめ。シュトラウスの大音量に配慮した録音なのでしょう。

これまでの5枚は全て演奏後の拍手はカットされていましたが、この盤には3曲とも盛大な拍手と歓声が入っています。これまでと同じ調子で聴いていると些か驚かされます。
それにしてもミュンヘンの聴衆は何て熱狂的なんでしょう。②はフライング気味だし、③は曲想に相応しくないほど歓声が飛びます。
何度も繰り返して聴く人には却って耳障り。

最新のものだけあって、録音はこのセットでは最も優れたもの。演奏も、最後の拍手から判断してミュンヘンでのヤンソンス人気が窺われるノリの良いものです。イケ面指揮者のカリスマ性にミュンヘンっ子が参っている様子が聴き取れます。

①は要所にインデックスが振られておらず、一つのトラックに収められています。各部を確認しながら聴くのには不便。
もともと華麗なオーケストレーションの作品ですが、ヤンソンスは更にティンパニを加えて一層派手にアレンジしています。
例えば第3幕の音楽のクライマックス(練習番号57の5小節目から4小節間)、更に最後の練習番号70から71まではほとんど全部の小節にティンパニを叩かせまくっています。
練習番号73に入る直前の4小節目にも一発。そして練習番号73に入る直前2小節目ではティンパニを一撃したあと、トレモロのクレッシェンドで73に突入するという荒業も披露。

お陰で客席は大喜び。確かに効果的な加筆ですが、ここまでやると些かやり過ぎじゃないでしょうか。
ヤンソンスはあまり聴いたことがありませんが、こういう指揮者なんでしょうかね。

②と③は多分スコア通り。ブックレットの解説は Vera Baur という人。

また③の演奏順序は、(1)春、(2)九月、(3)眠りのとき、(4)夕映えに、の順。(3)のヴァイオリン独奏はアンドレアス・レーン Andreas Rohn 、同団のコンサートマスターでしょう。

参照楽譜
①ブージー アンド ホークス HPS 1208
②ペータース Nr.4192e
③ブージー アンド ホークス No.667

最後に、バイエルン放送交響楽団は1949年にミュンヘンで創立された新しいオーケストラですが、記念すべき第1回の公演はリヒャルト・シュトラウスが自作を指揮して行われたのですね。
ただし聴衆を入れたコンサートではなく、バイエルン放送局スタジオにおける制作。公演日は1949年7月1日、曲目は2曲で、

(1)R.シュトラウス/歌劇「カプリッチョ」間奏曲
(2)R.シュトラウス/歌曲「ひそやかないざない」作品27-3

という短いもの。歌曲のソロはテノールのユリウス・パツァークでした。

楽団創設60周年を記念した6枚セット、最後にシュトラウス作品集が選ばれたのは、恐らくそうした歴史を踏まえての選曲なのだと思われます。
これはあくまでも私の想像で、ブックレットの解説には触れられていません。

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