今日の1枚(38)

今朝は寒かった。いつもは30分も歩けば暖かくなるものですが、今日は縮こまったまま帰って来ました。寒さの底でしょう。春また遠からじ。
ベイヌム・セットを聴いてきましたが、いよいよ最後のCDです。
①モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第4番二長調K218
②モーツァルト/交響曲第40番ト短調K550(リハーサル)
③アルフォンス・ディーペンブロック/テ・デウム
①は1956年6月8日、ウィーンのムジークフェラインでの収録、ヴァイオリンはユーディ・メニューインです。
②1956年9月20日
③1956年10月7日の収録で、ソプラノ/エルナ・スポーレンベルグ Erna Spoorenberg 、コントラルト/ナン・メリマン Nan Merriman 、テノール/エルンスト・へフリガー Ernst Haefliger 、バス/ローレンス・ボートマン Laurens Bogtman 、合唱はアムステルダム・トーンクンストコール Toonkunstkoor Amsterdam です。
①コンセルトへボウ管弦楽団は、1956年6月にウィーンとミラノに演奏旅行を行いました。これはその一環、ウイーンでのコンサートを収録したもの。
解説書によると、一行は列車にオランダ国旗を掲げてウィーン入りしたのですが、到着地ヴェストバーンホーフ駅ではオランダ国歌が高らかに奏され、ウィーン中の音楽家たちが出迎えての大歓迎。街はさながらパーティー会場と化した由。その観衆の中にフォン・カラヤンの姿もあったとか。
この録音はハイの伸びが欠け、ややくすんだ音になっているのが残念。カデンツァについての記載は一切ありません。三楽章全てにやや様式的にはモーツァルトらしくないカデンツァが弾かれています。
この曲のカデンツァに関する知識がないのでよく判りませんが、メニューインが英HMVに録音した正規盤(サージェント指揮リヴァプール・フィル DB 6146/8)のデータではメニューイン自作となっていますので、この収録もメニューイン作と看做してほぼ間違いないと思われます。
②は珍しいリハーサル風景の録音。ベイヌムのモーツァルトは正規録音が少ないので貴重な音源でしょう。本番の収録テープは残っていないのでしょうか。
全4楽章のリハーサルが全て入っていますが、全体をほぼ通して演奏し、ベイヌムは時々声を上げてオケに指示して行くスタイル。あまり演奏を止めることはないようです。第1楽章も第2楽章も一度か二度止めるだけ。
第3楽章のトリオだけは何度か止めて演奏を繰り返し、解釈を徹底しているのが面白いところです。メヌエットのダ・カーポは省略。
第4楽章は展開部に入ったところで止め、何か指示して提示部を繰り返します。このリハーサルで提示部繰り返しを決めたのでしょうか。
会話はオランダ語なので何を喋っているのかは不明。解説によると、ベイヌムは自身の解釈を一方的に押し付けるのではなく、楽員の意見も聞き、納得した上で先に進めているのだそうです。
全曲のリハーサルは30分で終了。効率よく紳士的なリハーサルが垣間見られるディスクです。使用しているのはクラリネット付き版。
演奏は一音一音をシッカリと刻み、レガートで流す種類のモーツァルトではありません。私の好きなタイプ。
③ディーペンブロック Alphons Diepenbrock(1862-1921) はオランダの声楽曲専門の作曲家。テ・デウムは1897年作、1908年改訂の代表作です。4人の独唱と二重合唱(ダブルコーラス)による、パレストリーナ風ポリフォニーにブルックナー風ロマンが加味された作品。
1902年にメンゲルベルクによって初演され、ディーペンブロックは一夜にして有名人になったのだそうです。以来コンセルトへボウはこれを度々取り上げ、ここに収録されたのは、ベイヌムのコンセルトへボウ登場25周年を祝うガラ・コンサートでのもの。
参照楽譜
①オイレンブルク No.748
②ユニヴァーサル(フィルハーモニア) No.27
③なし。例によってドネムスから出版されている由

 

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