京都のヴェルディ・レクイエム
う~ん、何のネタにしょうか迷ったんだけど、演奏会ネタということにしておきましょう。京都行状記と一緒にしようかとも思いましたが、まぁ、分けておくことに。
今回の京都、目的であったヴェルディを聴いてきました。内容はこんな具合。
同志社学生混声合唱団 創立60周年記念演奏会
ヴェルディ/レクイエム
指揮/広上淳一
管弦楽/京都市交響楽団
ソプラノ/菅英三子
メゾソプラノ/菅有実子
テノール/佐野成宏
バリトン/キュウ・ウォン・ハン
合唱/同志社学生混声合唱団CCD創立60周年記念合唱団
これはプログラムに表記されたままを転記したもの。他に合唱指導、ピアノ伴奏の方々の名前が記されていました。合唱団の名前がやたらに長いのは、今回の記念演奏会に様々な方々が携わったからで、いちいち経緯は書きません。プログラムに「記念演奏会ができるまで」という、OB・OG会の長文が載っていました。
そういう会ですから、批評めいたことは書きません。ただし、個人的な感想としては、やはり広上のヴェルディ/レクイエムを堪能した、に尽きるような感じがしました。それが目的で行ったんですから、わざわざ東京から駆けつけた甲斐があったというものです。
当日券も出ていたようで、窓口には何人か並ぶ人の姿もありました。会場は1階は満席のようでしたし、3階になるんでしょうか、高いところに若干空席が目立つ程度。
やはり学校関係者が多いんでしょう、見渡した感じでは、普段クラシックに通い慣れた人達ではなさそう。これがチョッと心配で、京都のホールは雑音に対する規制が緩いようですね。
演奏中もヒソヒソ話している人もいれば、花束を持ち込んでガサガサと雑音を立てている人もいます。これは仕方ないでしょうが、もう少し啓蒙が必要じゃないですかね。
主役の合唱、これは良かったですよ。指導を担当した大谷圭介氏の努力に拍手ですね。今年の夏は熱海で東西合同合宿も行ったようで、並みの練習量じゃなかったと思慮します。
ソリスト・オーケストラも水準の高い演奏を聴かせてくれましたが、願わくは女声ソリストにもう少し音量があったら、と思ったのも事実です。特にソプラノ、最近2回ほど聴いた同曲のソロが「あの人」だっただけに、不満は多少ありました。
何と言っても指揮者ですね。プログラムに、“マエストロ広上淳一氏はほんの数分の指導で私たちを至福の世界へ導いてくれます”とありましたが、これは彼の才能に触れた人が共通に感ずることのようです。“そうでしょうとも”と言いたくなるくらい。
広上自身のリハーサルはそれほど多くはなかったでしょう。本番前の数日かも知れませんね。それでもこれだけの成果を出す、というのは指揮者としての天性の資質。
その一例としてここを挙げたいですね。
第7曲のリベラ・メ。怒りの日が再度現れ、静まってからのアンダンテ。オーケストラは完全にタチェットとなり、ソプラノ・ソロと合唱が冒頭のレクイエムを交唱していく、たったの2ページ。ここでマエストロは指揮棒を置き、両手と体全体のアクションを使って、合唱団から息を呑むほどに劇的な表現を挽き出していくのです。もう、これは“至福”なんてものじやなく、“唖然”という印象。ナマ、レコード、何度も聴いてきた作品ですが、こんな表現が可能だったのか。
この39小節だけで、チケット代と新幹線代は、完全にペイしました。下世話なこと言ってゴメンネ。でも、ここは涙しかないでしょ。
ぴちゅうさんは拍手に不満があった、ということでしたが、私は東京で慣れっこですから、驚きませんでしたね。ただ、クラシックに不慣れな聴衆なんでしょう、全体にギコチない感応ぶりでした。
マエストロはこの後直ぐにコロンバスだとか。東京でも聴かせてほしいですね。こんなレクイエムを体験できる機会は、そうあるものじゃない。
ところが、新幹線待ちの間にプログラムをひっくり返してみたら、裏表紙に“本日演奏の渾身のヴェルディ・レクイエムがCD発売されます!”(2008年1月発売予定)とあります。ホンマかいな。
このページはキング・レコードの広告ページ。購入申し込みの手順まで書いてあります。
出演者がすんなりOKを出すのかどうか。道理でマエストロ、いつもほどに“カッカッ”とか“シュッシュッ”というノイズを出していなかった。本格的な録音セッションを組んでいるようには見えなかったけどなぁ~。
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