今日の1枚(152)
トスカニーニのベートーヴェン、交響曲全集は終わりましたが、当シリーズにはあと2枚、ベートーヴェンが残っています。ベスト・セレクション第8集は協奏曲の1枚。
①ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲
②ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番
①のソロはヤッシャ・ハイフェッツ Jascha Heifetz 、②はアルトゥール・ルービンシュタイン Artur Rubinstein 。
録音データは以下の通り。
①1940年3月11日 NBC 8-Hスタジオ
②1944年10月29日 NBC 8-Hスタジオでの放送録音
これまで聴いてきた交響曲全集に比べてどちらも録音が古く、流石のK2レーザーカッティングでも些か音質的には古いのが難点です。
品番は BVCC-9918 。両曲とも初出はSPで、①はHMVの DB 5724/8S で、9面に収められていました。
一方②はライヴ録音で、同じくHMVの DB 9483/6 の8面。WERMにも演奏会の期日が明記されています。
当時の規格では①は10面が普通でしたから、如何にこの演奏のテンポが速いかを表していると思います。
両曲のソリストについては説明の必要もないでしょう。両巨匠とトスカニーニの丁々発止が聴きどころ。
①は聴衆の入らないセッション録音。カデンツァは、第1楽章がレオポルド・アウアーのものをハイフェッツが更に手を加えたもの。第3楽章はヨーゼフ・ヨアヒムのものにハイフェッツの手が加えられたもの、と表記されています。
また第2楽章と第3楽章の繋ぎにも短いカデンツァが置かれているのが特徴で、カデンツァの譜面が手に入らないので、これ以上詳しいことは判りません。カデンツァに関しての記載はWERMも同じです。
ハイフェッツのソロは、快刀乱麻を断つ、という表現が相応しいもの。暫く聴いているうちに録音の古さが気にならなくなります。
②は8Hスタジオに聴衆を入れてのライヴ録音。演奏の最後には盛大な拍手が入りますが、演奏中の客席ノイズはほとんど無く、ライヴ録音であることを忘れさせるもの。如何に聴衆が演奏に集中しているかが判ります。
①に比して4年半ほど新しい分、音質的にも聴き易く感じられます。
カデンツァは、当盤にはベートーヴェンのものにブゾーニが更に手を加えたものと表記されていますが、実際にはベートーヴェン自作のカデンツァの冒頭2小節を省略したもののように聴こえました。
協奏曲ということもあるのでしょう、トスカニーニもソリストもオリジナルの譜面に特段の変更は加えていないと思われます。録音の古さ故、細部が明瞭でない面もありますが・・・。
参照楽譜
①ユニヴァーサル(フィルハーモニア) No.45
②オイレンブルク No.704
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