今日の1枚(154)

「トスカニーニ・ベスト・セレクション」第10集はロッシーニ序曲集。BVCC-9920 の品番で、オリジナルデザインのLPジャケットが復刻された懐かしい一枚です。
私もかつて当ジャケットのLPを所有していて、この録音は学生時代に何度も聴いたものでした。今や手元にないので確認できませんが、当CDは旧LPには収録されていなかった曲も含まれていると思われます。以下の内容。

①ロッシーニ/歌劇「アルジェのイタリア女」序曲
②ロッシーニ/歌劇「ブルスキーノ氏」序曲
③ロッシーニ/歌劇「セビリャの理髪師」序曲
④ロッシーニ/歌劇「シンデレラ」序曲
⑤ロッシーニ/歌劇「どろぼうかささぎ」序曲
⑥ロッシーニ/歌劇「コリントの包囲」序曲
⑦ロッシーニ/歌劇「セミラーミデ」序曲
⑧ロッシーニ/歌劇「ウイリアム・テル」序曲

①のみ聴衆を入れたコンサートのライヴ録音で、他はすべてセッション録音。会場は全てカーネギーホールとクレジットされています。データは、

①1950年4月14日 コンサート・ライヴ
②1945年6月8日
③1945年6月28日
④1945年6月8日
⑤1945年6月28日
⑥1945年6月14日
⑦1951年9月28日
⑧1953年1月19日

②~⑥は戦時中の録音で、音質的にも古さが感じられます。①はライヴの所為か、あまり新しさが感じられない痩せた音。拍手はカットされています。
録音状態に限れば、断然素晴らしいのが⑧。トスカニーニは⑧をNBCと二度録音しているようで、これは新しい方。
演奏の凄まじさは⑦。残念ながら録音がややオーバーフロー気味で聴き辛い個所があるのが難点ですが、これだけ見事なアンサンブル、白熱した指揮で聴けるロッシーニは稀でしょう。作品がオペラ・セリアの序曲であるというのも頷けます。

ロッシーニ序曲集として比較的珍しいのは②と⑥でしょうか。
特に②はカチカチというノイズのような音が何度も出ますが、これは第2ヴァイオリンが弾くコル・レーニョ。この作品は、その昔に渡邉暁雄が日フィルの定期で取り上げたことがあります。興味津々で演奏方法を見ていましたら、第2ヴァイオリンは弓の反対側、つまり木の部分で譜面台を叩いていました。通常のコル・レーニョとは違う奏法?です。
トスカニーニがこのように演奏しているかは不明ですが、当時の日フィルのコンサートマスターだったルイ・グレーラーはNBCで弾いていた人。恐らく当録音も譜面台を叩いていると思われます。

ロッシーニのスコアには様々なものがあり、譜面によって微妙な相違があります。従ってスコアを見ながら鑑賞するのは野暮かも知れませんが、念のため手元の参照楽譜を列記しておきましょう。トスカニーニの演奏は、これらのスコアとはかなり違う部分があります。

参照楽譜
①オイレンブルク No.1110
②カーマス K00396
③インターナショナル・ミュージック No.1501(歌劇全曲版)
④オイレンブルク No.1120
⑤オイレンブルク No.686
⑥オイレンブルク No.1126
⑦オイレンブルク No.654
⑧オイレンブルク No.616

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