日本フィル・第628回東京定期演奏会

この日記は、大災害のあと最初に書くものです。まず、東北地方太平洋沖地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

昨日の午後2時46分に発生した国内観測史上最大の大地震は、日本フィルの東京定期演奏会が予定されていた初日の出来事。当初は被害の実態も分からず、日本フィルのホームページでは当日の演奏会は開催の方向、という告知がなされていました。
交通機関は全てストップしていたので取り敢えずサントリーホールに向かおうと車を出したのですが、幹線道路は大渋滞。徒歩で帰宅する方たちの延々たる流れにも遭遇し、「危険」と即断してそのまま引き返しました。
帰宅して見たテレビ報道の悲惨なこと、改めて被害の甚大さに目を奪われたのは皆さんも同様でしょう。

明けて今日。最初は定期二日目が行われても出かけない積りでいました。しかし午前中の都内の様子や、日本フィルのホームページで確認した結果、行くことに決断。これは帰宅しての一報です。

事務局の話や演奏会前に行われたプレトークなどを総合すると、金曜日の定期は時間通り開催されました。ゲネプロ開始前には楽員も全員集合していたし、地震発生後のホールの安全確認が取れたことで決断した由。
交通機関は全てストップしていたので聴衆はほとんど無し。僅かに77人が客席に座り、演奏終了後、聴衆と楽員合わせて48人が提供されたサントリーホールで夜を明かしたのだそうです。中には帰宅できないので当日券でコンサートを聴き、そのままホールに泊まった方もおられたとか。

二日目は初日に聴けなかった会員には代替席が提供され、我々はいつもとは違う二階席でラザレフを楽しみました。
演奏会の開始に先立ち、平井専務理事から挨拶。この段階での演奏会開催には様々な意見があったものの、日本フィルとしては精一杯の演奏で被災地への応援メッセージを届けよう、という気持ちで開催に踏み切ったとのこと。
その思いは、複雑な心情を抱いて赤坂に駆け付けた聴き手も同じことです。

今回の定期は、

芥川也寸志/交響管弦楽のための音楽
ストラヴィンスキー/ヴァイオリン協奏曲
     ~休憩~
プロコフィエフ/バレエ音楽「ロメオとジュリエット」抜粋
 指揮/アレクサンドル・ラザレフ
 ヴァイオリン/矢野玲子
 コンサートマスター/扇谷泰朋

という内容。こういう事情なので、演奏の詳細は勘弁してください。ラザレフの熱い思いが見事に昇華された熱演だったことのみ報告しておきます。
何故かラザレフは指揮台に設置された椅子に座っての指揮。舞台への出入りの様子では腰を痛めている様子。やや気になりますが、地震に驚いて転倒したのでしょうか。

熱演にも拘わらずアンコールも準備されていて、同じプロコフィエフの古典交響曲からメヌエット。この音楽は「ロメオとジュリエット」にも使われた音楽であることがミソでしょう。

帰宅して直ぐにテレビのスイッチを入れると、事態は益々悲惨な方向に向かっている様子。明日以降のコンサートは慎重に判断する必要がありそうです。

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