四つの圧勝劇

今週からは最初のスタイル、レースが行われた翌日のレポートに戻ります。
4月の第1週、2日の土曜日には三つの競馬場で計4鞍のGレースが行われました。土曜日としては少ない一日ですが、その分日曜日に注目レースが集中しています。

先ずニューヨーク州のアケダクト競馬場ではエクセルシオ・ハンデキャップ Excelsior H (GⅢ、3歳上、9ハロン)が行われています。アケダクト競馬場のメイン・コースでは今年最初のG戦です。レース名のエクセルシオとはラテン語の「最上級を目指す」という意味で、ニューヨーク州のモットーでもあります。日本の弦楽四重奏団の団名と同じですね。創設は1903年ですが、当時はジャマイカ競馬場で開催されていました。
今年の勝馬は芦毛のニューヨーク産馬インヘリット・ザ・ゴールド Inherit the Gold 。5頭立ての1番人気でした。2番手から抜け出し、2着以下に6馬身4分の1差を付ける圧勝。同馬は5連勝(全てアケダクト競馬場)でGレースのデビュー戦を飾りました。
調教師はジェームズ・フーパー、騎手はエディー・カストロ。オーナーはスザンヌ・フーパーで、同馬の生産者でもあります。

ガルフストリーム・パーク競馬場では二鞍のG戦が行われました。先ずはランパート・ステークス Rampart S (GⅢ、4歳上牝、9ハロン)。古馬牝馬が対象のGⅢで、1980年創設の比較的新しい一戦です。
今年の勝馬はオウサム・マリア Awesome Maria 。6頭立て。1番人気に支持されたオウサム・マリアが先行馬をマークする展開から、直線では楽に先頭に立ち、2着に8馬身差を付ける完勝でした。一騎打ちが期待された去年のブリーダーズカップ・レディーズ・クラシックの覇者アンライヴァルド・ベル Unrivaled Belle は3着。
オウサム・マリアは2月のセイビン・ステークス(GⅢ)に続いてG戦に連勝。同馬を管理する名伯楽トッド・プレッチャー師によれば、6月にベルモント競馬場で行われるオグデン・フィップス・ハンデ(GⅠ)を目指す由。
騎乗したジョン・ヴェラスケスは、同馬をリラックスさせることにのみ集中。期待に応えたオウサム・マリアは、これでガルフストリームでは2戦2勝、通算では10戦5勝の成績となります。

もう一鞍はガルフストリーム・オークス Gulfstream Oaks (GⅡ、3歳牝、9ハロン)。その名の通り3才牝馬のレースですが、1971年創設当時はボニー・ミス・ステークス Bonnie Miss S として行われ、3歳上の牝馬が対象でした。3歳限定になったのは1977年からで、ガルフストリーム・オークスのレース名は今年からとなります。更に今年からはブラック=アイド・スーザン・ステークスを中心とするボーナス・システムが発表され、今回はその初年度に相当します。
今年の勝馬は、前のレースで圧勝を演じたプレッチャー厩舎、ヴェラスケス騎乗と同じコンビのアール・ヒート・ライトニング R Heat Lightning でした。7頭立て。ランパートと同じように、先行馬を見る展開から直線では他馬を全く問題とせず、2着に8馬身4分の1差を付ける連続圧勝劇を演じました。
アール・ヒート・ライトニングはこれでGレース3勝。前走(ダヴォナ・デール・ステークス、GⅡ)に続く圧勝で、ケンタッキー・オークスの本命になることは間違いなさそうですね。

最後はサンタ・アニタ競馬場のラス・フローレス・ステークス Las Flores S (GⅢ、4歳上牝、6.5ハロン)。これも古馬牝馬が対象のG戦ですが、スプリンターのための一戦で、創設は1951年。
今年の勝馬はギルデッド・ジェム Gilded Gem 。5頭立て。5頭のうち3頭はボブ・バファートが調教する馬というメンバーで、そのうちの1頭ギルデッド・ジェムが前半は最後方にポツンと置かれる展開から、3コーナーから大外を回って追い上げ、直線では2着に1馬身4分の1差を付ける完勝。アメリカでは珍しい展開でした。2着も同厩のサブサダイズド Subsidized 。
同馬はこれがステークス初勝利ですが、前走のサンタ・モニカ・ステークス(GⅠ)では2着していた実績のある馬です。
騎手はジョエル・ロザリオ。このあとはケンタッキー・ダービー当日にチャーチル・ダウンズで行われるフマーナ・ディスタフ(GⅠ)を目指す予定です。

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