今日の1枚(179)

「トスカニーニ・エッセンシャル・コレクション」、ベートーヴェンが終わってロマン派の作品が何点か登場します。先ず第7集は以下のもの。BVCC-9708 の1枚です。

①メンデルスゾーン/劇音楽「真夏の夜の夢」より
②ケルビーニ/交響曲ニ長調
③ウェーバー/歌劇「オイリアンテ」序曲

録音はいずれもカーネギーホールに於けるセッション録音で、

①1947年11月4日 カーネギーホール
②1952年3月10日 カーネギーホール
③1951年10月29日 カーネギーホール

①でトスカニーニが選んだのは、(1)序曲、(2)間奏曲、(3)夜想曲、(4)スケルツォ、(5)結婚行進曲、(6)フィナーレ。
フィナーレが演奏されているのが珍しく、ここでの声楽は、ソプラノがエドナ・フィリップス Edna Philips 、女声合唱団は団名のクレジットがありません。歌唱は英語。
フィリップスがどういう経歴の方かは判りませんが、声を聴く限りではオペラの主役を歌うような感じではありません。もちろんオペロン、ティターニア、パックの台詞は省略されています。

当盤のエッセイは、サミュエル・アンテックの『レコーディング・ウィズ・トスカニーニ』からの引用。セッション録音時のエピソードで、当盤の内容とは関係がありません。

①はヴィクターのSPが初出で、12-0703/6 という4枚8面のセット。WERMによると、序曲の次がスケルツォだったようです。この方が劇音楽の進行順になっていて、当CDより理に適った曲順だと思慮します。
(ドーヴァー版スコアに振られた番号では、序曲とフィナーレを除けば、スケルツォが1番、間奏曲が5番、夜想曲が7番、結婚行進曲が9番です)
録音は当盤の中では最も古く、如何にもSP録音という古めかしいものですが、決して聴き辛いものではありません。
なお結婚行進曲には繰り返しが6か所ありますが、トスカニーニは2番目のみを省略して演奏しています。

②は既にシリーズ143(2011年1月5日)で取り上げていますので、ここでは省略。

③は付録のように組み合わされた一品ですが、録音は「超」の字を付けたいほどの優秀録音。ファゴットの空気を震わすような低音やティンパニの生々しい皮の振動など、モノラルとは言え、現代でも立派に通用するレヴェルと断言できるでしょう。
この1曲を聴くだけでも価値のあるディスク。演奏もトスカニーニらしく推進力に溢れ、歌うべきは歌うという理想的なもの。

トスカニーニ晩年の録音で、最初からLPで発売。ヴィクターの LM 6026 という管弦楽の小品を集めたアルバム。組み合わせは同じウェーバーの「魔弾の射手」序曲、フンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」序曲などだったようです。
こうした小品集はLP当初から様々な組み合わせで発売されていたようで、厳密な意味での「オリジナル」はハッキリしません。

参照楽譜
①ドーヴァー 0-486-23184-4
②ヘフリッヒ No.112
③オイレンブルク No.635

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