英クラシックも本格始動

4月2日に開幕したイギリスの平場シーズン、昨日漸く芝コース最初のパータン・レースが行われました。2日間行われる、伝統のニューマーケット・クレイヴァン開催のスタートです。
初日のパターン・レースはネル・グィン・ステークス Nell Gwyn S (GⅢ、3歳牝、7ハロン)だけですが、他にもクラシックに繋がるリステッド戦(準重賞)も行われて、英国クラシック戦線も本格的にスタートした感があります。

そのネル・グィン、good to firm の馬場に11頭が出走、今シーズン既にカラー競馬場で2戦2勝(前走はリステッド戦)の経験を積んだシング・ソフトリー Sing Softly が9対4の1番人気に支持されていました。アイルランドからエイダン・オブライエン厩舎が送り込んできた馬で、オブライエン師がネル・グィンに挑戦するのは初めてのことです。
去年のクイーン・マリー・ステークス(GⅡ)に勝ち、チーヴリー・パーク・ステークス(GⅠ)で3着したマカーシド Maqaasid は、他馬より3ポンド重いペナルティーを背負って2番人気でした。

レースは1枠から飛び出したスイート・セシリー Sweet Cecily が引っ張る展開。勝負所では6~7頭が横一線に並ぶ中から人気の2頭が抜け出しましたが、大外枠を引いたベアフット・レディー Barefoot Lady が鋭く追い込んで優勝を攫いました。14対1の小波乱。
首差2着に本命シング・ソフトリーが惜敗、更に4分の3馬身差で重量を背負ったマカーシドの順。3ポンドの斤量差を考慮すれば、実力はマカーシドがややリードと読むことも可能でしょう。
アイルランドから遠征したシング・ソフトリーは、ライアン・ムーア騎手が最後の追い出しにかかった時に内に切れ込み、レディーズ・アー・フォーエヴァー Ladies Are Forever の進路に入ったようにも見えました。日本なら審議の対象になるかも知れませんが、英国ではこの程度なら問題にもなっていません。

勝馬を管理するのはリチャード・ファヘイ師。この日は第3レースの3歳スプリント戦に続くダブル達成です。鞍上は去年のリーディング・ジョッキー(勝鞍部門、205勝)に輝いたポール・ハナガン君。
ベアフット・レディーは1000ギニーへの登録がありませんが、未だ追加登録が可能。オーナー・サイドは出走に意欲的で、クラシック出走に踏み切るという条件付きながら1000ギニーには25対1から33対1のオッズが出されました。ファヘイ師はこれまでオークスに馬を出走させたことはありますが、1000ギニーは未だ。最初の挑戦となるかが注目です。

さてクレイヴァン開催の初日には、他に2つの3歳馬のためのリステッド戦も行われました。
伝統のヨーロピアン・フリー・ハンデキャップ(7ハロン)は6頭立て。1番人気のエルザーム Elzaam が気性の難しさを露呈して5着凡走、ハノン厩舎/ヒューズ騎乗のコンビ、ポーザニアス Pausanias が勝っています。
勝タイムの1分24秒06は、ネル・グィンの1分24秒44よりも速いもの。ポーザニアスもまたクラシック登録がありませんが、この馬も追加登録料を支払って2000ギニーに参戦してくる可能性があります。

もう一つはフィールデン・ステークス(1マイル1ハロン)。こちらは1番人気のデットーリ騎乗、ドドーニ Dordogne が渋太く逃げ切りました。次々と他馬に競りかけられながらも抜かせない根性は中々のもの。マーク・ジョンストン師が管理する同馬は、ダービー向きの1頭と言えましょうか。

ということで明日はクレイヴァン・ステークス、週末にはグリーナム・ステークスとトライアルが連日のように組まれています。グリーナムにはクラシックの大本命フランケル Frankel が出走予定とあって、今年のクラシック戦線も俄かに活気付いてきましたね。

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