ケンタッキー・ダービーの混戦続く

昨日はケンタッキー・ダービーを3週後に控えた土曜日、クラシックへの最終便2鞍を含む、5場で合計9鞍ものGレースが行われました。分量が多いので簡単にレポートしましょう。

先ずアケダクト競馬場はディスタッフ・ハンデキャップ Distaff H (GⅡ、3歳上牝、7ハロン)。1954年創設の、牝馬のためのスプリント戦です。デイスタッフは「母方の」とでも言った意味で、牝馬戦特有の命名でしょう。
今年の勝馬はニコール・エイチ Nicole H 。5頭立て。大外5番枠から出たニコール・エイチが前半は3番手に控え、直線入り口で抜け出し、そのまま2着ワイルド・ニュース Wild News に2馬身半差の楽勝。これで3連勝、Gレースは初勝利です。
以前デヴィッド・ホフマン厩舎にいた頃は芝で走っていましたが、マイケル・ハッション厩舎に移ってからはダート・コースに転向し、素質が開花してきたようです。勝利騎手はチャニング・ヒル。

チャールズ・タウン競馬場のチャールズ・タウン・クラシック Charles Town Classic (GⅢ、4歳上、9ハロン)。そもそもチャールズ・タウンという競馬場そのものを余り耳にしませんが、アメリカ東海岸の山岳地帯に位置するウエスト・ヴァージニア州のコースだそうです。このレースは2009年に創設されたばかりだそうで、G戦に格付けされるのは今年からとか。当競馬場で行われる初のグレード・レースです。正にピカピカの一年生ですね。
この日は生憎の嵐となり、馬場は泥だらけの状態だったようです。記念すべき第1回の勝馬はデューク・オブ・ミシーフ Duke of Mischief 。10頭立て。向正面で次々と他馬を交わし、直線入り口で3番手、2着ゲーム・オン・デュード Game On Dude (サンタ・アニタ・ハンデの勝馬)に2馬身4分の1差を付けての記念すべき優勝です。
調教師はデヴィッド・フォウクス、勝馬の共同馬主の一人でもあります。騎手はジョー・ブラーヴォ。

キーンランド競馬場は豪華に四つのG戦。先ずはシェイカータウン・ステークス Shakertown S (芝GⅢ、3歳上、5.5ハロン)。こちらは芝コースの短距離戦。1997年創設で、最初はザ・ミンストレル・ステークスと呼ばれていたもの。シェイカータウンとは、どうもシェーカー教徒に由来するもののようですが、詳しいことは判りません。
今年の勝馬はストラトフォード・ヒル Stratford Hill 。8頭立て。これがステークスのデビュー戦でしたが、逃げるグレート・アタックを半馬身捉えての優勝です。一般戦から4連勝。
ディスタッフ優勝のニコール・エイチとは正反対で、トム・アルベルトラーニ厩舎にいた頃はダート戦で不振だったものが、トッド・プレッチャー厩舎に移籍後に芝コースに転じたのが好成績に繋がっているようです。勝利騎手はいつもプレッチャー師とコンビを組むジョン・ヴェラスケス。

続いてコモンウェルス・ステークス Commonwealth S (GⅡ、3歳上、7ハロン)。ブリーダーズ・カップとの絡みで1987年に創設されたスプリント戦。
今年の勝馬はエイクナイト Aikenite 。5頭立て。これも後方からの追い込みで、逃げるクール・バレット Cool Bullet に2馬身4分の1差の楽勝。1番枠から出て、向正面では外から被されるようなシーンもありましたが、冷静に外に出しての追い込みでした。3歳時の去年はブリーダーズ・カップ・ダート・マイルは8着に終わりましたが、今年も挑戦するでしょう。
調教師はまたもトッド・プレッチャー、当然ながらジョン・ヴェラスケスとのコンビ。

三つ目はジェニー・ワイリー・ステークス Jenny Wiley S (芝GⅡ、4歳上牝、8.5ハロン)。1989年創設の古馬牝馬のための芝コース戦。レース名に採られたジェニー・ワイリーとは、18世紀に実在した伝説的女性闘争家だそうです。
今年の勝馬はネヴァー・リトリート Never Retreat 。10頭立て。稍重に渋ったコースが味方し、直線で先行するファンタジア Fantasia を1馬身4分の3差捉えての勝利。ガルフストリームのハネー・フォックス・ステークスに勝ち、キーンランドに遠征してのG連勝です。
調教師はクリス・ブロック、騎手はシャウン・ブリッジモハン。

最後は愈々メイン、ブルー・グラス・ステークス Blue Grass S (GⅠ、3歳、9ハロン)。ケンタッキーを代表するブルーグラス地方を名前に採ったレースで、ケンタッキー・ダービーへの重要なステップとなる一戦。ダービー最終便としても知られる名物レースです。1911年創設という、アメリカでも最も歴史と伝統ある一戦。最近は世界の「トヨタ」がスポンサーになっていることでも注目です。
さて今年の勝馬はブリリアント・スピード Brilliant Speed 。12頭立て。最後方から一気の追い込み、トゥインスパイアード Twinspired (これも24対1の人気薄)をハナ差で交わし、19対1の番狂わせ。これがステークス初勝利ですが、いつも写真判定の接戦になるのがこの馬のキャラクターのようです。1番人気のサンティーヴァ Santiva は9着凡走。
調教師はトーマス・アルベルトラーニ、騎手はジョエル・ロザリオ。

オークローン・パーク競馬場は真打とも言うべきアーカンソー・ダービー Arkansas Derby (GⅠ、3歳、9ハロン)。これまたケンタッキー・ダービーへの最終便と目されるトライアルで、ここから三冠レースを制した名馬は数知れず、と言ったら大袈裟かな。オークローン・パークのもう一つのトライアルであるレベル・ステークス、それにアーカンソーとケンタッキーのダービーを加えた「三冠」を制すれば特別ボーナスが出ることにもなっています。
注目すべき今年の勝馬はアーチアーチアーチ Archarcharch 。2着ネーロ Nehro とは首差の接戦でした。13頭立て。これまた追い込みで、25対1の大穴。直線は審議になる乱戦でしたが、入線順位通りで確定しています。1番人気ザ・ファクター The Factor は7着敗退。ブレスレン Brethren も見せ場なく11着惨敗。
キーンランドで番狂わせが起きたばかりでしたが、ここでも人気馬総崩れの結果で、先日のウッド・メモリアル、サンタ・アニタ・ダービーと波乱の連鎖は止まりません。今年のケンタッキー・ダービーは俄然波乱の様相を呈してきました。
調教師はウイリアム・ファイアーズ、騎手はジョン・ケント・コート。この二人は義理の親子の関係だそうですね。

最後はサンタ・アニタ競馬場の2鞍。サン・シメオン・ハンデキャップ San Simeon H (芝GⅢ、4歳上、6.5ハロン)。1968年に創設された当時はダート・コースで行われていましたが、現在は芝コースの短距離戦。
今年の勝馬はリーガリー・レディー Reagally Ready 。6頭立て。スタートは3番手と遅れを取りましたが、直ぐに先頭を奪うとハイペースで飛ばし、キャンプ・ヴィクトリー Camp Victory の追い込みをハナ差凌いて1番人気に応えました。サンタ・アニタ開催の3勝目です。
調教師はスティーヴン・アスムッセン。手綱を取ったマイク・スミスは、同馬には初騎乗。

やっと最後です。サンタ・バーバラ・ハンデキャップ Santa Barbara H (芝GⅡ、4歳上牝、10ハロン)。1935年創設の古いレースですが、これも様々に条件を変更し、現在は芝コースの古馬牝馬による長距離(アメリカとしては)戦。
今年の勝馬はマリブー・ピエ Malibu Pier 。6頭立て。コーナーを利して一旦先頭に立ちましたが、その後は3番手に控え、直線で再び先頭を奪うと、1番人気コージー・ロージー Cozi Rosie の追い込みを半馬身抑えての優勝です。10ハロンの距離は初体験でしたが、見事に克服しました。
調教師はカーラ・ゲインズ。マリブー・ピエにはこれまでラファエル・ベジャラノが騎乗してきましたが、ベジャラノがターニング・トップ Turning Top (4着)を選んだため、今回はブライス・ブランが騎乗していました。。ブランはマリブー・ピエの母にも乗ったことがある由。

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