ケンタッキー・ダービー後報と、その他のG戦レポート

今日は慌ただしい一日で、アメリカ競馬レポートを途中まで仕上げてからサントリーホール行。夕方5時に帰宅してから再びパソコンに向かっています。
従って制度を欠くレポート、誤字脱字表現の不具合などはチェックせずに記事をアップしてしまいます。読まれる方は夫々修正しながら目を通してくださいナ。

土曜日のアメリカは3場でのG戦、速報性は無くなりましたので、時差の順、東から西に順次移動しながらのレポートです。

最初はニューヨーク州。
ベルモント・パーク競馬場は、同じ条件による牝馬と牡馬のための芝戦が行われます。最初は牡馬によるフォート・マーシー・ステークス Fort Marcy S (芝GⅢ、3歳上、8.5ハロン)。firm の芝コースに6頭が出走してきました。7対5の1番人気は、去年アイルランドでガリニュール・ステークス(GⅢ)に勝っているスピーキング・オブ・ウイッチ Speaking of Which 。出走メンバー中、グレード戦かグループ戦に勝っているのは、この馬1頭だけです。
レースは3番人気(7対2)のキング・クリーサ King Kreesa が飛ばし、ボンバギーア Bombaguia が追走する速い流れ。スピーキング・オブ・ウイッチは最後方に待機します。しかし最後で追い込んだのは、後方2番手を進んだ4番人気(9対2)のルバーシュ Lubash 。ゴールでは、2番手から先に先頭に立ったボンバギーアに半馬身差を付けていました。更に1馬身差でキング・クリーサが3着に逃げ粘り、本命スピーキング・オブ・ウイッチは後方のまま最下位敗退。
勝馬を管理するのは、1番人気のスピーキング・オブ・ウイッチも担当しているクリストフ・クレメント師。やや複雑な心境でしょう。勝利騎手はジュニア・アルヴァラード。勝ったルバーシュは26戦8勝、うち6勝はステークス勝ちですが、G戦は初勝利となります。5か月休養した後の前走一般ステークスで2着、今年6歳になるヴェテランです。

続いては牝馬版のボーゲイ・ステークス Beaugay S (芝GⅢ、3歳上牝、8.5ハロン)。メインコース変更時のみの登録馬1頭を含めて3頭が取り消し、6頭立て。3対4の断然1番人気には、一昨年ドーヴィルでノネット賞(GⅡ)を制したドリーム・ピース Dream Peace 。フォート・マーシーと同じくヨーロッパ出身馬が人気になっていました。
こちらは4番人気(7対1)サルーフ Suroof の逃げ、ドリーミング・ピースは徐々に2番手に上がって仕掛けのタイミングを図ります。しかし優勝を攫ったのは、内々の4番手を進んだ2番人気(7対2)のヘッソナイト Hessonite 。内が開かず、一気に馬5頭分の外に持ち出してからの瞬発力は他を圧していました。2着ピース・プリザーヴァー Peace Preserver に4分の3馬身差。更に1馬身4分の1差で本命ドリーム・ピースの順。
デヴィッド・ドンク厩舎のヘッソナイトは、ステークス8勝目ながらG戦は初制覇。ステークスをいくつも制していながらG戦は初、という点でもフォート・マーシーと共通の結果です。通算19戦10勝、去年のこのレースでは6着でした。前走は去年10月の芝戦、これが今期デビューでもありました。騎乗したジュニア・アルヴァラード騎手は、フォート・マーシーに続きG戦ダブル達成。

次にケンタッキー州に飛んで、ダービー以外のG戦を順次レース順に。
ダービー・デイのチャーチル・ダウンズ競馬場は、1日G戦6鞍、しかも3レースがGⅠという豪華版。ここではレース順に取り上げ、最後にダービー後記で締め括ることにしましょう。
最初は第6レースのターフ・スプリント・ステークス Turf Sprint S (芝GⅢ、4歳上、5ハロン)。朝から雨が続く生憎の天候で、芝コースは good 、日本の感覚なら稍重でしょうか。8頭の短距離馬が顔を揃えました。5対2の1番人気は、今年芝の短距離戦で2戦2勝のアイコン・アイク Icon Ike 。チャーチル・ダウンズは初経験となるのが死角でしょう。
レースは2番人気(7対2)のサザン・デュード Southern Dude と、ブービー人気(11対1)ベルリーノ・ディ・タイガー Berlino Di Tiger の熾烈な逃げ争い。2頭が後続を大きく引き離す展開となりました。逃げ争いに外から競り勝ったベルリーノ・ディ・タイガーが懸命に粘る中、追い込んできたのは、このレースの2009年の勝馬で6番人気(8対1)のチェンベルラン・ブリッジ Chamberlain Bridge 。ゴールでは並んだように見えましたが、写真判定の結果ベルリーノ・ディ・タイガーがハナ差で逃げ粘っていました。4分の3馬身差でサザン・デュードも逃げ残り、人気のアイコン・アイクは後方のまま7着と惨敗。スタートから大荒れのダービー・デイとなりました。
エドゥアルド・カラモリ厩舎、レアンドロ・ゴンザルヴェス騎乗のベルリーノ・ディ・タイガーは、今年初めにブラジルからアメリカに転厩してきた5ハロンのスペシャリストで、アメリカでの2戦はいずれも掲示板に載れない凡走、人気が無かったのも無理はないでしょう。しかし故郷のブラジルではGⅠ戦を含め7勝もしたスピード馬で、彼の地では直線コースしか経験がありません。アメリカは5ハロンでもコーナーを回る小回りコースなので、慣れるのに時間が掛かったと言えそうです。

続いて第7レースは最初のGⅠ戦、フマーナ・ディスタッフ・ステークス Humana Distaff S (GⅠ、4歳上牝、7ハロン)。ダートコースは既に sloppy の発表で、コースには水が浮いています。9頭立ての1番人気(7対2)は、3月にガルフストリームでインサイド・インフォメーション・ステークス(GⅡ)に勝っているオービー・ケー Aubby K 、泥んこ馬場を克服できるかがキーポイントです。
2番人気(7対2)ジャマイカン・スモーク Jamaican Smoke の逃げを2番手で追走したオービー・ケー、直線でも危な気なく抜け出すと、3番手から追い上げる5番人気(8対1)バーバン Burban に1馬身半差を付けて期待に応えました。首差でホリデー・ソワレー Holiday Soiree が3着。ジャマイカン・スモークも4着に粘る馬場でした。
レイフ・ニックス厩舎、エドガー・プラード騎乗のオービー・ケーは、通算8戦4勝となりGⅠは初制覇。

第8レースのチャーチル・ディスタッフ・ターフ・マイル・ステークス Churchill Distaff Turf Mile S (芝GⅡ、4歳上牝、8ハロン)、芝コースは good のままですが、中継カメラの画面にも雨粒が写るほどの状態。2頭が取り消し、8頭立てで行われました。2対1の1番人気は、去年のこのレースの勝馬ハングリー・アイランド Hungry Island 。2連覇が掛かります。
レースは伏兵(19対1)フロントサイド Frontside が名前の通りの逃げ、有力各馬は後方に待機し、ハングリー・アイランドも後方3番手の位置取り。直線、予想通り先行馬が脚を失くし、本命ハングリー・アイランドが抜けて期待に応えるかと見えましたが、前半は最後方で我慢(というよりも、これがこの馬のスタイル)していた3番人気(7対2)のステファニーズ・キッテン Stephanie’s Kitten が目の覚めるような末脚を繰り出し、首差で本命馬を捉えていました。3馬身半差で2番人気(3対1)のデイジー・ディヴァイン Daisy Devine が3着。馬場にも拘わらず順当な決着となっています。
ウェイン・カタラーノ厩舎、ジュリアン・ルパルー騎乗のステファニーズ・キッテンは、これで11戦6勝。前走は去年10月のクィーン・エリザベスⅡ世チャレンジ・カップ(芝GⅠ)で掲示板から外れましたが、それ以来7か月ぶり、シーズン初戦での勝利でした。

第9レースのチャーチル・ダウンズ・ステークス Churchill Downs S (GⅡ、4歳上、7ハロン)は9頭立て、G戦初出走ながら5連勝中のデローニー Delaunay が9対5の1番人気に支持されています。
今回は何故か4番人気(6対1)ながら去年BCスプリントを制した短距離チャンピオントリンニバーグ Trinniberg の逃げを2番手でマークしたデローニー、直線でGⅠ馬を交わすと、2着に食い込むパス・ザ・ダイス Pass the Dice に4馬身差を付ける横綱相撲で人気に応えました。更に3馬身半差でローリーズ・ロケット Laurie’s Rocket が3着。トリンニバーグは7着と凡走しましたが、この不良馬場で他馬より5ポンド重い負担重量が響いたのかもしれません。
トーマス・エイモス厩舎、ロージー・ナプラヴニク騎乗のデローニー、G戦は初勝利ながらステークスは7勝目。クレーミング・クラスから出世し、これで6連勝。チャーチル・ダウンズでは4戦無敗と愛称の良いコースでもあります。

ダービーの一つ前に行われるのが、第10レースのターフ・クラシック・ステークス Turf Classic S (芝GⅠ、4歳上、9ハロン)。芝コースは更に悪化して yielding 、2頭が取り消して7頭立てとなりました。出れば人気の一角になるはずのポイント・オブ・エントリー Point of Entry が取り消したため、去年の年度代表馬ワイズ・ダン Wise Dan のオッズは更に上昇して3対5の断然1番人気。勝つかと言うより、何馬身差で勝つかという興味になってしまいました。
シルヴァー・マックス Silver Max とオプティマイザー Optimizer の先行をジックリ3番手で待機したワイズ・ダン、直線では期待通り独り舞台に持ち込み、オプティマイザーに4馬身4分の3差を付ける圧勝。更に1馬身4分の3差の3着には最低人気(26対1)のミッディー・エフ Middie F が入りました。
チャールズ・ロプレスティ師が管理するワイズ・ダン、これでG戦6連勝、内GⅠは5連勝と言う充実ぶり。GⅠも6勝目となり、獲得総賞金も400万ドル超えとなりました。今期も4月12日のメイカーズ・マイル(キーンランドの芝GⅠ)に続き2戦2勝の負け知らずです。いつもはジョン・ヴェラスケスが騎乗するワイズ・ダンですが、ヴェラスケスは契約の関係で取り消したポイント・オブ・エントリーに騎乗予定だったため、今回はホセ・レズカノに乗り替わり。レズカノは去年10月にシャドウェル・ターフ・マイルでもコンビを組んでおり、今回が初めてではありません。ロプレスティ師の指示でムチは一発も入れない楽勝。尤も支持が無くても持ったままで勝っていたことは間違いないでしょう。
このあとワイズ・ダンは夏のサラトガまで休養し、再び秋のGⅠシリーズからBC2連覇を目指すでしょう。GⅠ勝鞍をいくつまで伸ばせるかが、今期後半の楽しみでもあります。

最後は既報のケンタッキー・ダービー Kentucky Derby (GⅠ、3歳、10ハロン)。
オーブ Orb のこれまでの成績を振り返ると、2歳時は4戦目、11月にアケダクトで初勝利。今年に入ってガルフストリームに拠点を移し、1月にアローワンス戦に勝つと、ファウンテン・オブ・ユース・ステークス(GⅡ)でG戦初勝利を挙げてダービー候補に名乗りを上げ、フロリダ・ダービー(GⅠ)を圧勝して本番での1番人気の座を獲得しました。通算で8戦5勝3着1回、今年は4戦4勝と無敗を守っています。当然ながら三冠馬になる権利があるのはオーブだけ。残る二つのクラシックの闘い振りが気になります。
同馬を管理するマゴーヒー師は、ダービー挑戦5回目での栄冠。初挑戦となる1984年と、イージー・ゴア― Easy Goer 、オウ・インスパイアリング Awe Inspiring で2・3着した1999年が2頭出し、合計7頭目での優勝でもあります。
マゴーヒー師は、オーブの2代母に当たるメサビ・メドン Mesabi Maiden という馬も調教しており、この馬でブラック・アイド・スーザン・ステークス(GⅡ)に勝ったこともあります。厩舎としても3代続けて扱ってきたファミリーが掴んだダービーの座でした。

なお雨の所為もあってか入場者数は15万1616人、史上9位だった由。

最後に西海岸に異動し、カリフォルニア州の競馬。
ハリウッド・パーク競馬場は、メルヴィン・ルロイ・ハンデキャップ Mervyn LeRoy H (GⅡ、3歳上、8.5ハロン)一鞍、今開催のメインとなるハリウッド・ゴールド・カップへ向けての前哨戦でもあります。馬場は fast 、1頭取り消しがあり6頭立てで行われました。去年のスワップス・ステークス勝馬で、前走アローワンス戦を逃げ切ったブルースカイズンレインボウ Blueskiesnrainbow が2対1の1番人気。
その本命馬が逃げましたが、2番手でマークした2番人気(5対2)のリエゾン Liaison が抜け出し、内ラチ沿いに伸びたケトル・コーン Kettle Corn を1馬身半抑えて優勝。更に2馬身半差でギルト・アップ Guilt Up が3着に食い込み、本命ブルースカイズンレインボウは4着敗退。
ボブ・バファート厩舎、マーチン・ガルシア騎乗のリエゾンは2歳時にキャッシュコール・フューチュリティーに勝ってGⅠ馬となりましたが、その後8連敗。前走3月末のサンタ・アニタで漸くサンタ・アニタ・マイルに勝って復調の兆しが見えていました。6月1日のカリフォルニアン・ステークス(GⅡ)を経て、7月6日のゴールド・カップで2つ目のGⅠ獲りが目標でしょう。

やれやれ何とか全てカヴァーできたようです。エイッ! これでポチョンとアップしちゃいましょう。

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